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気ままな読書日記

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ジャンル関係なく、気ままに本の感想を書いていきます。
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2022年2月の記事一覧

羽場宏光『新元素ニホンニウムはいかにして創られたか』東京化学同人

羽場宏光『新元素ニホンニウムはいかにして創られたか』東京化学同人

2015年12月30日(日本時間では12月31日)、113番目の元素発見の優先権が日本の理化学研究所森田グループに与えられました。森田グループが日本で初めて発見された元素であることから、日本(Nihon)の名を冠した元素名「nihonnium」、元素記号「Nh」を提案しました。

2016年6月8日、IUPAC(国際純正・応用化学連合)は、日本の提案をウェブサイトで世界に発信し、同年11月28日、

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五木寛之『捨てない生きかた』マガジンハウス新書

「こんまりメソッド」とか、「断捨離ブーム」とか、暮らしの簡素化がはやっている。著者も「捨てる生き方」に憧れを抱いてきたというが、その一方で「捨てない生きかた」がないのかと考えたのが本書である。

著者は、ラジオ番組や、夕刊新聞の連載コラム、文学賞の選考委員を休まず続けてきた。とにかく捨てないで、愚直にそのことを続け、モノに囲まれて生きてきたという。モノをどうしても捨てられない気持ち、そして、モノを

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池内了『清少納言がみていた宇宙と、わたしたちのみている宇宙は同じなのか?ー新しい博物学への招待』青土社

池内了『清少納言がみていた宇宙と、わたしたちのみている宇宙は同じなのか?ー新しい博物学への招待』青土社

「本草学」などの江戸時代までの博物学が、明治維新による近代科学の輸入により忘れ去られてしまったが、江戸時代の蘭学の解禁により、科学に関連する分野で一種の文化大革命が起こり、その成果を楽しんでいたことを知って著者は大いに啓発されたという。

現在のグローバリズムの強調は異質性を消去することにつながり、文化をひ弱なものにしている可能性が高いと考え、「新しい博物学」を提案し、理系の知識と文系の人間の営み

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入江尚子『ゾウが教えてくれたこと ゾウオロジーのすすめ』DOJIN選書(化学同人)

入江尚子『ゾウが教えてくれたこと ゾウオロジーのすすめ』DOJIN選書(化学同人)

ゾウを知らない人はいないが、ゾウのことを知っている人は少ない。ゾウのことを知るために良い本である。著者は、ゾウの知能の研究をしてきた人で、予想以上に豊かな心の世界を持ち、いろいろなことを考えながら生きていることがわかってきたらしい。

まず、ゾウが3種類いることを知らなかった。まずアジアに広く生息するアジアゾウ、そしてアフリカの草原に生息する大きなサバンナゾウ、アフリカの森林に生息し、そのひと周り

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和田秀樹『70歳が老化の分かれ道』詩想社新書

和田秀樹『70歳が老化の分かれ道』詩想社新書

和田式受験勉強法による受験指導で有名であるが、現在は高齢者専門の精神科医として、マスコミに顔を出すことがあるので、名前だけは知っている人も多いと思う。

著者は、人生100年時代が語られ、100歳も夢物語なのに、健康寿命は男女とも75歳に届いていないことを取り上げる。70代をうまく生きていかないと、長く生きしてもよぼよぼしたり、介護を受ける期間の長い高齢者になってしまう。

人々を長生きさせる医療

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奥野一成『15歳から学ぶお金の教養 先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』ダイヤモンド社

奥野一成『15歳から学ぶお金の教養 先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』ダイヤモンド社

農林中金バリューインベストメンツのファンドマネージャーである奥野一成氏による、お金、投資の仕組みを高校生向けにわかりやすく解説した本である。

著者に言わせれば、毎日のあらゆる物事は投資であるという。たとえば、カラオケの誘いを断って卓球の練習をして3ヵ月後に予定されている卓球大会で上位入賞を目指すのも投資であるという。3ヵ月後に本当に上位入賞できるかどうかはさておき、卓球に打ち込むことにより何か貴

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パオロ・マッツァリーノ『論より実践のクリティカルシンキング 思考の憑きもの』二見書房

パオロ・マッツァリーノ『論より実践のクリティカルシンキング 思考の憑きもの』二見書房

ニセ外国人と言われているマッツァリーノ氏のクリティカルシンキング論である。まともな思考をくもらせたりジャマしたりする要素を実例を引きながら明らかにし、論理的に現実の問題を解き明かすための考え方をおもしろく解説している。

「日本はスゴイ」という前提に思考をはじめているひとが、「日本もスゴイ」が正しい前提であることをわかれば、すべての国のいいところを評価できるようになる。ここでは「匿名が諸悪の根源な

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エリス・ヤング『ノンバイナリーがわかる本 heでもsheでもない、theyたちのこと』明石書店

エリス・ヤング『ノンバイナリーがわかる本 heでもsheでもない、theyたちのこと』明石書店

最近、「LGBTQ+」という言葉を聞くようになっても、一般的には深く理解している人は少ないと思う。ノンバイナリーとは何かと聞かれれば、なおさらである。

ノンバイナリーとは、「男・女」「彼・彼女」「男性・女性」のようなバイナリー(0か1か)のどちらか一方にとらわれないジェンダーアイデンティティであり、もう少し簡単に言えば、自らを男とも女とも考えない人のことである。トランスジュンダーを含む少し広い意

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関野吉記『社長がブランディングを知れば、会社が変わる! 付加価値の法則』プレジデント社

経営環境が大きく変化している時代において、過去の成功体験を踏襲していることは大変危険だと頭ではわかっていても、自らも変化していくことは、なかなか難しいところがある。特に、成功体験がある人にとっては、なおさらである。

昨日の常識は、今日の非常識であるという。ビジネススクールで教わるような経営理論やフレームワークも同様と言う。成功事例を研究しても、ヒントしかなく、答えは見つからないとも言う。

デジ

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