小束弓月

小説を書きます。代表作「槍の鞘」「梅雨の空を見上げる巫女」等。詳しくは固定記事をご覧下…

小束弓月

小説を書きます。代表作「槍の鞘」「梅雨の空を見上げる巫女」等。詳しくは固定記事をご覧下さい。

マガジン

  • misskeyサーバ

    misskeyの自分用サーバ運用についての記事です

  • 春見沙耶の記憶(『槍の鞘』外伝)

    和風幻想小説「槍の鞘」の外伝小説です/本編の第二章と第三章の間の出来事となります/ 「鬼っ子ハンターついなちゃん」二次創作作品/ こちらの序章と第一章は朗読もございますので、ぜひご覧下さい/ 朗読:ねえさん。https://twitter.com/neesan3_ /カバー油絵:小鳥遊 琥珀 https://x.com/takanashi_pe420?s=21&t=jJNEfe891Wby86PAqujLeQ

  • 焔より出ずる氷雪の刻 槍の鞘第二部

    コミックマーケット98(1日目・5/2)公開予定だった新刊です。まえがき・トレーラー動画・序章を無料で読めます。デザイン:絹井けい・膝下。/イラスト:膝下。・みかマイブーム/挿絵:絹井けい・みかマイブーム

  • 思慕と祈りを繋ぐ先 槍の鞘第四部

    和風幻想小説「槍の鞘」第四部 思慕と祈りを繋ぐ先 ----- 遙か千五百年前、古墳時代後期の動乱期に生を受けた春見珠洲(かすみ すず)は六歳上の姉の背を追い修練に励む。姉は見事に「槍の鞘」を継承するが、直後に訪れた災厄に力及ばず相討ちとなり世を去る。 姉の遺志を胸に、珠洲は混乱を迎えようとしていた大和国の大王(おおきみ)の正統後継者を探す旅に出る。 様々な人々の助力を受けながら、隠遁していた王子達を発見し任務を果たす珠洲。しかし彼女の目の前に、かつて姉を死に追いやった災厄が再び立ちはだかる。 ----- 作:小束 弓月 デザイン:みかマイブーム 表紙:膝下。 挿絵:みかマイブーム・がまぐちうお・絹井けい・shiroha 朗読:和泉スズ https://suzu.3bell.tokyo/

  • 梅雨の空を見上げる巫女

    小束弓月のオリジナル小説です。とある時代の若き巫女と、彼女を慕う少女の物語です。各章・朗読共に無料でお楽しみいただけます。 Twitter:https://twitter.com/yukoduka 朗読:和泉スズ様 Twitter:https://twitter.com/mi_suzu__ HP:https://misuzuu.amebaownd.com マガジンイラスト:倉田理音様 Twitter:https://twitter.com/kuratarine HP:http://kuratarine.com 各話カバーイラスト:夏町うしお様 https://twitter.com/712kmc

記事一覧

お一人様misskeyサーバを立てた個人的記録

2024年2月20日追記 情報が頻繁に変わって更新が追いつかず、本記事の方法でつまづく場合があります。そういう時は、まず公式サイトの最新ドキュメントを読んでください。 …

小束弓月
6か月前
3

misskeyサーバを物理的に引っ越す手順

注意本記事はあくまで個人の備忘録です。実際のmisskeyサーバの引っ越しは慎重に準備の上、ご自身の責任で行って下さい。 はじめにクローズドmisskeyサーバ「こづか山荘」…

小束弓月
6か月前
14

misskeyデータベースのバックアップをcronで定期的にCloudflare R2に保存する

クローズドmisskeyサーバ「こづか山荘」の管理人、小束弓月と申します。 DNSやオブジェクトストレージにCloudflareを使っている鯖缶の方も多いと思いますが、こちらはデー…

小束弓月
11か月前
3

朗読:春見沙耶の記憶 第1章

00:00 | 00:00

小説「春見沙耶の記憶」第一章の朗読です。 ねえさん。 X(旧Twitter):https://twitter.com/neesan3_ サイト:https://neesan3.wixsite.com/website

小束弓月
11か月前
1

朗読:春見沙耶の記憶 序章

00:00 | 00:00

小説「春見沙耶の記憶」序章の朗読です。 ねえさん。 X(旧Twitter):https://twitter.com/neesan3_ サイト:https://neesan3.wixsite.com/website

小束弓月
11か月前
2

再会

 梅雨明け前の神奈川県厚柿(あつがき)市は既に夜の闇に覆われていたが、未だに日中の蒸し暑さが漂っていた。そんな中、人気(ひとけ)の消えた公園から二人の女性の声が…

小束弓月
11か月前
2

第四章 言葉と想い

「私は、細川讃岐守真之(さねゆき)の娘です」  少女は私が布団に寝かせてからしばらくすると目覚めた。方相氏が告げた通り、彼女は言葉を取り戻していた。彼女の言葉は…

小束弓月
11か月前
2

第三章 方相氏

 林の小屋で少女と暮らしはじめて、今日で三日目になる。日々の食事には、小屋の保存食に加えて新鮮な食材も欠かせない。今朝も私は少女に小屋のことを任せ、自分が近隣の…

小束弓月
11か月前
2

第二章 四つ目の面

 私は少女に導かれるまま林に入った。鬱蒼と茂る木々が陽の光を遮るため、中は昼間でも薄暗い。草に覆われた頼りない獣道をしばらく進むと、やや開けた明るい場所に出た。…

小束弓月
11か月前
1

第一章 無言の少女

 そんなことを漠然と考えながら土手に沿って歩いていると、子供達の騒ぐ声が聞こえてきた。 「唖(おし)の子、他所の子、泣いて叫んで親を呼べ」  十歳程の男児数人が同…

小束弓月
11か月前
1

序章 戦国の阿波国

 私の生まれ故郷である阿波国麻植(おえ)郡木屋平※の村は、天の雲をも貫く霊峰剣山を間近に望む。村と言ってもほとんどが険しい山地で、辛うじて人が暮らすことの出来る…

小束弓月
11か月前
1

お一人様misskeyサーバを立てた個人的記録

2024年2月20日追記 情報が頻繁に変わって更新が追いつかず、本記事の方法でつまづく場合があります。そういう時は、まず公式サイトの最新ドキュメントを読んでください。 …

小束弓月
1年前
7

朗読 焔より出ずる氷雪の刻 序章

00:00 | 00:00

和風幻想小説「槍の鞘」第二部 焔より出ずる氷雪の刻 第一章「序章 時代を跨ぐ血統」通しでの朗読になります。 朗読:和泉スズ https://suzu.3bell.tokyo/

小束弓月
2年前

思慕と祈りを繋ぐ先 あらすじ

この国の過去と現在において、生き様を見事を貫いた四人の娘達が居た。 戦国の世で人々との軋轢に苦しんだ、春見沙耶(かすみ さや)。 平安の世で一途な想いを貫いた、春…

小束弓月
2年前
1

小説「思慕と祈りを繋ぐ先」プロモーションビデオ

PV 和風幻想小説「槍の鞘」第四部 思慕と祈りを繋ぐ先 第一章「empathy with harmony」 朗読:和泉スズ https://suzu.3bell.tokyo/ 表紙:膝下。 挿絵:がまぐちうお・み…

小束弓月
2年前

第一章 empathy with harmony 本文

 七月上旬のある夕方、晴れ渡った西の空で輝くオレンジ色の太陽が、熱気を帯びた直射日光を容赦無く地上に浴びせていた。梅雨も終盤に入り数日雨が続いていたので、久しぶ…

小束弓月
2年前
1

お一人様misskeyサーバを立てた個人的記録

2024年2月20日追記
情報が頻繁に変わって更新が追いつかず、本記事の方法でつまづく場合があります。そういう時は、まず公式サイトの最新ドキュメントを読んでください。

https://misskey-hub.net/ja/docs/for-admin/install/guides/

2023年4月21日
あくまで「個人的にこうしたら成功した」という記録です。質問されてもお答えできませんので悪し

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misskeyサーバを物理的に引っ越す手順

misskeyサーバを物理的に引っ越す手順

注意本記事はあくまで個人の備忘録です。実際のmisskeyサーバの引っ越しは慎重に準備の上、ご自身の責任で行って下さい。

はじめにクローズドmisskeyサーバ「こづか山荘」の管理人、小束弓月と申します。
misskeyサーバを他社VPSに乗り換えるとか、自宅サーバに引っ越しさせたりする時の手順です。
タイトルの書き方がふさわしいか不安ですが、misskeyはユーザ向けにアカウント移行(自分のア

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misskeyデータベースのバックアップをcronで定期的にCloudflare R2に保存する

misskeyデータベースのバックアップをcronで定期的にCloudflare R2に保存する

クローズドmisskeyサーバ「こづか山荘」の管理人、小束弓月と申します。
DNSやオブジェクトストレージにCloudflareを使っている鯖缶の方も多いと思いますが、こちらはデータベースのバックアップを定期的に取る方法です。

前提Ubuntu server 22.04.3・postgresql 15.4

Cloudflareに登録済み
misskeyサーバでオブジェクトストレージを利用してい

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再会

再会

 梅雨明け前の神奈川県厚柿(あつがき)市は既に夜の闇に覆われていたが、未だに日中の蒸し暑さが漂っていた。そんな中、人気(ひとけ)の消えた公園から二人の女性の声が聞こえてくる。
「最近の鬼どもは弱っちくなったなぁ。そない思わへん?」
「私に言われても困ります」
 関西弁で話しかけた方は、色白で背が低く華奢な少女である。それに答えた方は、少女とは対照的に背が高くグラマラスな体型を誇る成人女性のようだ。

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第四章 言葉と想い

第四章 言葉と想い

「私は、細川讃岐守真之(さねゆき)の娘です」
 少女は私が布団に寝かせてからしばらくすると目覚めた。方相氏が告げた通り、彼女は言葉を取り戻していた。彼女の言葉は流暢で聴き心地が良かったが、話す内容は私の予想を超えていた。
「細川? あの細川家?」
 細川家とは室町殿※の分家で、元を辿れば鎌倉右大将源頼朝と同じく源義家を家祖とする。足利尊氏の幕府設立に大きく貢献した細川家は、本家は将軍を補佐する管領

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第三章 方相氏

第三章 方相氏

 林の小屋で少女と暮らしはじめて、今日で三日目になる。日々の食事には、小屋の保存食に加えて新鮮な食材も欠かせない。今朝も私は少女に小屋のことを任せ、自分が近隣の朝市に出掛けた。言葉の不自由な彼女に代わって、蓄えてある食料を採れたての野菜や魚に交換するためである。
 特に旅路を急いでいるわけでもなかった私は、この少女と生活を共にしながら彼女を預かってくれる寺などを探すつもりであった。

 私は市で得

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第二章 四つ目の面

第二章 四つ目の面

 私は少女に導かれるまま林に入った。鬱蒼と茂る木々が陽の光を遮るため、中は昼間でも薄暗い。草に覆われた頼りない獣道をしばらく進むと、やや開けた明るい場所に出た。そこには古ぼけた鳥居が建っていた。朱色の塗りはほぼ剥げ落ち、至る所に虫食いの穴があいている。いつ倒れてもおかしくはないだろう。さらにその奥にある祠は、長年の雨風に耐えかねたかのように屋根の一部が失われていた。かつては神社だったようだが、今は

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第一章 無言の少女

第一章 無言の少女

 そんなことを漠然と考えながら土手に沿って歩いていると、子供達の騒ぐ声が聞こえてきた。
「唖(おし)の子、他所の子、泣いて叫んで親を呼べ」
 十歳程の男児数人が同い年くらいの女児一人を囲み、一方的に罵声を浴びせている。女児に小石を投げる男児もいる。囲まれた女児は、怯えながら両腕で頭を庇ってうずくまり動かない。私は急いで駆け寄り、男児達を怒鳴りつけた。
「こら、あんたたち何してるの!」
 すると男児

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序章 戦国の阿波国

序章 戦国の阿波国

 私の生まれ故郷である阿波国麻植(おえ)郡木屋平※の村は、天の雲をも貫く霊峰剣山を間近に望む。村と言ってもほとんどが険しい山地で、辛うじて人が暮らすことの出来る平地は穴吹川沿いに僅かしか存在しない。村人はそこに家を構え田畑を耕しながら、質素で慎ましい暮らしを営んでいる。穴吹川は山を下ると、阿波国を西から東に悠々と流れる四国随一の大河、吉野川と合流する。
 今は如月(きさらぎ)の半ばで、木屋平は未だ

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お一人様misskeyサーバを立てた個人的記録

お一人様misskeyサーバを立てた個人的記録

2024年2月20日追記
情報が頻繁に変わって更新が追いつかず、本記事の方法でつまづく場合があります。そういう時は、まず公式サイトの最新ドキュメントを読んでください。

2023年4月21日
あくまで「個人的にこうしたら成功した」という記録です。質問されてもお答えできませんので悪しからず。

クローズドmisskeyサーバ「こづか山荘」の管理人、小束弓月です。初めてmisskeyサーバを立てた時の

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和風幻想小説「槍の鞘」第二部
焔より出ずる氷雪の刻
第一章「序章 時代を跨ぐ血統」通しでの朗読になります。

朗読:和泉スズ https://suzu.3bell.tokyo/

思慕と祈りを繋ぐ先 あらすじ

思慕と祈りを繋ぐ先 あらすじ

この国の過去と現在において、生き様を見事を貫いた四人の娘達が居た。
戦国の世で人々との軋轢に苦しんだ、春見沙耶(かすみ さや)。
平安の世で一途な想いを貫いた、春見綾子(かすみ あやこ)
令和の現代を手を取り合いながら生きる双子姉妹、三上佐枝子(みつかみ さえこ)と三上泉水(みつかみ いずみ)。
そして彼女らを陰から支え導いた「姉」とも「先祖」とも言える存在、春見珠洲(かすみ すず)。

珠洲はは

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小説「思慕と祈りを繋ぐ先」プロモーションビデオ

PV
和風幻想小説「槍の鞘」第四部
思慕と祈りを繋ぐ先
第一章「empathy with harmony」

朗読:和泉スズ https://suzu.3bell.tokyo/
表紙:膝下。
挿絵:がまぐちうお・みかマイブーム

第一章 empathy with harmony 本文

第一章 empathy with harmony 本文

 七月上旬のある夕方、晴れ渡った西の空で輝くオレンジ色の太陽が、熱気を帯びた直射日光を容赦無く地上に浴びせていた。梅雨も終盤に入り数日雨が続いていたので、久しぶりの晴天は人々を喜ばせた。しかしその熱気は今まで大地に降り注いだ雨を一気に蒸発させ、湿度と不快指数をぐんぐん上昇させていた。
 神戸の中心地である三宮のターミナル駅では、帰宅ラッシュで混雑する電車が続々とプラットホームに到着しては人波を吐き

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