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よりみちず

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旅の記録(ちいさい)
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おわりの朝【定期券内から】

おわりの朝【定期券内から】

今日も電車に乗っている。黒いコートに身を包んで職場に向かう人たちと一緒に、私も早足で大移動する。

つい昨日まで遠い雪の国でぼんやりと過ごしていたのに、あっという間にいつもの朝。旅から帰って来てアパートの扉を開けてから、直ぐに大きな荷物からひとつずつ物を元の場所に戻し、洗濯機を回し、熱い湯船に浸かった。

浮かれた風船の紐を手繰り寄せるような作業が淡々とできるようになって、大人になったわあなんて自

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3日目の夜【新幹線の中から】

3日目の夜【新幹線の中から】

朝6時に携帯の目覚ましが鳴って目が覚める。よく飲んで喋って数時間しか経ってないのに、どうして起きられるのかが自分でも不思議だ。

外はまだ暗くて爆風。おまけに雪も降って来て、自分ごと吹き飛ばされそうだ。それでも行ってみたかったのは、ホテルの近くにあった教会。三角屋根の白い教会で、光る巨大なクリスマスツリーが輝いていた。昨日の夜に見つけて、明日の朝に行ってみようと決めたのだった。

中に入ると、静か

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2日目の夜【時間に歩幅をあわせてく】

2日目の夜【時間に歩幅をあわせてく】

朝起きると知らない場所でびっくりした。そういえば、昨日は目的地の手前で降りて宿に泊まったんだった。あんまり美味しくないコーヒーを飲んでのんびりする。

今日も電車の長旅はずっと続いていて、かたんことんと揺れている。たまにプーっと汽笛のような不思議な音がする。今日は目的地を通り越して海の近くまで向かった。初めて見た北の国の海は冷たくて大きくて飲み込まれそうで少し怖かった。

その土地のご飯を食べて、

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1日目の昼【電車で過ごす一日】

1日目の昼【電車で過ごす一日】

炬燵みたいに暖かい電車のなかからお届け。鈍行で向かう電車旅は思っていたより最高で、コトコトでトロトロに時間が溶けていくような贅沢なもの。

始発で最寄り駅を出発してからもう10時間以上経っている。10本以上の電車を始発から終点まで乗り継いでいく途方もなさ。電車の中で陽が登って、また暮れようとしているのをただただ見つめるだけなんて!

友達となんてことのないお喋りをしながら、お弁当を食べ、眠りこけて

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0日目の夜【冬の電車旅に備えて】

0日目の夜【冬の電車旅に備えて】

お部屋の布団からお届け。
仕事終わりでへとへとだけど、となりで一年ぶりに会う友達が寝袋に包まって寝ていてワクワクする。明日から始まる旅に備えての前泊だ。

学生の頃からほぼ一年に一度、車中泊で東京から大阪までのんびり旅をしている友達とまた行ってきます。旅でしか会わない友達なんて、不思議なもんだけど、当たり前のように何年も続いているので絆って本当に人それぞれだ。

いつもは大阪方面に行くのだけれども

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この関係がずっと続くといいね

この関係がずっと続くといいね

寝返りの打てない小さな車の中で布団にくるまりながら友達と目を覚ましたのは公園の駐車場。疲れきった体に優しい秋のお日様が差し込んできて、「おはよう」と呟きます。

学生の頃、車中泊しながら東京から大阪までのんびり旅をしたお友達と数年ぶりにまた同じ道を辿って旅行をしました。今回で3回目。

同じ道とはいっても、また一つ大人になった私たちは高速道路を思いっきり使ったり、お金を使って観光地の中でお腹と心を

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一年後のちいさな旅。

一年後のちいさな旅。

金曜日の夜。仕事を終えて、向かったのは友達のおうち。やあ元気とお喋りをして、ちょっと準備をして、シャワーを借りて、青い車に荷物とお布団をつめこみました。

夜の11時、出発です。

東京から大阪まで、したみちで車中泊しながら何日もかけて旅したあの頃からちょうど1年。同じ人と同じ車で再び大阪へ。

でも今回は日曜日には帰らなければいけないので、したみちではなく、高速道路で。道中のいろいろな発見を見逃

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おしまいの朝【都内のお家より】

おはようございます。旅がおわり、お家のおふとんでぐっすり眠りました。もうお昼ですね、こんにちは。

おふとんはいいですね。しばらくぬくぬくとして、洗面所にいって、前髪を切りました。旅中おじゃまになっていたので。パッサリと切ったら、この旅がおしまいになりました。そんな感じがしました。

またいつもの暮らしに戻っています。

でも、旅でたくさんのいいことや大変なことがあって、それはぜんぶ私の腹にはいっ

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10日目の夜【旅、最後のよる】

旅、最後のよるは、車のなかからお届けします。

昨日は、赤や黄色や茶色に染まった山を通り抜けて、ぐんぐんとまたトンネルを抜けてきました。こちらに戻れば戻るほど、山も黒に近い緑に戻っていきました。こちらの紅葉はまだなのでしょうか。

その山々を越えて海まで来ることができました。砂浜は冷たくて、裸足で進むとなんか神秘的。波と遊んだら怒られてびしょ濡れになりました。釣り人が口先の長い深緑の魚を釣っていて

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9日目の夜【うとうとしてたら朝】

大きな田舎道をぐんぐん走り抜けていくと、ぱっと目の前に広がったのは、金色の稲穂の世界。そのときは少し雨が降っていて、しっとりと優しく稲穂が揺れていました。遠くのほうから新幹線が走り抜けるとハッとしたように金色は波うったように見えて、本当にきれいでした。

その金色のなかにポツンと佇む、茶色いお土産屋さん。朝ですが、もうお店は開いていてちらほらお客さんも見えてきます。

少し野菜をかってお店を出ると

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紅葉【山道車内での鼻歌より】

「田舎のお母さんのダサイ弁当」

曲・歌 ゆりあさん



ちくわ ちくわ ちくわ ちくわ

ゴボウの、い た め も の!

ちくわ ちくわ ちくわ ちくわ

きんぴら、きんぴら、しけた 、か ら あ げ!

ちくわ ちくわ ちくわ ちくわ

きのうの、の こ り も の!

6日目の朝【ドミトリーより】

おおさかに、着いたああああああ!!

うれしいなうれしいな。

今日は、かきかきはおやすみします。

たくさんあそぶぞう!はあうれしいなあ。

遊んだらたくさんのこと書きます!
それではよい休日を!!

うひゃー!!

8日目のお昼【お米畑の道の駅から】

東京から大阪まで、5日間かけてついにたどり着きました。2日間たくさんたくさん遊び倒しました。旅人から観光客へ大変身を遂げて、グリコのポーズをしました。実にいい笑顔。

生まれてはじめての大阪。赤、黄、橙のネオンがぐるぐる廻っていました。毎日がお祭りのようです。夢の中の夕方みたいでした。地元のお兄ちゃんは橋のしたにある高い塀に腰かけ、川をゆっくり進む遊覧船に手を降り、ぴょんっと飛び降りて家に帰る。観

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4日目の夜【一年前とお山は】

もうすぐゴールなんですよ。明日には大阪につくみたいです。今日は周りの人たちの言葉がだんだん関西弁になっていくのを感じれた1日でした。とても嬉しい。

本当にお天気がよくて、イルカみたいな雲が3匹並んでぽっかり浮かんでいるのが見えたんですよ。

そこの山々は少しずつ紅葉がはじまっていて、橙と赤と緑がちょっと和風なかんじで、真っ白なお日さまに当たっていました。

国道をすっぱぬけて、風がきもちよくて。

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