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映画感想

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記事一覧

映画「ミッシング」 純粋がゆえの悪意

映画「ミッシング」 純粋がゆえの悪意

そうか、そういう方向性の映画なのかこれは。
題名から想像されるように、失踪した娘を探す両親がその過程で傷つき、助けられて、希望に向かっていくというような感じかなと思いながら観ていた。

そこは自分的にもかなり浅はかな見方で、娘をなにがなんでも探したいという絶望の中、それをもっと深い絶望に落とし込む闇が現代には潜んでいるということがある。報道の仕方から、SNSの拡散、見たくもないけど見なく亭はならな

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Netflix「極悪女王」

Netflix「極悪女王」

すごい映像だった。後半はもうドラマの中に飲み込まれていったかのような感覚だった。「極悪女王」、正直最初の1話ではちょっとダルイなと思ってやめてしまっていたが、2話以降を見てよかった。

プロレスというもののをフィルムで通すプロレスを普段から見ていないので、特に思い入れもなかったけど
やっぱりこれはプロレス中継でなく、映画だし、見せ方がとてもよかった。
この極悪女王に限らず、プロレスや格闘技の世界に

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ドラマ「虎に翼」

ドラマ「虎に翼」

最終回を迎えました。
あっという間の半年間でした。
やっぱりこのドラマのかなり大きな部分を担ったこのオープニング曲は
米津さんでよかった。
最初に見た時に「これは面白くなる」と直感の働いた。

このドラマを通して思ったのは一番は「編集の妙」だった。
とにかくテンポが速く、時間経過を書くのがとてもうまかった。
いろんな話を盛り込んでいるので、さくさく進めていかないといけないというがあったと思うけど、

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映画「スオミの話をしよう」

映画「スオミの話をしよう」

ちょっといまいちだったかな。
演劇的でワンカット長回しな部分は、面白い部分もあった。
今回一番光っていたのが、僕的には瀬戸康史さん。
前に一度三谷さん舞台で出演されていたのもあって、最近よく使われているのはコメディアンスの才能が溢れているんだと思う。
ストーリーテリングとして、脇でしっかり仕事をしている彼を観れただけでも、よかったと思う。

いまいちだったと思うのは、キャラクターの描き方。
ちょっ

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映画「ラストマイル」

映画「ラストマイル」

感想としては「なんて真面目な映画なんだ」ということ。
身近な社会問題も扱って、しっかりと映画的な伏線回収、キャラ設定…どこからどう切り取っても真面目な映画。

アンナチュラルやMIU404チームを入れたりと全方位的に集客出来そうな布陣。
だけどそれが少し面白くなく映ったのかもしれない。

映画はお祭りだし、TBSのドラマから出たこともわかるけど、少し冷めてしまったかな。

でも満島ひかりが演じるセ

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映画「インサイドヘッド2」

インサイドヘッド1を観ていなかったので
設定に入り込めるか不安な感情はあったが、全然問題なし。
途中までは基本的にポジティブな人間が正ということを言いたいのか?
って思っていたけど、様々な感情を認めるということがとても優しい映画だと思った。

トイストーリーの子どもが成長していく上での人形たちからの視点というのも新しかったけど、この感情を擬人化させるというアイデアはなんともピクサーらしくて好きだ。

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映画「街の上で」

アンメットで上手いなーと思ってた若葉竜也。
この映画でも、めっちゃ好きな感じでした。

ワンカット長回しで見せる会話を撮る今泉力哉監督。好きすぎる。

シュールな展開な日本映画かと思いきや
伏線回収しまくる天才的な展開。

笑いでもなくコメディでもない絶妙なニヤける感情が随所に湧き起こってくる。

これは傑作。

映画「雪山の絆」

映画「雪山の絆」

見終わった後の重たくのしかかった後味の悪さはあるものの
見応えのある映画と言いたい。
部屋の中で見ていたので、これがもっと音響設備の整った映画館で観たら
雪に埋もれたシーンの息苦しさに、吐きそうになって発狂していたかもしれない。

人はこれほどの絶望を目の前に突きつけられた時
何を信じて、どう行動出来るんだろうか?
簡単に想像できないから、言葉が見つからない。

印象的なシーンとしては、絶望の中で

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映画「すばらしき世界」

映画「すばらしき世界」

何の情報もなく見てみたら、この映画の色味好きだなーと思った…やっぱり西川美和監督かー。
いい映画だったなー。

役所さんって訛りある役やらせたらほんと天下一品です。孤狼の血の広島弁も良かったけど、今回の博多訛りもいいねー。

うまい演出として、主人公の男が短気であること。これがベースになってあらゆる物語に転がっていける。それが狂気をはらんでいるから、見ているこっちとしてハラハラして見てしまう。

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映画「ゴジラ-1.0」

面白かった。
ゴジラかっこよすぎる。
「映画館で見なきゃ損ですよ」っていう枕詞が一番合う映画。

展開的に「?」と思うところは何点かあったものの
おおよそラストこういうことになるだろうということに対し
プラスの展開になったことがとても気持ちがよい。

お客さんを裏切らないって作り手として
とても大事なんだと考えさせられる映画でした。

Netflix「サンクチュアリ聖域」

Netflix「サンクチュアリ聖域」

映画「ガチ星」見た上で、江口カン監督のドラマと思うと、観るのにパワーいるなとなかなか踏み出せずにいた。

Netflixのドラマの第一話をポチッとするのが
なかなか億劫になる時ってないですか?

しかし時は待ってくれない。

「待ったなし」の行司が叫び声がどこかで聞こえたような気がした。

オープニングのカッコ良さオープニングには特にその素晴らしさが表れていた。
ドラマ本編を通しても、今まで相撲に

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「THE DAYS」ありがとう役所さん

「THE DAYS」ありがとう役所さん

見ごたえのある作品でした。
同じ内容で映画化した「Fukushima50」と比較されるところかもしれないが
映画は映画で感動したし、このNetflixドラマでもそれはいいものだったと思う。

ただ今までは映画という2時間前後の尺でしか伝えられなかったものが
制作費もかけて8話という長尺で伝えられる、これは福島原発事故を描く上で良かったことの一つだった。

正直8話まるまる恐怖がずっと続いていた。

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映画「ガチ星」

映画「ガチ星」

ガチぜいではなく、ガチぼしと読むみたい。
確かに勝敗を舞台にしたものである以上
「ほし」と表現するのは合っていると思うけど
意外にガチぜいと読むのも、
この男臭い映画には合っているようにも思うがいかがでしょう?

さて自転車の世界で言うと弱虫ペダルぐらいしか浮かんでこなかったけど、この競輪の世界を描くというのは初めてで非常に面白かった。

フィルムルックが中年がもがく辛い世界を表現していたよく韓国

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映画「ロストケア」

映画「ロストケア」

てっきり猟奇的な殺人鬼の松山ケンイチが出てくるものとばかり思っていたけど、全く違った。

ストレートな社会派映画。
ビジュアルがどうしても損しているような気がしなくもないけど、内容はすごくいい映画。

介護をテーマに扱っていて
特に認知症を患う本人、そして周りの家族がどういうことになるかどストレートに描いている。

同じようなテーマでは昔映画「半落ち」を観た時も、やはり正義とは?を考えさせられた。

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