今不登校にあるみなさんへ 不登校の対策論 本人編 2
さて、では何をしよう?
ここまでは◯◯に費やした時間を減らそうという話ばかりしてきました。さて、そうやって増えた時間を何に使うのがいいのでしょうか。
この答えも人それぞれです。そしてその答えを出すのは基本的にはあなた自身です。正確にいうとあなたとあなたの周りの人で話し合って決めることです。
ここではポイントだけ書きましょう。重要なことはバランスと無理をしないことです。
バランスというのは、今気持ちを楽にすることと将来の為になることのバランスを考えるということです。もちろん楽しくて将来の為になることがあればそれに越したことはありませんが、そう都合いいことはそうありません。前のところでも書きましたが、将来プロゲーマーになるからゲームをし続けるというのは、可能性の問題からやはり無理があります。確実に将来に役に立つというものはありませんから、可能性と自分の意思(なりたい)とを考えていくつかのやるべきこと、やりたいことを組んでいくことになります。
いくつか具体的に見ていきましょう。
体を鍛える?
とてもシンプルなことですが、運動は大事です。体力がつくというだけでなく、生活リズムの調整などとも関連してきます。健康に過ごす為には必須ともいえるものです。今のあなたは特に健康には気を遣う必要があるでしょう。
運動なんてもともとしてないよという人もいるかもしれません。でも、頭を切り替えてください。運動をするかしないかではなく、自分に合ったやり方と量の運動をどれだけするかで考えてみてください。
外を歩く、走るといったことはかなりいい運動と気分転換になるでしょう。ただ、外に出づらいという人には向きません。それでも、時間や場所を考えたり、親と一緒に歩いたりということも考えてみてもいいでしょう。外に出るのを控え過ぎるとますます出づらくなってしまうので、可能なかぎり工夫してみましょう。頻度や距離もいくらでも調節ができます。少しでもいいからという気持ちで考えてみましょう。
外に出る以外にも体を動かす手段はいくらでもあります。腕立て伏せやスクワットなら部屋でもできます。畳一枚のスペースがあれば色々な運動ができます。自分で回数を決めて毎日、それがきつければ週に何回か続けてみましょう。簡単にできるようになったら回数を増やしてみましょう。腕立て伏せのようなものは実は数回でも充分に効果があります。
男の子も女の子も関係ありません。個人個人で程度はありますが、できる形でちょっと運動を続けてみましょう。
読書について
本を読むこともとても大事です。また、本はテレビなどのように受け身で見るわけではないので、ほどよく頭を使えます。
マンガ禁止なんて堅苦しいことはいいません。ただ、話を追うという意味では週刊や月刊のマンガを読むより単行本を読む方が良さそうです。
読書で一番大事なことはバランスです。漫画もいいですが、漫画だけというのはあまりよくないでしょう。親御さんもいい顔しないでしょう。
できれば小説だけでなく色々なジャンルの本を読むのがいいですが、最初は気にせずに好きな活字から読んでいきましょう。そしてできたら少しずつ違うジャンルの本も読んでみましょう。
ここで本についてちょっと説明しましょう。色んなジャンルというとライトノベルを読んでる人が歴史小説や明治の頃の古典小説を読むのかなと思うかもしれません。確かに小説内で様々なジャンルを読むのもいいですが、実は漫画や小説のような物語が書かれている本は本の中のごく一部でしかありません。思ったことを書いたエッセイは見たことあるかもしれません。その他に社会について書かれた本やスポーツについて書かれた本など、本には様々なジャンルがあります。できるだけ色々な本を読むことをお勧めします。
でも、そんな本どこにあるの?と思う人も多いかもしれません。
その答えは図書館です。図書館はものすごい数の本がジャンル分けされて置いてあります。それは学校の図書室とは比べものにならなりません。
図書館を歩き回って色んな本との出会いを期待するもよし。今はネット上で調べて予約して本を取り寄せることも簡単にできます。あなたの近くの図書館に本があまりなくても市内中の図書館から取り寄せることができるので、近くの図書館が小さくてもがっかりする必要はありません。
何より図書館は不登校の状態にあるみなさんにとって味方であることを宣言しています。
学校の知り合いがいると嫌だという人は自分が住む地域の隣の図書館に行く手もあります。
中学生のみなさんの中には図書館なんて行ったことなかったという人も多いかもしれませんが、騙されたと思って一度行ってみてください。
とにかく騙されたと思って本を読む時間をつくってみてください。読書はきっといつかあなたを助けます。と、思わせぶりなことを書いてもみなさん信用しないでしょうからはっきりとその理由を書いてしまいましょう。
それは読書は勉強の代わりになるからです。これには二つの意味があります。
一つは学校でするような勉強の補助になるということ。歴史の本を読めば社会、科学の本を読めば理科、小説などは国語と、色々な本を読むことはそのまま勉強につながります。さらにいえば、どんな本でも読むことによって読解力がつきます。これは全ての教科の基礎になる大事な学力です。
もう一つ、勉強としての読書の大事な点は視点が広がることです。どこかのタイミングで学校生活に戻るにしても戻らないにしても、これから生きていく上での決断を色んな場面ですることになります。その時に大事なのはどれだけ視野を広く物事を考えられるかです。世の中にはたくさんの仕事や生活の仕方があります。でもそれらを知らなければそれを選ぶことはできません。視野が狭いと生き方の可能性も狭まります。
興味のあることの本はどんどん読んでみてください。それが大人向けの本でも関係ありません。本は全部を理解する必要はありません。気にせず読み進めましょう。とにかく本にふれることが大事です。
勉強について
一番みなさんが気になるのは勉強でしょう。
よく学校の授業を気にする人がいますが、はっきりいってあんまり考えないで大丈夫です。私が関わっていた人達も学校に戻ってからなんだかんだで学校の勉強の進度になんとか合わせていった人が多かったように思えます。そもそも学校の勉強をみんながみんな理解しているわけではないですから。
そうはいっても勉強についていけた方がいいことに変わりはありません。分からない中、授業に出るのはストレスです。大事なのは勉強についていけるかどうかではなく、どれだけついていけるかです。
少しでも勉強をすることはこれからを考える上でも今の状態をよくする上でも有効です。もちろん、しなければいけないというわけではありません。しようとしてできない時に無理をしたり、自分を責めたりする必要はありません。
では、何を勉強するのがいいでしょうか。あなたの所には授業で使うプリントや定期テストを担任の先生が持ってきてくれているかもしれません。それらは学校で今やってる勉強をなぞる上で最も役に立つツールです。
これらをちゃんとやる必要はありません。一番避けたいのはちゃんとやれないのならやらない方がいいという風になってしまうことです。そういうことを気にするのはもったいないのです。できる範囲で学校の勉強にふれてみましょう。
学校の進度に合わせたプリントはきついけど勉強はできそうだという人や、それだけでは物足りない人はぜひ自主的に勉強を進めてみてください。何をやればいいの?と悩む必要はありません。やりたいことをやってみてください。教科書を読んで学校でやってるあたりををやるもよし。得意な教科は学校より進めたって誰も文句は言いません。勉強が苦手な人は分からないとこをじっくり見てみるのもいいでしょう。
分からないとこをどこまでさかのぼったって恥ずかしくはありません。けっこうみんな途中でつまづいてるものです。中学生でも小学校の内容がよく分からないまま来てる人は決して少なくありません。そもそも勉強は自分のペースでやるもの。じっくりやるもよし、どんどん先に進めるもよしなものなのです。やれるペースでやれるところをやってみる。まずはそれが大事です。
分からないところは先生なり親なりに聞いてみましょう。勉強は周囲や自分自身に対してちゃんと前に進んでいるという意思表示にもなります。これからどれくらい今の生活が続くか分かりませんが、親や学校となるべく穏やかな関係を築くというのはとても大事なことでもありますし、自分自身との向き合い方においても少しでもいいから何かやっているということがとても大事になります。
学校の教科の勉強がきつければ、前の読書のところを改めて読んでみてください。学校の学習に近い本を読むのだって立派な勉強です。
勉強して何になるの?と思う人も多いかもしれません。確かに学校に行って勉強しても将来役に立つかどうかはわかりません。もし、高校や大学に行かない進路をとるとしたら、学校の勉強はさらに役に立たない可能性もあります。
しかし、今の段階であなたの進路は何も決まっていません。色んな可能性があります。そしてその可能性のけっこう多くの数がとりあえず学校の勉強を必要としています。そして学校でやるような勉強をしていた方が選択肢は広くなります。この為にできるだけ勉強をしておく方がいいのです。もちろん無理して調子を崩しては元も子もありません。なので、あなたが今できるだけでいいのです。
それと勉強にはとりあえず何かをちゃんとやれているということを自分自身と周囲に示す意味もあります。人間は前に進んでいないと不安になるものです。それを少しでも和らげる意味もあります。
何より、自分のペースで自分のやりたい勉強をやると、勉強の楽しさに時々気づくことがあるかもしれません。ほんのわずかな時々でもそう感じられることがあったら、それは一生の宝になるかもしれません。
もちろん無理は禁物です。それにできなかったからといって気にする必要はありません。それが自分のペースでということです。
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