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ショートシュート

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短編集を集めてみました
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#受けないKindle作家

白い靴を履いていた人(一分で読める小説)

白い靴を履いていた人(一分で読める小説)

白い靴が目立つ、あのお爺ちゃん
毎日この道を散歩している、あのお爺ちゃん。
私の家の前で、腰を下ろし休んでいた、あのお爺ちゃん。
「今日も姿が見えないな〜。
どうしたのだろう?
名前も知らないお爺ちゃんだけど、
会えないと、何だか寂しいなぁ。」

今日、何故かゆっくり走って行く
白い色の霊柩車
私の家の前を名残り惜しそうに通って行く。

霊柩車の中に目を向けると、
抱かているあのお爺ちゃんの遺影。

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君に届かないコメント(一分で読める小説)➕追伸

君に届かないコメント(一分で読める小説)➕追伸

エブリスタで掲載している私の小説に、
あの娘の残したコメントがある。
あの娘が読んだ私の小説全てに、
感想が書いてある。
そして、私以外の人の小説にも、
あの娘は真摯に感想を残している

去年の7月16日以降、あの娘はそのサイトに姿を表さなくなった。
以前から体調不良をコメントに残しているので大変気掛かりだ。
あの娘の健康を祈りたい!
無事を祈りたい!

「文章は、その人の魂を宿す!」
彼女の書い

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放課後ランプ(410字の小説)➕追伸

放課後ランプ(410字の小説)➕追伸

僕は受験生。
僕の家は貧しく、塾にも行く事は出来ない。
不安に思っていたある日、ある人からランプを貰った。
その人が云うには
「このランプを灯すと、授業中の記憶が蘇る」と云うのだ。
このランプ、「放課後ランプ」と云うらしい。
…そんなランプ、本当に有るのか?…
と、疑念が湧いたが、
授業の内容がもう一度確認できるのであれば、
復習するのに最適である。
そのランプの使い方は、
「授業中にそのランプを

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ある霊能者(380字の小説)

ある霊能者(380字の小説)

ある霊能者が、私に向かって
「貴方は凄い能力の持ち主だ。
修行すれば、かなりの力を得るであろう」
と、言ってくる。
おだてに弱い私は、その言葉を信じて修行を重ね遂に
霊能力を身に付ける。

私には観える。
その人の運命が、手に取る様に解る。
だが、只では教えてはあげない。
修行に元でが掛かっているからだ。
私は、路上で占いの商売をやり始めた。
私の占いは当たる、と評判となり多くの
人達が私の元にや

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300字のラブレター➕追伸➕追伸の追伸

300字のラブレター➕追伸➕追伸の追伸

澪ちゃんと、初めて会ったのは、
幼稚園児だったね。
鼻水を垂らしていた僕に、
君はティッシュペーパーをくれたね。
僕が鼻をかむのを見て
「50円ちょうだい」
と、手を差し出した澪ちゃん。

僕に強烈な印象を与えてくれたよ。

遠足に行った時に、
お弁当のオカズを落として
泣いている僕を勇気付けてくれたね。
「エビフライをどうぞ」と言って。
でも、後でハンバーガーを奢らされてしまったけど。

ボラン

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あほやん300字のラブレターを頼まれる➕追伸

あほやん300字のラブレターを頼まれる➕追伸

「私の事好きなら、ラブレターちょうだい。
それも300字以内で書いてね。」
と、愛嬌を振りまきながら言いふらしているのは、
幼馴染の澪ちゃんだ。
だが、誰も聞き流していた。

僕は不思議に想い、澪ちゃんに訊ねたら
澪ちゃんは、
「雑誌の募集小説に『300字のラブレター』と
言うのがあるの。それに応募したいんだけど、
私は小説書けないの。
だから人に書いてもらうの。
大賞を獲ると賞金50万円よ、凄い

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小さいオルゴール(530字の小説)

小さいオルゴール(530字の小説)

結衣ちゃんはもう直ぐ3歳になる女の子。
何でも興味を持つ女の子。

今日は不思議な箱を見つけて、目を輝かしています。
「ねえママ、この箱不思議だよ。蓋を開けると音楽が聴こえてくるよ。」

「そうだね、不思議だね。この中に結衣ちゃんよりも小さな人が
音楽を聴かせてくれてるのかも知れないね。」

と、ママは結衣ちゃんに夢を与えてくれました。
「この中に、小さな人がいるの?結衣ちゃんよりも小さな人がいる

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春ギター(410字の小説)

春ギター(410字の小説)

兄はいつもギターを抱えてる。
「ギターが恋人」と兄が言う。
何故恋人が居ないの?
妹の私には解らないわ。

兄は妹から見てもかなりのイケメン。
彼女が居たって不思議では無いのだけど
出不精が祟っているみたいで出会いが無いみたい。

最近兄のギターの音色が変わってきた。
穏やか音色。
まるで春の季節みたいな癒しの音色。
私は畏敬の念を持ち「春ギター」と命名した。
それを兄に伝えてたい。

自分の作曲

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春の夢(420字の小説)

春の夢(420字の小説)

「春の夢?
別に夢は春だけでは無いでしょ。
夏だって、秋だって、冬だって、夢はあるでしょう。」
と、冬が冷たく言った。
「そうだよ、春だけなんて可笑しいぞ!」
と、夏が熱く語る。
「まあまあ、皆さん冷静になって」
と、涼しげに秋が言う。
「でも、春と私は姉妹なのに春だけなんて、ズルい」
秋は拗ねている。
「みなさん、ごめんなさい。私、国民の多くの人達に
一番好かれているので、『春の夢』として選ばれ

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ハルの夢を(410字の小説)

ハルの夢を(410字の小説)

「貼るの!夢を。神社の壁にお札を貼るとね、
願いが叶うのよ」
と、見知らぬ人の声が聞こえる。
ここは「壁貼り神社」
…壁に貼ったぐらいで、夢が叶うなら苦労はしないよ。…
と、想っていたのに、この神社に来てしまう
「溺れる者は藁をも掴む」と言うけれど
今の僕の心境だ

壁に貼ってあるお札を見ると、
夢の貼り紙に、❤️のマークが付いている。

神主に聞いてみた。
「他人の夢が良い夢だと感じたら
❤️を

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この日本国の将来を想う。(525字)

この日本国の将来を想う。(525字)

この日本国に将来の希望があるのか?
私たちが20代の頃は、国民の8割が中流階級と想っていた。
現実には中流階級だったかどうだかわからないが、
皆んな貧しさを感じなかった。

今はどうだろうか?
「貧しくて三度の食事に事欠く児童が居る」と、大々的に宣伝されている。
私達の若い頃にはそんな宣伝は皆無であった。

少子高齢化が進む現代、収入の少ない老人は年金では生活が苦しい。
このまま少子化が進み人口が

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売れない小説家の強がり(560字)

売れない小説家の強がり(560字)

「私の心は少年です。」と良い歳をして言えるのは
このサイトだけかも知れない
小説を書く時、私は少年になっている
遠い昔を思い出し、少年の心で書いている。

それは人生の経験を積んできたからできる事でもある。
本当の少年時代に小説を書く事は無かった。
と言うよりも、私が小説を書くなんて思いもしなかった。

私が小説を書ける様になったのは、ある人に毎日コメントを送っていたのが原因だと思っている。
その

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錦鯉を釣る雲(雲の糸)

錦鯉を釣る雲(雲の糸)

人間の横暴は、神を怒らせる。
「このままでは、地球は破滅する!
人間を海に住まわせ、魚達を陸に上がらせる。」
神は大英断を下す。

魚達は陸で暮らす事になる。

自由自在に空を泳ぐ魚達。

神達のレジャーは魚釣りだ。
空飛ぶ魚を釣り上げる。
特に人気の高いのは、錦鯉!
希少な錦鯉は、高額になる。

今日も雲の上に乗り神達は釣り糸を垂らしていた。
神達は呑気にお話しをしながら、お目当ての錦鯉を狙う

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始まりはいつも・・・(300字の小説)

始まりはいつも・・・(300字の小説)

始まりは、何故かビール。

居酒屋に行くたびに、
「取り敢えずビール」を無意識で注文してしまう。
お酒の種類はいっぱいあるのに何故?

1番バッターはビール。
先ずは軽く塁に出る事🟰軽く酔うのはビールに限る

2番バッターはチュウハイだ
どんな物にも対応できる柔軟さ
水で割ったり、炭酸で割ったり
何でもありのお酒だ

3番バッターは日本酒だ。
一つ一つに個性がある。
水で割ることもない純粋さが魅

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