思慕と祈りを繋ぐ先 あらすじ
この国の過去と現在において、生き様を見事を貫いた四人の娘達が居た。
戦国の世で人々との軋轢に苦しんだ、春見沙耶(かすみ さや)。
平安の世で一途な想いを貫いた、春見綾子(かすみ あやこ)
令和の現代を手を取り合いながら生きる双子姉妹、三上佐枝子(みつかみ さえこ)と三上泉水(みつかみ いずみ)。
そして彼女らを陰から支え導いた「姉」とも「先祖」とも言える存在、春見珠洲(かすみ すず)。
珠洲ははるか千五百年前の古墳時代末期、まだ天皇が大王(おおきみ)と呼ばれていた時代において、四人の娘達同様この国を西の災厄から守護する「槍の鞘」の任を負う春見家に生を受ける。珠洲の六歳上の姉は「槍の鞘」を目指して修練を重ね、珠洲は姉の背を追う日々を重ねていた。
しかし珠洲がまだ未熟な少女の頃、災厄が姉妹の眼前に現われる。姉は辛うじて災厄を退けるが、相討ちとなり若くして命を落とす。珠洲は姉の遺言から、自身がいくら血反吐を吐くような努力を重ねたとしても姉に及ぶ力を身につけることは出来ないと知る。
しかし珠洲には並外れた記憶力と、数多の書物から得た知識と洞察力があった。姉の目指した道をそのまま追うのでは無く、自分だからこそ辿れる道を模索する。
そして多くの人々との出会いを通じ、断絶しようとしていた大王家の正当な世継ぎを見出し、世を平穏に導くことに成功する。
しかし、かつて姉の命を眼前で奪った災厄が再び珠洲の前に立ち塞がる。珠洲が見出した大王家の血統も再び絶えようとする。珠洲が姉の遺志を未来の娘達に継ぐために取った手段とは……
本作は「槍の鞘」シリーズ既刊
「槍の鞘」「焔より出ずる氷雪の刻」「雪を纏う夏草」
の世界観をより深く掘り下げ、「槍の鞘」の根幹に迫ります。
時代背景は仁徳天皇の孫にあたる雄略天皇の治世から顕宗・仁賢両天皇へ、そして現在の天皇家に直接繋がる継体天皇へと移っていく激動期となります。
作:小束 弓月
表紙・題字:膝下。
デザイン:みかマイブーム・絹井けい・膝下。
挿絵:がまぐちうお・みかマイブーム・絹井けい・shiroha・Akuto
PV朗読:和泉スズ
冊子版 通信販売
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