暮 kure

古民家「暮」は、家主が暮らしながら、生活文化と芸術の介在について考察する場所として20…

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古民家「暮」は、家主が暮らしながら、生活文化と芸術の介在について考察する場所として2014年に誕生しました。 2021年より拠点を上野桜木あたりに移し、カタテマというお店に出店。「暮らしの中にある芸術」をテーマとして、芸術作品の展示販売と、展覧会企画を行います。

記事一覧

〈作家紹介〉創作書道家 清水竜也について

清水竜也は唯一無二の書道家である。 彼の書作には、まず強い"想い"がある。 例えば、「生まれてきた」「はいつくばれ」「叶」など、ストレートに分かりやすい言葉で自身の…

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3か月前
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一元の世界

あなたが愛で満たされることは、 この世界の平和となります。 それは同義です。 誰かの愛を求めるのではなく、自分で自分を愛しなさい。自らが自らを愛で満たすのです。 …

暮 kure
3か月前
1

「語りえぬ言葉」展に向けて(思考の備忘録)

(作家との対話から、思考の備忘録)  大谷さんが言う、「語りえぬ言葉」の中には、一体何があるのだろう?  "語れない"ということで思い出すのは、つい先日、知り合い…

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6か月前

『語りえぬ言葉』大谷浩一作品展 2023.9.2-10.1

ギャラリー暮 展覧会記録 《展示作品》 「生の根源」(油絵) 「石倉真理さん」(油絵)  石倉真理さんの詩 展覧会期間 2023.9.2 〜 10.1 於 上野桜木あたり カタテ…

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7か月前
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『死と生の狭間』 大谷浩一作品展 2022.8.1-9.1

ギャラリー暮 展覧会記録 《展示作品》 「被爆のマリア」(油絵)  大谷浩一 文章 「死と生の狭間」(油絵) 展覧会期間 2022.8.1 〜 9.1 於 カタテマ床の間、ギャ…

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7か月前
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『生まれてきた』

秒速27万㎞のスピードで飛び散る "一つ"から生まれた"全て" 飛び散る火花の如く それら一粒一粒は 明滅し ひたすら進路を進む 体内に光が満ちるとき この喜悦感は何だ …

暮 kure
7か月前

黒い川

膝下まで浸かっている 淀んだ川の中を歩いている 辺りは暗く ただ私の足が掻き分ける水の音と 足にまとわりつく水の冷たさを感じる そのうち 前後、天地が混ざり始め 暗…

暮 kure
8か月前
1

駅に向かう坂道で

いつもの坂道を下る時に 南無観世音菩薩 と観音像に手を合わせ ふっと、オオシオカラトンボが横切る その冴えたブルーの尾を見て 二、三日前に見た赤トンボの尾を思い出し…

暮 kure
8か月前
1

朝に目覚める

朝目覚めるとき、目を開くと同時に智慧が降り注いでくることがある。 毎朝ではないが、結構頻繁にそれがおこる。 人に話すほどのことでもないような他愛もない事柄について…

暮 kure
11か月前
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8月の出来ごと

冷たい雨が降り注ぐ 悲しみ 痛み 悲しみ 痛み 悲しみ 痛み 痛み  痛み  痛み ちょうど胸のところに割れたガラスが刺さっている わたしはとぼとぼと 歩いた  …

暮 kure
1年前
1

駒﨑友海 映像作品展 2021.9.30-10.31

ギャラリー暮 展覧会記録         『駒﨑友海 映像作品展』          2021.9.30-10.31  『モルモランド』 4'08"  『Out of My Mind』 6'45" …

暮 kure
2年前
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侘び寂びの美意識について

私は茶道を習ったのをきっかけに、侘び寂びの美を見極められるようになりたいと思い、週に一度座禅に通っている。 侘び寂びの美意識とは、世間的には「閑寂ななかに奥深い…

暮 kure
3年前
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日本の木造家屋について

近年の日本の住宅環境は、コンクリートで囲まれた真っ白い、ただ四角い箱となり、機能性と経済性以外はどんどん欠落していった。ここ数十年で起こった生活文化の変化は特異…

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3年前
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3月末ごろ、谷中の暮は終了します。

2021年、新年を迎えたがコロナ禍のまま。私が求める居場所が沈んでいくのを感じる。人と人との交流が絶たれる中、個々に思い思いに生きているのだろうか。 また、逆に、コ…

暮 kure
3年前
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自覚の朝

水の流れに身をまかせて 漂うようだ 怒りも、悲しみもない 奢りも、焦りもない いつもと変わらない朝食 食べるために食べるのではないことを 身体の細胞が自覚する …

暮 kure
3年前
2

媒介する存在

「君は、何を求めているの?」 (…私は、何を求めているのか…?) 私は媒介する何か。 人と人とが動き回るその間を媒介している何か。 私には実体がない。 名は無く…

暮 kure
3年前
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〈作家紹介〉創作書道家 清水竜也について

〈作家紹介〉創作書道家 清水竜也について

清水竜也は唯一無二の書道家である。
彼の書作には、まず強い"想い"がある。
例えば、「生まれてきた」「はいつくばれ」「叶」など、ストレートに分かりやすい言葉で自身の内なる強い"想い"を作品に注ぎ込む。
時には吠えながら、あるいは泣きながら、書作に全身全霊をかける。作家として極めて感受性が高く、それが作品の性格にも影響している。

清水は創作書道家という肩書きだが「創作」というのは、空から(何も無い

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一元の世界

一元の世界

あなたが愛で満たされることは、
この世界の平和となります。
それは同義です。

誰かの愛を求めるのではなく、自分で自分を愛しなさい。自らが自らを愛で満たすのです。
やがてその愛の光は、あなたという器から溢れ出て周囲に拡散して行きます。
あなたから見える世界は愛で充実して行きます。

この世界は唯一無二(ただ一つ分かれていない状態)です。
それは原理だと、証明されつつあるのでしょう。
この世界は一元

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「語りえぬ言葉」展に向けて(思考の備忘録)

「語りえぬ言葉」展に向けて(思考の備忘録)

(作家との対話から、思考の備忘録)

 大谷さんが言う、「語りえぬ言葉」の中には、一体何があるのだろう?

 "語れない"ということで思い出すのは、つい先日、知り合いの仏師から聞いた話。
 「切られて供えられた花の様に、命の期限があらわになったとしても、それは生きていて、老いようが、駄目になろうが、どんな状態であったとしても、それはそれとして生きているということ。」
 生きることを言葉で表現し尽く

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『語りえぬ言葉』大谷浩一作品展 2023.9.2-10.1

『語りえぬ言葉』大谷浩一作品展 2023.9.2-10.1

ギャラリー暮 展覧会記録
《展示作品》
「生の根源」(油絵)
「石倉真理さん」(油絵)
 石倉真理さんの詩

展覧会期間 2023.9.2 〜 10.1
於 上野桜木あたり カタテマ、ギャラリー暮

「生の根源」
大谷さんの根源といえる作品

「石倉真理さん 2023年制作」
共同アトリエに通っている、画家仲間の石倉真理さんの肖像画

《展覧会について》
(作者である大谷さんから絵について詳細の説

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『死と生の狭間』 大谷浩一作品展 2022.8.1-9.1

『死と生の狭間』 大谷浩一作品展 2022.8.1-9.1

ギャラリー暮 展覧会記録

《展示作品》
「被爆のマリア」(油絵)
 大谷浩一 文章
「死と生の狭間」(油絵)

展覧会期間 2022.8.1 〜 9.1
於 カタテマ床の間、ギャラリー暮

◯被爆のマリア(油絵) 2021年制作◯
長崎の原爆で被害を受けた、浦上天主堂の「被爆のマリア」と呼ばれるマリア像をモチーフに描かれた絵。
大谷さんは田口ランディさん著「被爆のマリア」を読んだ際に、この絵を描

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『生まれてきた』

『生まれてきた』

秒速27万㎞のスピードで飛び散る
"一つ"から生まれた"全て"

飛び散る火花の如く
それら一粒一粒は
明滅し ひたすら進路を進む

体内に光が満ちるとき
この喜悦感は何だ

宙に触手を伸ばしてみる

ふくらみ ちぢみ 息している
そして ひたすら進む それを感じている

黒い川

黒い川

膝下まで浸かっている
淀んだ川の中を歩いている
辺りは暗く
ただ私の足が掻き分ける水の音と
足にまとわりつく水の冷たさを感じる

そのうち 前後、天地が混ざり始め
暗闇は私の脳内にまで侵入してくる
ただ ひたすら川上と思われる方へと
歩みを進める

私はうっすらと、あの光を感じていた
この暗闇が、そこへつながっていることを
知っていた
確信が歩みを止めなかった
一歩、また一歩進むごとに
私の体は透

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駅に向かう坂道で

駅に向かう坂道で

いつもの坂道を下る時に
南無観世音菩薩 と観音像に手を合わせ
ふっと、オオシオカラトンボが横切る
その冴えたブルーの尾を見て
二、三日前に見た赤トンボの尾を思い出した

そうだ、全ての生命はたくさんの種をつくり、なんとか生のエネルギーを繋ごうとしている
もともと大きな生のエネルギーの塊であって
それがビッグバンを起こし、生のエネルギーが散り散りに散らばっている
その粒つぶが私たち、生命の一つ一つ

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朝に目覚める

朝に目覚める

朝目覚めるとき、目を開くと同時に智慧が降り注いでくることがある。
毎朝ではないが、結構頻繁にそれがおこる。
人に話すほどのことでもないような他愛もない事柄についてだが、確かに私の中にわだかまっていた問題に対して、スーッと納得させてくれる回答が朝日とともに私の体に入ってくる。
体の力は抜け、ほんわかしたものが充満する。
そんな日は、とても幸せな気分で一日が始まる。

ある朝は、少し違った。
目覚める

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8月の出来ごと

8月の出来ごと

冷たい雨が降り注ぐ

悲しみ 痛み 悲しみ 痛み 悲しみ 痛み
痛み  痛み  痛み

ちょうど胸のところに割れたガラスが刺さっている

わたしはとぼとぼと 歩いた
 わたしは先程 墜落しました.
 わたしは先程 墜落しました.

なぜ、こうなったのか分からない
なぜ、こうならなくてはいけなかったのか分からない

わたしは歩みを止め、つっ立つ
ぼーっと、つっ立つ
ああ、これで何度目か
また同じとこ

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駒﨑友海 映像作品展 2021.9.30-10.31

駒﨑友海 映像作品展 2021.9.30-10.31

ギャラリー暮 展覧会記録         『駒﨑友海 映像作品展』          2021.9.30-10.31

 『モルモランド』 4'08"

 『Out of My Mind』 6'45"

上記2作品を上映の他、Circle(0'09" )、イラスト作品1点を展示。於 上野桜木ギャラリー暮

以下に、作品内容について鑑賞者の視点から考察した文章を記載する。

****     

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侘び寂びの美意識について

侘び寂びの美意識について

私は茶道を習ったのをきっかけに、侘び寂びの美を見極められるようになりたいと思い、週に一度座禅に通っている。

侘び寂びの美意識とは、世間的には「閑寂ななかに奥深いものや豊かなものがおのずと感じられる美しさ」と言われたりしている。

私にはそれがしっくり来ない。

私は「(生きる上で)自然の流れから享受すること、そして、それに共鳴する感覚」が侘び寂びの美意識であると解釈する。仏教的思考である。

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日本の木造家屋について

日本の木造家屋について

近年の日本の住宅環境は、コンクリートで囲まれた真っ白い、ただ四角い箱となり、機能性と経済性以外はどんどん欠落していった。ここ数十年で起こった生活文化の変化は特異だ。

私は築70年の木造家屋で暮らしている。谷中の古い路地の一角にある。畳部屋二間の何の変哲もない木造住居であるが、住んでいるうちに昔の日本人が木造で暮らして来た理由が分かった。

障子や襖で仕切られた部屋は、絶えず外の光を取り込み一日の

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3月末ごろ、谷中の暮は終了します。

3月末ごろ、谷中の暮は終了します。

2021年、新年を迎えたがコロナ禍のまま。私が求める居場所が沈んでいくのを感じる。人と人との交流が絶たれる中、個々に思い思いに生きているのだろうか。

また、逆に、コロナという出来事が起こってから、逆境の中で芽を出す雑草のように、生命力のあるムーブメントが突出して芽を出し始めている。

2月に入って、暮の建物は改修工事に入った。

谷中の暮は、一軒家の2階にあり、一階は空き部屋になっている。築70

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自覚の朝

自覚の朝

水の流れに身をまかせて 漂うようだ

怒りも、悲しみもない

奢りも、焦りもない

いつもと変わらない朝食

食べるために食べるのではないことを

身体の細胞が自覚する

美味しいという満足感よりも

味をはっきりと知覚しながら 目をひらき

生物としての役割をまっとうする

食べること 眠ること 動くこと 呼吸

生命の営み

何が得られるかなどと、傲慢になる前に

まずは、全体の一部であること

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媒介する存在

媒介する存在

「君は、何を求めているの?」

(…私は、何を求めているのか…?)

私は媒介する何か。

人と人とが動き回るその間を媒介している何か。

私には実体がない。

名は無く、存在を発見されることもない。

私はその何かである。

その存在に、価値や意義などは無い。

ただ媒介し、充満することを目指している。

良い者か、悪い者かなど、口論にも及ばずに。

どんどん浸透し、それが広まり、

気がついた

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