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想い出の山梨暮らし

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2021年4月、東京を離れ山梨でひとり暮らしを始めた。その暮らしの中で経験した出来事や、感じたこと、出会えた大事な大事な人などの記録。当時個人的に書き溜めていた文章を、編集して投…
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記事一覧

後ろ歩きだけど (想い出の山梨暮らし Week 16)

後ろ歩きだけど (想い出の山梨暮らし Week 16)

山梨ひとり暮らし、当時の記録。
日常になった生活の中で、ぐるぐると考えていること。

前回はこちら↓

山梨へ引っ越し、新たな環境での暮らしが始まってたった数日目に、僕は「あぁ、限界だな」と思ってしまった。

あのとき何が引き金だったのか、当時はまだ気がついていなかった。

環境の変化なのか、慣れない仕事にいっぱいいっぱいになったのか。どちらかが、もしくはどちらもが、原因なんだろうなって思っていた

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ちゃんとしない生活 (想い出の山梨暮らし Week 15)

ちゃんとしない生活 (想い出の山梨暮らし Week 15)

山梨ひとり暮らし、当時の記録。
4ヶ月目にして少し心に余白ができた第15週目。

前回のお話はこちら↓

ひとり暮らしも、なんかこういかにも「社会らしい」お仕事をして生活をするのも、初めてだった。しかも生まれ育ってもいない、縁のない土地で。
だからなのか、ここまでずっと気が張っていた。

このエッセイの最初に僕はたしか「環境を変えることへの抵抗がものすごいくせに、珍しく思い立ってすぐ行動した自分に

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オギノでカッコつけちゃう (想い出の山梨暮らし Week 14)

オギノでカッコつけちゃう (想い出の山梨暮らし Week 14)

山梨ひとり暮らし、当時の記録。
スーパーでのひとコマです。

前回はこちらから↓

買い物は週に数回、駅前のスーパーへ行く。
ローカルで、甲信越地方にしかないスーパー。

山梨県にちょっと縁のある人なら「あぁ、あれね」ってなると思うのですが、オギノです。オギノ。

都内のスーパーと比べると、駅前のオギノはものすごく広い。
そしてお客さんは少なくて常にガラガラに感じる。
それなのにレジは8つ全て空い

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梅雨明けに想ふ (想い出の山梨暮らし Week 13)

梅雨明けに想ふ (想い出の山梨暮らし Week 13)

山梨ひとり暮らし、当時の記録。
世間は秋に染まりつつありますが、今回は「梅雨明け」について書いた13週目の日記です。

前回はこちら↓

梅雨が明けたようです。
夏がどれくらい暑くなるのか、毎年忘れてしまう。
夏って、どんなもんだっけ。

ましてや今年は26回目の夏にして、初めて東京以外で迎えた夏。
……というかまだ僕は、夏をたった26回しか経験してないのか。
そう思えば、まだまだ若いな。

今週

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毎日の「1」のこと (想い出の山梨暮らし Week 12)

毎日の「1」のこと (想い出の山梨暮らし Week 12)

山梨ひとり暮らし、当時の記録。
ちょっとだけ悩みが生まれた12週目。

前回はこちら↓

1日の時間をいくつものことに費やせる能力がない。というのが最近の僕の悩みだ。

山梨に来てもう、あっという間に3ヶ月が経つけれど、特に今週はずっとこのことを考えていてモヤモヤしていた。

日中は働いて、帰ってきたらお風呂とかご飯とか、生きるための時間を過ごして、次の日を迎える毎日。

24時間ある1日の中で、

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今は違うのよ (想い出の山梨暮らし Week 11)

今は違うのよ (想い出の山梨暮らし Week 11)

山梨ひとり暮らし、当時の記録。
第11週目は職場での雑談。

前回はこちら↓

小野寺さんが髪型を変えてきた。
朝から僕はボーッと、「あぁ、髪結ぶのやめちゃったのかぁ」だとか、「いや、でもこっちの髪型もいいなぁ」だとかを頭の中でぐるぐる考えたりしていた(ちゃんと仕事しなさい)。

すると隣の机のお姉さまが「あら、あの子雰囲気変わっちゃって。かわいい〜」なんて呟く。

あからさまに、僕に聞こえるよう

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肩身はたまに狭くなる (想い出の山梨暮らし Week 10)

肩身はたまに狭くなる (想い出の山梨暮らし Week 10)

山梨ひとり暮らし、当時の記録。
月に一度の研修があった第10週目。

前回はこちら↓

今週は何か出来事があったと言えばあったし、何もなかったと言えば何もなかった。もう山梨にいることが僕にとっての「日常」になっていて、日に日にどんどん刺激がなくなってきているように思う。

富士山をはじめとする多くの山々に囲まれているのすら、もう「当たり前の景色」になっていて、毎日のように感動をすることはなくなった

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曇り空の日 (想い出の山梨暮らし Week 9)

曇り空の日 (想い出の山梨暮らし Week 9)

山梨ひとり暮らし、当時の記録。
梅雨が本気を出してきた第9週目です。

前回はこちら↓

日曜日、実家から山梨へ戻る特急の中。
眠くはないのだけれど、なんだかずっとボーッとしていた。山梨市駅を通過したあたりから記憶はぷっつりなくなって、気がついたらもう甲府駅に停車していた。

甲府駅で普通列車に乗り換えなくてはいけないので、慌てて立ち上がって、ギリギリで下車した。あまりに慌てていたので、携帯用のア

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おじいさんとの対談 (想い出の山梨暮らし Week 8)

おじいさんとの対談 (想い出の山梨暮らし Week 8)

山梨ひとり暮らし、当時の記録。
今回は第8週目です。

前回と若干の繋がりがありますので、ぜひ併せて↓

朝起きて窓を開けると、ものすごく気持ちのいい空気が入ってくる。窓の向こうに見える山々から届く酸素の濃い、出来立ての綺麗な空気。

街の風景や景色は見慣れてきたとしても、この綺麗な空気だけは毎日新鮮に感動する。

さて、そんな綺麗な空気を目一杯身体に取り込んで、また新たな1週間が始まった。

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秘書課のあの娘 (想い出の山梨暮らし Week 7)

秘書課のあの娘 (想い出の山梨暮らし Week 7)

山梨ひとり暮らし、当時の記録。
何やら楽しげな第7週。

※プライバシー保護の観点から、人物や団体、固有名詞などは仮名とさせていただきます。

前回の話はこちら↓

月に1度、市が運営している「男女共同参画」の研修会に参加している。平日の19時からだし、大切な話とはいえ、ちょっと堅苦しい会だし、正直あまり好きな時間ではない。今までこんな会合とは無縁の人生だったので、参加している自分を俯瞰し、なんだ

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無気力な誕生日 (想い出の山梨暮らし Week 6)

無気力な誕生日 (想い出の山梨暮らし Week 6)

山梨ひとり暮らし当時の記録。
誕生日を迎えた第6週目。

第5週目はこちら↓

26歳になった。
誕生日当日を山梨で、ひとりで迎えたことは、正直シンプルに寂しかった。何も特別じゃない平日だったし、夜ご飯を特別なものにするテンションにもならない。

でも仕事が終わってちょうど帰ってきた頃、姉夫婦と東京の友達からそれぞれプレゼントが届いて嬉しかった。やっとそこで「誕生日」を実感してワクワクできた。

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豊かな生活 (想い出の山梨暮らし Week 5)

豊かな生活 (想い出の山梨暮らし Week 5)

山梨ひとり暮らし、当時の記録。
ついにあれがやってきた第5週目。

第4週目はこちら↓

ついに、我が家にインターネットが開通した。
テレビにもパソコンにも、やっとインターネットが繋がった。やっとWi-Fiを利用できるようになった。

ずっと我慢していた YouTubeもHuluもネットサーフィンも電話も、通信量なんて気にしない。

Huluを立ち上げて、心待ちにしていた「太田上田」を再生したとき

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キツくはないけど、楽しくも (想い出の山梨暮らし Week 4)

キツくはないけど、楽しくも (想い出の山梨暮らし Week 4)

山梨ひとり暮らし当時の記録。
第4週目。

第3週目はこちら↓

山梨に来てから、早くも1ヶ月が経った。
いろんな人から「もう慣れてきた?」とよく聞かれる時期だ。

聞かれる度に、僕は曖昧な回答をしている。
そんな毎日。

「もっちろん!もうすっかり慣れましたよぉ!」
とは、胸を張って言い切れない。

かと言って、1週目のように生活の中で限界を感じることもない。

日中は働き、アパートへ帰るとひと

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自分のために (想い出の山梨暮らし Week 3)

自分のために (想い出の山梨暮らし Week 3)

山梨ひとり暮らし当時の記録。
今回はゴールデンウィークが明けた第3週目。
時代は、コロナの真っ只中であった2021年です。

第2週目はこちらから↓

ご時世的にあまり大きな声では言えないけれど、このゴールデンウィークは一旦山梨を離れ、毎日東京で過ごしていた。

実家にいたとて特に何をするでもなく、結局どこにも行かなかったけれど。

連休前に課長から「東京帰ってもいいけどさ、友だちと集まったり、ウ

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