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メディアの話。

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メディアの話を、します。
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#メディア論

メディアの話  私たちはなぜ未来の「どこにいるのか」と「どう移動するのか」を想像できないのか?

メディアの話 私たちはなぜ未来の「どこにいるのか」と「どう移動するのか」を想像できないのか?

先日大学の「未来」についてのワークショップにずっと出ていたんだけど、そのとき気づいた。

このワークショップでは2018年から19年のコロナ前に、みんなで考えた2040年の未来を考えた。

リモートワークやワーケーションや生成AIの普及なんかを予想していて、これが20年後どころか1年後に予想が的中して、「シン・インターネット」で村井純さんに取り上げられたりした。

が、今回当時予想した未来図を並べ

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メディアの話その140 大成功したマスメディアのベンチャーが決して登場しない本当の理由。

あらゆるベンチャーが過去20年に出てくる中で、マスメディアベンチャーだけが人材の内製化をできてない。 日本でもアメリカでも。新聞的世界がそうだ。だから、マスメディアのベンチャーで大成功したところってほとんど見当たらない。

具体的には新入社員を大量に採用して、記者や編集者や制作者に育てる、ということができない。だからベンチャーは、こういうコンテンツをつくるひとたちの多くをマスメディアからの転職組で

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メディアの話その139 2年間、銀河鉄道に乗っている私たち。

2020年1月以来、世界は、「銀河鉄道999」的だ。私たちは銀河鉄道に乗り続けている。

2015年、小林弘人さんとつくった『インターネットが普及したら、ぼくたちが原始人に戻っちゃったわけ』で、「だれでもメディア」時代になると、インターネット上で人はグローバルにつながるどころか、人間の本性のなかにある「150人」の村の規模に戻っちゃうだろう、と書いた。(いい本なので買ってね!)

https://

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メディアの話その138 平和博さんにウクライナとフェイクニュースとサイバー戦争を聞く。

今日公開の「渋谷のラジオ」の「渋谷の柳瀬博一研究室」はゲストに、桜美林大学教授でジャーナリストの平和博さんをお招きしました。

平さんはメディア・ジャーナリズムがご専門。特にフェイクニュースについて、専門的な知見を多く発信されています。

今、ロシアによるウクライナ侵攻に関して様々なフェイクニュースが流れ、私たちも知らないうちに影響されている!?

今回はフェイクニュースとソーシャルメディア、ファ

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メディアの話その136 近所にあったら絶対毎日行きたい! 稲城市立図書館のすてきなスタッフのつくったすごい書棚

メディアの話その136 近所にあったら絶対毎日行きたい! 稲城市立図書館のすてきなスタッフのつくったすごい書棚

今日、取材の帰りに、稲城市立図書館に立ち寄った。
2022年1月、こちらの図書館で講演をおこなったのだ。
「国道16号線と多摩の未来」というタイトルで。
もともと、こちらの図書館の担当の方々からお声がけをいただいたのがきっかけだった。「国道16号線」を面白がっていただいたのだ。
講演の模様と、イベントまでのあれこれは、稲城市立図書館のnoteをご覧いただきたい。

この図書館で担当くださった三人の

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メディアの話その133  超芸術トマソンが見つけちゃった、芸術とはなにか?という疑問に対する答え。

メディアの話その133 超芸術トマソンが見つけちゃった、芸術とはなにか?という疑問に対する答え。

赤瀬川原平さんの「超芸術トマソン」。1972年。四谷の純粋階段の発見から始まり、1982年の白夜書房「写真時代」の連載を経て、1987年筑摩書房から本になった。

この本、芸術を超える、といいながら、芸術の根本を言い当てている。

それは、「芸術とは、かつての実用がなくなったものに、あとから人々が勝手に向けるまなざしのことだ」ってことである。

民藝が、典型である。

あるいは、サブカルチャーの芸

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メディアの話その134  1955年の「キネマ旬報」が教えてくれる、街を創ったメディアとしての映画。八戸に18の映画館があった時代。

メディアの話その134 1955年の「キネマ旬報」が教えてくれる、街を創ったメディアとしての映画。八戸に18の映画館があった時代。

街をつくったのは映画館というメディア装置だった。 戦後、焦土から立ち上がった鉄道資本主義の街、あるいは古い街道街を、にぎやかな場所にした最大のコンテンツ、それは「映画」だ。

私の手元に1950年代のキネマ旬報が4年分ほどある。

蔵書家だった母方の祖父、西岡彦太郎(1980年没)が、映画好きだった私に生前プレゼントしてくれた。中学卒業の頃だった。

この時代のキネマ旬報には、映画にまつわる面白い

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メディアの話 その133 仕事だけ、買い物だけ、YOASOBIだけ、住むだけの街から、衣食住働がすべてある「暮らす街」の時代に変わる。

かつて、丸の内は「仕事だけ」の街だった。
かつて、銀座は「買い物だけ」の街だった。
かつて、六本木は「夜遊びだけ」の街だった。
かつて、二子玉川は「住むだけ」の街だった。
かつて、水道橋は「野球」と「場外馬券」だけの街だった。

東京の街は、それぞれが機能分化していた。

そういうふうに街ができた。

だから、人々は電車で住むだけの街=ニュータウンから、1時間半かけて、働くだけの街=丸の内や大手町

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メディアの話その132 メタバースは進化するけど、人間は進化しない。

日経新聞・今日の一面。メタバース特集。

米国では20年、一定の場所にとどまらずにリモートで働けるとした人が1090万人と19年比で5割増えた。アイスランドは20年からリモートワークに特化した外国人を180日間の短期移住者として受け入れている。経営学者のマイケル・ポーター氏は1990年代、企業の競争力のひとつに「立地が生む集積」をあげたがこの前提は崩れる。頭脳争奪戦もこれまで以上に激しくなる。

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メディアの話その131 メタバースもARもドラえもんに敵わない理由。

前回のドラえもんの話と重なりますが、VRとARとは何かを、ドラえもんと重ねて考えるとよくわかる。

メディアとは、人類の身体の拡張である、とマーシャル・マクルーハンは言った。

これを言い換えると、人間の欲望の拡張が、メディアである、ってことになる。

では、人類のメディア的欲望とはなにか。

究極にはこれ。

時空を支配することである。

過去も未来も好きな時間に行くことができる。

あらゆる場

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メディアの話その130 結局ドラえもんが世界史上最高のSFであり続ける理由。

結論から先にいうと、古今東西のSFの最高傑作はドラえもんだなあ、とつくづく思う。

なぜか。ドラえもんは、人間のなかにあるSF的なるものの本質を、第一話で完璧につまびらかにしているからである。

ドラえもんが最初に見せる「未来」は何か。

タイムマシンだ。しかも大仰なかたちをしていない。デロリアンのかたちもしてないし、巨大な機械もない。学習机の引き出しである。

すごい。ドラえもんのタイムマシンは

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メディアの話その129  テレビはなぜ、前澤さんの宇宙飛行を嫉妬したのか?

メディアとは、人類の身体の拡張である、とマーシャル・マクルーハンは言った。

これを言い換えると、人間の欲望の拡張が、メディアである、ってことになる。

では、人類のメディア的欲望とはなにか。

究極にはこれ。

時空を支配することである。

過去も未来も好きな時間に行くことができる。

あらゆる場所に一瞬に行くことができる。

つまり、ドラえもんである。

ドラえもんは、史上最高のSFであり、史

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メディアの話その125 匂いというメディアとメタバースと記憶と最後の現実世界と。

2021年の夏、メタバースの話が急速に一般メディアに広がりつつある。

メタバースってなんだ。

語源を知らなかった。Wikipediaさんにきく。



SF作家・ニール・スティーヴンスンによる1992年の著作『スノウ・クラッシュ』の作中で登場するインターネット上の仮想世界のこと。転じて、将来におけるインターネット環境が到達するであろうコンセプトモデル[要曖昧さ回避]や、仮想空間サービスの通称

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メディアの話その124  クソ漫画とエコーチェンバーと暇つぶしとメディアの今

講談社の現代ビジネスの記事。

「LINEマンガ」上で9本の連載を抱え、うち6本は常に人気トップ 10 入り、連載開始からの総合ビューは9本合計2億ビュー超という圧倒的な成果を挙げるマンガ家・外薗昌也&その息子であるマンガプロデューサー・外薗史明が手の内を明かした著作のタイトルは『クソコンテンツを爆売れさせた ハリウッド流マーケティング術』(クロスメディア・パブリッシング)。

オリジナルはこちら

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