不登校変化グラフ

不登校に対してどうあるべきか 学校のこれから論 2

究極の不登校のなくし方 出席の定義を改める

 さらにこの成績細分化を発展させていくことで不登校ゼロが見えてきます。それは出席も細分化させるのです。
 出席と欠席の間に色々な形を持たせるという意味で出席の細分化なのですが、これだと分かりにくいですね。出席の多様化といった方が分かりやすいでしょうか。
 学校に行くと当然出席になります。それ以外にも適応指導教室やフリースクールに行くと名目上は出席になります。現在はこういった別の場所に通う生徒も出席なのに不登校とカウントしていますが、これは改めるべきでしょう。
 私の提案はさらにこれを広げます。私の案は出席と欠席の間をつくり、それも出席の一つとするものです。いわゆる別室登校はもちろん、適応指導教室やフリースクールに行った日、それだけでなく家庭教師などの訪問学習、教える人が来なくても家庭学習でもいい、どこでもいいので学習をすれば出席となるようにするのです。さらに課題を提出すればそれぞれの科目の成績にも考慮されるとなおいいでしょう。
 教室で授業に出席した生徒にはその分の成績の加点があるので、学校に行く方がいい成績はつきやすくなります。わざわざ学校に行かないメリットはそれほどありません。学校に行けない、もしくは何らかの理由で学校以外の場所に行きたい生徒は他の場所で学習することによって出席になるだけでなく、成績も多少はつきます。これによって、不登校ですぐには学校に戻れそうな生徒にも当面の目標ができ、学校を休んでる間にする勉強にも目的ややりがいが生まれます。
 出席の定義を変えてしまえば欠席の定義も変わります。そうすることによっって欠席が減り、不登校も減ります。これがもう一つの不登校ゼロです。

 こんなの意味ないことじゃないかという意見もあることでしょう。確かにそれだけでは数字の上で不登校が減っただけでしかありません。これには続きがあります。
 子どもには学習権というものがあります。学習を受ける権利です。行政や保護者にはその権利を守る義務があります。もし子どもが学校に来られない時に学校に来られるよう努めると同時に、すぐには来られないなら来られないなりに学習の場を用意する義務が行政や保護者にはあります。それをしっかりと出席の枠の中に組み込むというのが私の案です。

 突拍子のない意見に思えるかもしれませんが、この案は既にある程度は現実になっています。
 フリースクールは不登校の人達が通う場所として様々な人が自主的につくった場所です。それがやがて公的な学校の出席とカウントされるようになりました。
 さらにつけ加えれば、不登校生徒の進学先として多くあるサポート校もフリースクールの高校版といった組織で、通信制の高校とタッグを組んで新しい高校の形を実践しています。そこでは出席がなかなか続かない人にも週に何日登校するか選択できる形を取るなど柔軟な登校スタイルを提案することで、彼らを高校卒業へと導いています。
 こういった柔軟な機関で小中学校の出席や高校卒業の資格が取れることは私の案を既に実現していることです。こういった動きは草の根発信の学校改革であったと私は考えています。
 私の提案はそれらをもっとしっかりと制度化して、学校に来ない生徒の不利益をなるべく減らそうというだけのことなのです。フリースクールのようなオルタナティブな学びの場を全国どこでも整備することは難しいですが、ホームスタディのような形で不登校生徒を支援する取り組みが増えることとなるでしょう。

スクールカウンセラー改革案 学校と○○を合体させる

 九十五年から始まったスクールカウンセラーの導入ですが、もちろん効果がなかったわけではないと思いますが、同時に大きな成果があったか考えると疑問が残る制度でもあります。最近は子どもの貧困など様々な問題に対応できるようにスクールソーシャルワーカーが少しずつ学校に派遣されるようにもなっています。
 スクールカウンセラーのような外部からの機能が入るというのは一つの大変革だったはずです。あれから二十年。こういった外部機能はどうすべきか。私から一つ提案があります。
 それは、中学校と市役所の支所を合体させるというものです。
 具体的にいうと、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、保健室、事務機能の一部などが学校という機能から離れ、学校に隣接もしくは学校と同じ建物の中に置かれた役場の支所の中に組み込まれます。それらの機能は中学校だけのものでなく地域全体のものになります。
 スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーのように学校に外部の機能を取り入れるのではなく、それらの機能を学校の外部の機能として学校の隣に置くのです。
 こうすることによってそれぞれの機関をより効率化かつ強化することができます。
 スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー(改革すると学校だけでないのだからスクールは外れますが、ここではそのままにします)は、学生と保護者だけでなく地域の全ての人が相談対象になります。相談窓口を一箇所に集約し効率化が図れるので、現在のスクールカウンセラーの週一日より手厚い配置ができるはずです。さらに学校とは外部機関になるので、相談機関として一定の距離感も保たれます。
 現在の学校はそこに住むほとんど子どもとその家庭と、公的な機関とを結ぶ一番の接点となっています。個人と普段から密にやり取りする唯一の公的機関といってもいいでしょう。その役割は大きく、教員の負担はとても大きなものです。子どもの貧困や虐待など、不登校の原因には社会的なものもたくさんあります。それらを改善するには子どもや保護者としっかりつながって生活をサポートする機関が必要なのです。今はそれを学校が担う形になっているので、学校の負担が大きすぎるのです。そのいびつな形をあるべき形にするというのが私の提案です。

 私の提案は無茶苦茶に思われるでしょうか。
 しかし、本来スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーは学校に外部の人が入るという意味があったはずです。なので、これらを学校という組織から切り離した上で同じ場所に置くというのは、おかしな提案ではなく元々の形なわけです。
 スクールカウンセラーに加え、現在は少しずつスクールソーシャルワーカーが配置されています。子どもを巡る問題が分かってくる度に学校に専門家を入れるより、学校と行政機関をセットにする方がずっと効率的なはずです。教員の負担軽減としても大きな効果があるはずです。

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