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不登校を考える なぜ九十年代に不登校が急増したのか

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私は十年以上に渡って公立の学校でスクールカウンセラーとして働き、多くの不登校の生徒や保護者の方々と関わってきました。  そういった中で普通なら「不登校になった生徒はどうしたら学校… もっと読む
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結論 不登校はなぜ増えたのか

結論 不登校はなぜ増えたのか

 不登校とは何か。それを考える上で欠かせないのは、なぜ九十年代後半に不登校が急増したかです。いじめや校内暴力、受験競争、ゆとり教育といった学校特有の問題や変化は九十年代に起きたわけではありません。九十一年に不登校の定義が年間五十日欠席から年間三十日欠席へと変わりましたが、不登校の増加は不登校の枠を広げたせいだけではありません。むしろ定義変更後である九十年代後半に不登校は急増しています。
 実は不登

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今不登校にあるみなさんへ 不登校の対策論 本人編 4

今不登校にあるみなさんへ 不登校の対策論 本人編 4

学校復帰について 本来ならここから書き始めるべきことかもしれませんが、あえて最後の方に持ってきました。それは学校への戻り方についてです。え?と構えずに落ち着いてこの先も読んでみてください。
 まず、あなたにとって学校は必要です。「えー、今までさんざん学校に行くだけが正しい道じゃないみたいに言ってたじゃんかよー」と思うかもしれませんが、最後まで読んでください。
 現在の日本では、子どもにとって学校は

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今不登校にあるみなさんへ 不登校の対策論 本人編 3

今不登校にあるみなさんへ 不登校の対策論 本人編 3

外とのつながりについて ここからは外部、つまり家族以外の人とのつながりの話です。昔は直接会う関係だけでしたが、今はネットなど新たな出会いもあります。色々と考えていきましょう。
 まずは直接会っていた人達から。学校の先生との関係はできれば保っていたいところです。といっても人それぞれ色んな事情があることでしょう。無理する必要はありません。友達との関係も同様です。友人関係はとても大事で、外との架け橋にも

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今不登校にあるみなさんへ 不登校の対策論 本人編 2

今不登校にあるみなさんへ 不登校の対策論 本人編 2

さて、では何をしよう? ここまでは◯◯に費やした時間を減らそうという話ばかりしてきました。さて、そうやって増えた時間を何に使うのがいいのでしょうか。
 この答えも人それぞれです。そしてその答えを出すのは基本的にはあなた自身です。正確にいうとあなたとあなたの周りの人で話し合って決めることです。
 ここではポイントだけ書きましょう。重要なことはバランスと無理をしないことです。
 バランスというのは、今

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今不登校にあるみなさんへ 不登校の対策論 本人編 1

今不登校にあるみなさんへ 不登校の対策論 本人編 1

まず落ち着こう もしあなたが学校に行けない(行かない)状態であったり、学校を休みがちでこの文章を読んでいるとしたら、それはとても勇気のあることだと思います。いや、少し言葉が違うかもしれない。とにかくこのページを今読んでいるあなたに何か言葉をかけたくてうずうずしてしまいます。
 そんなあなたにまず伝えたいことは、自分を責める必要はないということです。学校に行きたいのに行けないのか、行きたくないのかと

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今不登校にあるみなさんへ 不登校の対策論 親編 6

今不登校にあるみなさんへ 不登校の対策論 親編 6

成績はどうなる? 進路について考える時に避けて通れないのが成績です。現在の高校受験ではほとんどの受験方法で中学校の成績が関係しています。そして、中学校の成績は単純に定期テストだけで決められていません。授業での理解や態度といった普段の授業の状態とテストの点数とを合わせて成績が決められています。
 こういったことはおそらく保護者の方も学校から説明を受けているでしょう。子ども達も成績どうつけられるか先生

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今不登校にあるみなさんへ 不登校の対策論 親編 5

今不登校にあるみなさんへ 不登校の対策論 親編 5

子どもとのコミュニケーションについて  漠然とでさえお子さんと進路の話をするというのはとても難しいことでしょう。仮に不登校じゃなくたって、年ごろの子どもと突っ込んだ話なんてなかなかできないものです。不登校のお子さんと進路の話をするというのがさらに難しいことは容易に想像がつくでしょう。
 これは逆に考えてください。子どもと進路の話が何となくできるというところまで親子関係をもってくいくことが大きな目標

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今不登校にあるみなさんへ 不登校の対策論 親編 4

今不登校にあるみなさんへ 不登校の対策論 親編 4

病院にはいかなきゃダメ? 不登校で昼夜逆転しいつも沈みこんでる。これはひょっとしたらうつ病かもしれない。そんな風に思われる方もいるかもしれません。
 不登校になって我が子が何か変だと思ったら病院に行くべきでしょうか? これは難しい問いです。
 しかし、ここまで読んでくださった方には強力な協力者が浮かぶはずです。医療機関の受診を考えた時は、スクールカウンセラーや教育相談センターの相談員に相談してみま

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今不登校にあるみなさんへ 不登校の対策論 親編 3

今不登校にあるみなさんへ 不登校の対策論 親編 3

学校との距離を保とう かなり強調してお伝えしたいことです。お子さんと学校との距離に関わらず、親御さんは学校とのやり取りを密にすべきです。
 これは後に出てくる適応指導教室やフリースクールに通うことになったとしても同じです。たとえ学校に行かなくても、親子が学校にいい印象を持っていなくても、お子さんがその学校の一員であることには変わりありません。また、学校は様々な行政の支援や情報の窓口となる場合もあり

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今不登校にあるみなさんへ 不登校の対策論 親編 2

今不登校にあるみなさんへ 不登校の対策論 親編 2

生活リズムや勉強に手をつけるのは大変 生活リズムと勉強。不登校になった子どものどこを変えるべきかと考えて、学校に行かせる以外に真っ先に思いつくのはこの二つではないでしょうか。しかし、この二つは最も難しいところです。
 まず生活リズムについて。考えてみてください。みなさんは仕事が休みで特に予定もない土日にいつもと同じ時間に起きられますか? 大半の人は首を振るのではないでしょうか。何もない日に朝早く起

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今不登校にあるみなさんへ 不登校の対策論 親編 1

今不登校にあるみなさんへ 不登校の対策論 親編 1

 前章では社会や学校といった広い視点での不登校の改善案について書いていきました。この章では目の前の一人の不登校について、親、本人がどんな対策を取っていくといいか書いていきたいと思います。
 不登校が急増しているのが中学校で不登校の多くが中学生な為、ここから先の文章は主に中学生の不登校生を対象に書かれていますが、小学校の高学年でも充分に応用が効くかと思います。

 一部の教育関係者から「学校なんかい

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九十年代に私の不登校社会改革案を実際にやった国があった!

九十年代に私の不登校社会改革案を実際にやった国があった!

 不登校の急増が九十年代の経済不安に端を発したものであるならば、その将来不安を軽減する政策こそが不登校問題の改善に必要であるというのが私の提案です。
 ここまでを書いてから偶然に分かったことなのですが、実は九十年代に私が提案した経済不安に対して子育て等への支援を充実するという対策を実行した国があったのです!
 それはスウェーデン。高福祉の国で知られるスウェーデンですが、何もかもが昔からそうだったわ

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不登校に対してどうあるべきか 学校のこれから論 2

不登校に対してどうあるべきか 学校のこれから論 2

究極の不登校のなくし方 出席の定義を改める さらにこの成績細分化を発展させていくことで不登校ゼロが見えてきます。それは出席も細分化させるのです。
 出席と欠席の間に色々な形を持たせるという意味で出席の細分化なのですが、これだと分かりにくいですね。出席の多様化といった方が分かりやすいでしょうか。
 学校に行くと当然出席になります。それ以外にも適応指導教室やフリースクールに行くと名目上は出席になります

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不登校に対してどうあるべきか 学校のこれから論 1

不登校に対してどうあるべきか 学校のこれから論 1

・学校はどう変わるべきか もう一つの不登校ゼロ

 では、学校はどう変わるべきでしょうか。 先に書いたとおりの社会変革が起きれば、学校の在り方も自然と変わっていくでしょうが、ここでは社会の変革があったにしろなかったにしろという想定で、私の思う不登校ゼロ学校改革案を述べていきます。

成績のつけ方を変える 不登校の定義のところで欠席の多さ等の理由で成績がつかないことがあることを書きました。成績がつか

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