yuki_hoshi_db

どうで死ぬ身の一踊り。 こんな浮世は踊らにゃ損々。 ★ブログ:https://yuk…

yuki_hoshi_db

どうで死ぬ身の一踊り。 こんな浮世は踊らにゃ損々。 ★ブログ:https://yuki-hoshi.hatenablog.com/ ★お仕事:編集者→マーケター→コンサルタント

記事一覧

『傘』

 住まいは、一棟を四部屋に分けた寂しいアパートメントであった。  部屋の扉を開くと廊下から窺える外の雰囲気は、隣家の生垣でいつも光を奪われている。  ボクは、その…

yuki_hoshi_db
1年前

【書評】夏目漱石「吾輩は猫である」

「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」 かく有名な一文により幕が開ける夏目漱石の処女作「吾輩は猫である」。 冒頭から痛快な批評の嵐である。確かに、猫の観点からして…

yuki_hoshi_db
1年前
4

【書評】西村賢太「苦役列車」

『生きる。それは辛く、美しい。』  ふと、日々の生活に息の詰まる思いをしたことはありませんか。  とかく、現代に生を享けた人は、「スマート」の観念にお仕着せられ…

yuki_hoshi_db
1年前
4

失し物/失す物

 胎動という言葉は良い。地球が動いているようだ。心地のよい水に満たされて、大いなる愛に包まれて、まだ見ぬ未来に眠る。  これから萌す命の歩む道は苦悩なのか、快楽…

yuki_hoshi_db
1年前

『然る後』_前期ニーチェ序曲

 濁っている。世界が濁っている。眼球が汚水で満たされてしまった。    価値が転倒する。世の中の全てが塗り替えられていく。  神は悪だ。私たちは救いを見たか。  …

yuki_hoshi_db
1年前

11か月後のトリップ

《十八時を告げるサイレン。棘のある室内の涼しさ。換気扇のまわる音。》    私は旅行に興味が無い。いまこうして、人に旅を薦める小稿を書いているのも、お盆休みの真っ…

yuki_hoshi_db
1年前
2

Instagramのフォローもぜひ〜🐧🐧🐧

yuki_hoshi_db
1年前

はじめました。

「はじめました。」はじめました。 日記やら、もろもろのSNSやら、と ぽつぽつ色々なところに文章を書いていましたが、 こちらにまとめちゃおうかなと。 えぇいっ。…

yuki_hoshi_db
1年前
5

『傘』

 住まいは、一棟を四部屋に分けた寂しいアパートメントであった。
 部屋の扉を開くと廊下から窺える外の雰囲気は、隣家の生垣でいつも光を奪われている。
 ボクは、その、ほの暗い廊下を歩み、下駄箱から、ことどとく古びたスニーカーを取り出す。大学生時分から同じモデル、同じ色を履き潰し続けている。このモデルは、夭折した、憧れのロックスターがよく履いていたものだ。彼は、喜びと悲しみをともに湛えた瞳で、いまもボ

もっとみる

【書評】夏目漱石「吾輩は猫である」

「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」

かく有名な一文により幕が開ける夏目漱石の処女作「吾輩は猫である」。

冒頭から痛快な批評の嵐である。確かに、猫の観点からしてみれば、人間は奇妙にも傲慢にも、野蛮にも見えるだろう。そうした人間の性質と言うものを、この小説の主人公である名もなき猫は的確に捉えている。

しかして、その人間への分析が猫と言う主観に基づくものではなくて、人間の私が読んでも、つい、ニヤ

もっとみる

【書評】西村賢太「苦役列車」

『生きる。それは辛く、美しい。』

 ふと、日々の生活に息の詰まる思いをしたことはありませんか。

 とかく、現代に生を享けた人は、「スマート」の観念にお仕着せられているように思えてなりません。反感を買わない、なんでも器用にこなす、皆が「いいね!」と言うモノを享受する、という価値観に縛られている。かくいう私もそのひとりです。

  ◆

 西村賢太氏の芥川賞受賞作『苦役列車』の主人公・北町貫多は、

もっとみる

失し物/失す物

 胎動という言葉は良い。地球が動いているようだ。心地のよい水に満たされて、大いなる愛に包まれて、まだ見ぬ未来に眠る。
 これから萌す命の歩む道は苦悩なのか、快楽なのか。
 過去から将来の道を照らす暖かな光なのか、はたまた迷路のような暗闇に誘い込む魔女なのか。
 
 それは、悲しみと喜びのどちらが勝負を制するかという、当座の我々の認識によって、運命付けられる。どのような道を歩み、どのように終えるのか

もっとみる
『然る後』_前期ニーチェ序曲

『然る後』_前期ニーチェ序曲

 濁っている。世界が濁っている。眼球が汚水で満たされてしまった。
 
 価値が転倒する。世の中の全てが塗り替えられていく。

 神は悪だ。私たちは救いを見たか。
 悪魔は善だ。声を張り上げる人の身なりを見よ。

 いつまでも旧式の善を為そうとするから、損をするのだ。社会から蔑まれるのだ。

 踏め、価値を。疑え、感覚を。

 足元で気味悪く、粘着質に蠢くものは先人の脳髄だ。
 所詮は、日陰でジメジ

もっとみる
11か月後のトリップ

11か月後のトリップ

《十八時を告げるサイレン。棘のある室内の涼しさ。換気扇のまわる音。》
 
 私は旅行に興味が無い。いまこうして、人に旅を薦める小稿を書いているのも、お盆休みの真っ最中。自宅に引きこもってのことである。
 
《二日ぶりに外にでる。暑さ、日差し、というよりも空気の塊にぶつかったようだ。》
 
 これまでの自分の人生を振り返っても、旅行と呼べるものは修学旅行くらいで、昔のアルバムを開いても、旅行の写真な

もっとみる
はじめました。

はじめました。

「はじめました。」はじめました。

日記やら、もろもろのSNSやら、と

ぽつぽつ色々なところに文章を書いていましたが、

こちらにまとめちゃおうかなと。

えぇいっ。
と、まとめてしまおうかなと。

創作は手書き派なので、noteとはラグがあるかもしれません……

だいたいが、わたしの覚書き、という面が強いかと思いますが、
暇つぶしにでも立ち寄っていただけたら幸いです。

よろしくおねがいします

もっとみる