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かったぱしから読書生活

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大学卒業以来、ずっと出版業界。本が好きで、ずっとこの世界で暮らしている。読書はフィクション派。ファンタジー好きなれど、時代物、ミステリー、純文学、何でも来いで、ひたすら濫読。読書… もっと読む
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2021年6月の記事一覧

30のQ &Aに寄せた角界改革論

30のQ &Aに寄せた角界改革論

西尾克洋「スポーツとしての相撲論 力士の体重はなぜ30キロ増えたのか」(光文社新書)。電子書籍版はこちら↓
https://www.amazon.co.jp/gp/aw/d/B096MG3VFT/
全体を三部構成として、さらに30の質疑応答という形の相撲ガイドブック。それも初めて相撲を観る人のための入門書ではなく、ある程度観て知識を持った人向け。相撲に興味を持った人が、より理解を深めて、さらに相撲

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黒崎視音「警視庁心理捜査官KEEPOUT」W新装版文庫本

黒崎視音「警視庁心理捜査官KEEPOUT」W新装版文庫本

黒崎視音「警視庁心理捜査官KEEPOUT」「警視庁心理捜査官KEEPOUT II 現着」(徳間文庫)。童顔にして引っ込み思案の吉村爽子27歳は、心理捜査官の特殊能力を持つ。前職場で単独逮捕に向かい、生命の危機に瀕する。このことで警視庁本部刑事部捜査一課を外され、多摩中央署刑事組織犯罪対策課強行犯係への勤務を命じられた。
1️⃣警視庁心理捜査官KEEPOUT
多摩中央署で爽子を囲む個性的な署員たち。

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寝技柔道を最初に描いた井上靖

寝技柔道を最初に描いた井上靖

寝技主体の高専柔道を描く「七帝柔道記」に触発されて、井上靖「北の海」を読み直してみた。四高(金沢大学)で寝技絞め技中心の「練習量だけが全てを決める柔道」という言葉に心惹かれた、主人公である洪作。洪作と彼を取り巻く若者たちのあまりのおおらかさに抱腹絶倒。そしてその多感さに落涙。あまりに良かったので前作「夏草冬濤」、前々作「しろばんば」、出発点である作品「あすなろ物語」「幼き日のこと・青春放浪」まで一

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シンガポール政府の絵本「お父さんお母さんへ ぼくをいやな気もちにさせないでください」

シンガポール政府の絵本「お父さんお母さんへ ぼくをいやな気もちにさせないでください」

シンガポール政府の作った絵本。それは「お父さんお母さんへ ぼくをいやな気もちにさせないでください」というタイトル。離婚した両親の子供が、それぞれの親に会った際に、別れたもう一方の親の悪口を言わないで欲しいという内容。たしかに子供は父の子でもあるし、母の子でもある。大人の都合で引き裂かれる子供の気持ちを表現している。読んでいて、子供の心情に思わずホロリ。まだ紙の本は売っておらず(どこか出さないのかな

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石塚由紀夫「資生堂インパクト」

石塚由紀夫「資生堂インパクト」

石塚由紀夫「資生堂インパクト」(日本経済新聞出版局)を読了。多摩市役所の方にダイバーシティについての講演を聴いた際に取り上げられたので。自分も中小企業の経営者として、マタハラ問題に直面したことがあった。資生堂が女性職員活躍に先進的に取り組めた一因には、職員の大半がBC=ビューティコンサルタントという女性職員だったことはあると思う。マミートラック=子育て女性のキャリアパスの解決は職場だけでは難しい。

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知識ゼロからの浮世絵入門

知識ゼロからの浮世絵入門

稲垣進一「知識ゼロからの浮世絵入門」「浮世絵入門」を読む。自らの浮世絵知識の貧しさを自覚して、初心者としてお勉強。浮世絵の創始者は「見返り美人」の菱川師宣だったんだ。浮世絵には菱川派、鳥居派、歌川派、勝川派の4派に分かれていたんだ。歌麿、広重、北斎って、浮世絵中期以降の画家なんだ。ゴッホやマネは自らの絵に、浮世絵を描き込むくらいに、浮世絵を愛したんだ。美人画→役者絵→武者絵→戯画→物語絵→相撲絵→

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迂闊「のみじょし」

迂闊「のみじょし」

迂闊「のみじょし」。ゆきさん、柔らかくていいなあ。ひたすら飲んで、モリモリ食べているだけ。こんな風に生きていられればいいなあ、という現代版ファンタジー。最近の終電の酔漢は、若い女性ばかりだし。
http://book.asahi.com/book/comicbreak/2016031500003.html

吉田秋生「海街diary」通読

吉田秋生「海街diary」通読

吉田秋生『海街diary』シリーズ全6巻を読了。第1巻『蝉時雨のやむ頃』で、長女の幸が、異母妹のすずに『いっしょに暮らそう』と言うシーンから涙ウルウル。鎌倉の若草物語は、オルコットの描いた世界より、ずっと複雑で深くて苦く、諧謔にして爽快。2015年

木村銀治郎「大相撲と鉄道」(交通新聞社)

木村銀治郎「大相撲と鉄道」(交通新聞社)

木村銀治郎「大相撲と鉄道」(交通新聞社)。鉄道マニアの行司が「相撲列車」について書いた本。電子書籍版はこちら↓
https://www.amazon.co.jp/dp/B08WQ5JLYR/
鉄道❌行司というユニークな組み合わせの本。しかもテーマが「相撲列車」という角界内部にいる人でしか見知り聞けない世界のお話。筆者は行司の中でも「輸送係」という、日本相撲協会内で旅行代理店的機能を果たしている。な

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小林まこと「柔道部物語」(講談社:全11巻)

小林まこと「柔道部物語」(講談社:全11巻)

小林まこと「柔道部物語」(講談社:全11巻)を電子書籍で読了。友人に薦められた「JJM女子柔道部物語」を読み、その引き続きで1冊読んだら、もう止まらなくなった。何より技の描写が正確なのがいい。背負い投げ、一本背負い、肩車、膝車、袈裟固め、上四方固め、体落とし、裏投げ、支え釣り込み、内股、内股すかし、巴投げ、脇固め、送り襟締め、大外刈、大内刈、小外刈、小内刈。いつか教わった技、かけた技は身体に記憶が

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白鵬の兄弟子「光法」

白鵬の兄弟子「光法」

週刊アサヒ芸能で連載されている「白鵬本紀」も、いよいよモンゴルから来た少年ダヴァが宮城野部屋に入門することになる。稽古を見学していたダヴァの目の前に部屋の関取である光法関が現れて、若い者たちに激しい稽古をつける。ダヴァ少年は、その迫力に息を飲む。
 光法は1999〜2007年まで関取を務めた。最高位は西前頭9枚目で、下手投げを得意としていた。引退後は年寄として協会に残ったが、立浪一門から貴乃花グル

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若野康玄「俠拳 関西右翼・ヤクザ関係秘史」

若野康玄「俠拳 関西右翼・ヤクザ関係秘史」

若野康玄「俠拳 関西右翼・ヤクザ関係秘史」(徳間書店)。電子書籍版はこちら↓
https://www.amazon.co.jp/dp/B095YRX3L3/
 著者は全日本格闘技振興会会長として、空手をはじめとした格闘技普及でドロップアウトした青少年の更生などに尽力している。学生時代に、右翼民族派団体「皇国学生同盟」を立ち上げ、26 歳の時 30 名を率いて三代目山口組へ渡世入り。
 ここでは右翼

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養豚界5月のマドンナ&子豚くん

養豚界5月のマドンナ&子豚くん

雑誌「養豚界」2021年カレンダー。6月は「東京都立瑞穂農芸高校」の小暮向日葵と田中菜々子さん、そして白茶のブチ子豚くんが、それぞれWキャスト。6月の特集は『夏を前に考えたい! 養豚場の「水」 』。