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2024年3月の記事一覧

人生を幸福に仕上げるコツはウインナーコーヒーにあるのかもしれない 《会社員》

人生を幸福に仕上げるコツはウインナーコーヒーにあるのかもしれない 《会社員》

「こんな簡単なこともできないのか」

会社で言われる度に落ち込んでいた。
私には、"簡単なこと"ができない。

・・・

およそ10年前——

特に栄えてはいないが、田舎とは言えないような町。ほどほどに人々が笑い、青ざめて見える。涙を忘れたかった日々。風に流され、空き缶が不気味に音を立てながら転がっている。

駅前の混雑も落ち着き、会社員たちが概ね出勤しきった午前10時半頃、私はゆらゆらと町を歩い

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さよならあの日のロッテンマイヤー

さよならあの日のロッテンマイヤー

子供心。
かつて子供だった私たちが理解している感情で、例えそれを忘れ去ってしまったとしても、水底に沈んでいるだけのようなものだ。
それは、ふと心が波打った時などに戯れに水面に浮かんで来ては、一部分だけ読めなくなってしまった暗号のように、謎めいた風を装って、記憶を刺激してくる。

で、大人心という言葉があるのか知らないけれど。
大人心というものは、子供には理解がてんで及ばない。
なぜなら、子供はまだ

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そのための春

そのための春

 自転車がパンクした。家からちょっと走ったところで後輪からパンッという音がして、ペダルを漕ぎ出してからついに「ああ、やっぱりパンクか」と現実を受け入れた。
 買ってからまだ3ヶ月も経たないが、空気が抜けてしまったのだろうか。空気入れを借りるため、近くの自転車屋へと駆け込んだ。

 新代田の近くの商店街にあるサイクルショップ。その店先におばちゃんがひとり佇んでいて、「あのう…」と小さく声をかけた。

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広告だらけの羅生門

 ある日の暮方の事である。一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待っていた。<PR:梅雨におすすめ!コスパ最強の折り畳み傘は?>

 広い門の下には、この男のほかに誰もいない。ただ、所々丹塗にぬりの剥はげた、大きな円柱に、蟋蟀 <PR:読みが難しい語3万語を採録!難読漢字辞典> が一匹とまっている。羅生門が、朱雀大路にある以上は、この男のほかにも、雨やみをする市女笠や揉烏帽子<PR:今年こそ差がつ

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母をたずねて三千里は距離感バグりすぎ。

母をたずねて三千里は距離感バグりすぎ。

母をたずねて三千里といえば昔やってたアニメ。めちゃ昔にやってて、私は子どものころに再放送かなんかで見たような見てないような。

この種類のアニメといえば、フランダースの犬とあらいぐまラスカルだ。

が、フランダースの犬にしても、あらいぐまラスカルにしても、そしてこの母をたずねて三千里にしても、その物語の詳細をまったく覚えていないのが心苦しい。

フランダースの犬もあらいぐまラスカルも、タイトルだけ

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【鞆の浦リモンチーノ】瀬戸内レモンのフレッシュな芳香で「福」を呼ぶリキュール(広島県福山市)

【鞆の浦リモンチーノ】瀬戸内レモンのフレッシュな芳香で「福」を呼ぶリキュール(広島県福山市)

「鞆の浦リモンチーノ」は、広島県福山市や瀬戸田町のレモンを蒸留酒に漬け込んだリキュールで、栄養士の資格を持つ3人の女性が中心となり、2020(令和2)年から週末や余暇を利用して造っている。鞆の浦の古民家を改装した酒造所で、「ともの」代表の村上百合子さんに話を伺った。

「レモンは自然農法にこだわっています。果皮を使用するので農薬はもちろん不使用。安全安心な食材を口にしてもらいたいし、格段に香りがい

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