不登校変化グラフ

今不登校にあるみなさんへ 不登校の対策論 本人編 3

外とのつながりについて

 ここからは外部、つまり家族以外の人とのつながりの話です。昔は直接会う関係だけでしたが、今はネットなど新たな出会いもあります。色々と考えていきましょう。
 まずは直接会っていた人達から。学校の先生との関係はできれば保っていたいところです。といっても人それぞれ色んな事情があることでしょう。無理する必要はありません。友達との関係も同様です。友人関係はとても大事で、外との架け橋にもなります。無理のない範囲で人間関係を維持するのが望ましいでしょう。
 インターネットでは、ただ見るだけでなく発信するという形もあります。昭和生まれの私の子どもの頃には考えられなかったことですが、今は様々な方法で世界中に発信することができます。メールやラインなどの閉じた通信は個人や特定のグループに対して発信するだけですが、ツイッターやフェイスブックなどのSNSは全世界に対して発信することができます。そういうことに得意な人は中高校生でもブログを開設したり、動画サイトに動画を投稿することもあるでしょう。
 不登校中でこういったことにやりがいを見出す人もいるかもしれません。同じような境遇を経験した人との交流もあるかもしれません。一方でまだ見ぬ出会いに危険がないわけではありません。未成年の人がネットを通して出会った人と会うには親に充分相談する必要があるでしょう。


改めて学校について

 今まであえて書いていませんでしたが、私が不登校の人達に対してのスタンスについてここではっきり書いておこうと思います。
 それは

「学校に行かないことはちっともおかしいことではない。ただ、学校に行った方が何かと楽。」

 これが不登校に対する私のスタンスです。
 学校なんか行かなくていいんだという意見もよく聞かれます。私はこれに近いですが、現場にいる人間として、まぁでも学校に行く方が楽だよなとも思っています。行ける、行けそうであれば学校の中で過ごすというのは無難で色々メリットのある選択肢です。逆にいえばそれ以上のものはありません。
 学校に行って楽しい人。嫌だけど仕方なくまぁ行くかなという人。時々休みながら行く人。信念を持って学校に行きたくない人。別の居場所を見つけた人。それぞれにそれぞれの生き方があるでしょう。
 大事なのは自分がどうなりたいのかです。そして、もしそんなにどうというものがない人はとりあえず行けるのなら学校に行った方がいい。それが私のスタンスです。
 ただ、実際には人間は自分の意思だけで生きていません。みなさんの場合は親の意向も無視できません。親子で話し合って決めていくことになるでしょう。でも、最後に決めるのはその人自身であると思います。
 なので、他にいく場所も見当たらずどうしたらいいのだろうと思っている人は、行けるかどうかは別としてとりあえず学校を目指しつつ色んな可能性を考えるのがいいと思います。そういう意味でも学校とのパイプはなるべく近くで維持していた方がいいでしょう。


進路について

 学校に戻ることについて書く前に先に進路についての話をしておきましょう。
 中学校を出た後には高校やそれに準ずる学校への進学が中心です。働くという選択肢もありますが、これにはコネ、つまり仕事につなげてくれる人間関係が大きく影響します。要するに家や親の知り合いがやってる仕事を手伝うような形で働き始めるということです。こういう道が見えているのなら、これもまた一つの有力な選択肢でしょう。朝早そうな仕事ならそれに合わせて生活リズムが乱れないようにするとか、体を使う仕事なら体力つくりをしておくとか、残りの義務教育期間もそれを意識して過ごすことになるでしょう。
 そういったコネが見当たらない場合もそうですが、選択肢の広がりという意味ではやはり何らかの学校へ進学することがいいと思います。
 進学先として考えられるのが、普通の全日制の高校か不登校への受け入れをしているサポート校系のところかとなりますが、ことはそう単純ではありません。
 いわゆる全日制の高校は大半は中学での成績が入試に関係します。ただ、不登校の生徒に対して何らかの特別措置をしてくれるところも少なくありません。枠は少ないですが、入試に不登校生徒枠を設けているところもあります。また、倍率によってはかなり楽に入れるところもあるでしょう。
 もう一つ把握しておいた方がいいところは現在は高校といってもその幅は相当広くなっています。いわゆる普通科でない高校はとても増えています。また、全日制でありながら不登校の受け入れに力を入れている高校も増えています。そういった特色ある高校は私立に多いですが、公立でも少なくありません。
 自分の通える範囲にどんな高校があるのかチェックしておくことはとても大事です。
 普通の高校とはちょっと違い不登校などの生徒の受け入れに特化したのがサポート校です。正確にいうと、サポート校というのは通信制の高校とセットになって通信制高校の単位取得をサポートする形で高校卒業資格を取る形態の学校です。高校をつくるには色々なハードルや手間がかかるので、新しい形の高校をつくりたいところが通信制高校をうまく利用して高校をつくっているようなものと考えると分かりやすいかもしれません。通信制の高校みたいですが、通う場所があります。登校頻度は毎日から週一回など、その生徒に合わせていたり、選べるようにしたりしているところも多くあります。


学校以外の通う場所について

 学校に行けなくて、学校のように通える場所は主に二つあります。
 まずは市町村がやっている適応指導教室です。市によって名前が違ったり、なかったりすることもありますが、学校と同じように市町村がやっている通える場所です。学校と同じで無料で通えます。ただし、遠くにある場合の交通費などはかかります。ここに通うと学校に出席したのと同じことになります。
 どんなことをするかというのは指導教室によってかなり違います。学校のようにがっつり勉強をするところもあれば、何かをつくったり遊んだりと活動がメインのところもあります。服装も制服着用だったり、私服でも大丈夫だっとりと様々です。適応指導教室にいる先生は学校の先生だった人が勤めていることが多いですが、専門の先生の場合もあります。心理の先生がいるところも多いです。
 あなたが住む町の適応指導教室がどんな風なのかは実際見てみないと分かりません。学校は行けないけど他の場所なら行けるかも、という人は親や学校の先生に相談してみましょう。
 もう一か所、学校に行けないけどどこかという人が通う場所としてフリースクールというものがあります。市や町がやっているのではなく民間でやっている場所で、塾と同じようにお金がかかります。先生はそのフリースクールで働いている先生です。心理の先生やボランティアの人など色々な人がいるかもしれません。サポート校と連携しているフリースクールも見られます。
 フリースクールも場所によってどんなところかがかなり違いますが、基本的にはその人その人に合わせた柔軟な対応をしてくれるところが多いようです。適応指導教室と違って、自分の住んでいる市町村以外のところのフリースクールにも通えますので、住んでいる場所によってはかなり選択肢が広がります。今はネットでいくらでも調べることができますので、自分の住んでいる市や県、近くの大きな都市の名前とフリースクールと入れて検索してみるとよいでしょう。フリースクールも学校の出席扱いとなるところが多いようです。気になる人は見学に行った時に聞いてみましょう。
 適応指導教室とフリースクールはどちらがいいというのは簡単にはいえません。あくまで傾向ですが、適応指導教室は無料で通えるというメリットがありますが、フリースクールはお金がかかるぶん手厚かったり、自由度が高かったりする傾向があります。二つの違いは学校と塾の違いが近いかもしれません。
 適応指導教室もフリスクールもその場所場所によって雰囲気が違います。通う人との相性が大きく、どこがお勧めというのはいえません。家の近くにあるか、電車等で通える所があるかなどの地理的な条件も大きいでしょう。


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