出世に興味のない社員たちの本音
あなたの職場にもいませんか?
管理職になるのを嫌がる部下。
なんだか覇気・やる気がない若手社員。
出世してナンボという価値観を持って、必死に会社のために働いてきた中堅~経営陣の世代の方には、自分たちの若い頃と全く考え方が違うので、ありえないと驚いていることでしょう。
俺も出世などに興味がない若者の1人です。
ヒラどころか、正社員として働くこと自体に見切りをつけました。
本記事では、なぜ若者がこれほどまでに出世に興味がないのか、俺の実体験も交えて、解説していきたいと思います。
原因① 出世にメリットがないと思っているから。
自分の両親や親戚、祖父母、もしくは自分の上司~経営陣の働く姿を見て、「出世」に良いイメージが持てていない人がいます。
今の若者の親~祖父母または上司~経営陣の世代というのは就職氷河期からバブル世代です。
企業によっては団塊世代です。仕事で成果を出して、不眠不休で働くことを美徳とするモーレツ社員だった親を持つ人もいるでしょう。
課長になった瞬間、残業代が貰えなくなったり、家でも仕事の電話が増えてしまったり、転勤と単身赴任の機会が増えたお父さん。
退勤後や休日に買い物などで会社の前を通ると、上司の席は電気がついている。
そういうところを見て、頑張った割にはお金がもらえなくて報われない管理職より、頑張らない割にはお金がもらえて、自由な時間を楽しめる今のヒラの方がいいという気持ちにもなります。
原因② 出世をしない優秀な先輩に魅力を感じているから。
役職に就かず、出世をせず、できるだけヒラに近い階級で勤め上げてきた、定年間際のベテランの先輩の方がカッコよく見えることもあります。
偉そうにすることもなく謙虚に一緒に働きます。
必要な時には誰よりも熟練させた能力を示してくれたり、上司をなだめ、押さえつけてくれたりします。
自分にノウハウ・生き方を伝授してくれる、腰の低いみんなに慕われる先輩です。
踊る大捜査線の和久さんのような感じでしょうか。
そういう先輩を身近に持つ若者は、より出世に興味がないでしょうね。
原因③ 転職・独立するまでの腰掛けだから。
現在では転職が当たり前です。
むしろ、したことのない人の方が評価が低いくらいなので、転職しなきゃいけない!ぐらいの世の中になりました。
新卒社員だからこそ希望する部署に配属にならなかったり、そもそも就活に失敗し、不本意な企業や業界で働くことになっている現状に不満を持ったりしている若者にとっては、自分の背中を押す、気持ち良い追い風となっているでしょう。
あくまで「労働契約」とドライに割り切っているし、いざとなったら会社は冷たいというのを知っているので、上司の親心とか、雇ってくれた恩義に報いる云々という考えはありません。
20代のうちに本命の企業・業界に「リベンジ転職」をしたり、なんなら自分の持っているスキルと資格で「独立開業」をしたいという人にとっては、今の職場は転職・独立の準備が整うまでの腰掛けでしかありません。
新入社員の4割は、転職前提で入社しています。
そのため、必要以上に仕事を抱えたり、役職がついたりで転職の対策がしづらくなるのは、できる限り避けたいのです。
原因④ 「組織人としての出世」には興味がないだけ。
出世に興味はなくとも、仕事自体は真面目にこなします。物腰柔らかで高い素質、知能、才能を活かして、それなりの結果を残している、そんな人もいます。
そういう人にこそ出世して管理職になってもらいたいのですが、彼らは組織人としての出世に興味がなく、情熱が今ひとつです。
自分のスキルや経験、知識を身に着けて、できることを増やしたいという気持ちは、上司~経営者世代の人にも負けません。
かなり熱いガッツを持っている人もいます。
彼らが興味を持ち、大切に思っていることは、能力を上げたり、一人の人間として自分を成長させたりすることであって、役職や年収を上げることではありません。
偉くなってしまえば、自ら現場に立って能力を試したり、上げたりする機会も減ってしまいます。
そして、そういう気持ちを持つ理由が「自分の人生や生活を平穏なものにしたいから」です。あくまでも会社の一員としてではなく、一人の人間としての成長、スキルアップに興味があるだけなのです。
上司~経営者世代のような「組織の中で高い地位を得て、会社に貢献して上司に気に入られ、部下に慕われたい」というものではありません。
目的の違いがあるだけで、やる気自体はあります。
原因⑤ 出世以外にもお金を得られる方法が増えたから。
一言でいうと、投資と副業です。
出世をすると、確かに基本給の等級が上がったり、役職手当がついたりしますが、日頃の仕事量と責任の割に合いません。
一定以上の階級になると残業代がつきませんし、雇われの身でしかないのに経営陣と距離が近くなり、経営陣寄りの目線と考え方を持たされます。
自分の経済力に不足・不安を感じている若者は、そういう上司を見て、出世以外の方法でお金を稼ごうとなります。
WEBライターやブログ、せどりなどでも、根気強くマメに活動していれば1~2年後には月に3~5万円に辿り着くようになりますし、実力次第ですが、自分の会社の役員並みに稼いでしまうこともあります。
若者はこういった方法でお金を増やしていきたいので、出世によるわずかな昇給と重すぎる責任には興味がないのです。
原因⑥ 吉良吉影のような働き方、仕事観に憧れているから。
優秀な人ほど「ライフワークバランス」という言葉を大事にしています。
具体的には
「手取り20~30万円でそこそこに暮らせる」
「残業しても夜7時までには退勤し、しっかり休める規則正しい健康的な生活を送れる」
「人間関係が良好で、必要以上に同僚とはベタベタとかかわらない」
といった「心身的にも経済力にも平穏で安泰な生活」に憧れています。
要するに、「ジョジョの奇妙な冒険 第4部 ダイヤモンドは砕けない」に登場するラスボスにして手フェチな○人犯の吉良吉影(33歳)のような会社員人生に憧れているのです。
上司世代の人であれば、ジョジョを読んだことがある人、少年〜青年時に連載していたという人もいるのではないでしょうか。
ここで吉良吉影の名言を紹介します。
30年以上前の漫画なのに、現代の出世に興味のない若者の意見をまとめた、的を得た名言です。
わたしは常に「心の平穏」を願って生きてる人間ということを説明しているのだよ……。
「勝ち負け」にこだわったり
頭を抱えるような「トラブル」とか
夜もねむれないといった「敵」をつくらない
……というのが
わたしの社会に対する姿勢であり
それが自分の幸福だということを知っている……
もっとも、闘ったとしてもわたしは誰にも負けんがね
激しい「喜び」はいらない…
そのかわり深い「絶望」もない………
「植物の心」のような人生を…
そんな「平穏な生活」こそ
わたしの目標だったのに………
出世競争には、色々なマイナス面があります。
目立つことにより嫉妬や妨害、権力や派閥の争いに巻き込まれたりします。降格した時や追い抜かれた時には馬鹿にされます。
定年するまで終わることのないトラブルに巻き込まれ続けるくらいなら、そもそも出世競争というレースに参加しないほうが賢明です。
そしていざとなれば、そう簡単に負けない実力を示す吉良吉影は、ストレスがどれほど自分に悪影響なのか、よくわかっているのです。
手フェチな○人犯であるものの、会社員としては理想的な生き方、働き方、仕事の価値観を持っている。
そんな吉良吉影のような会社員は、出世に興味ない人にとっては、憧れではないでしょうか。
正しいことをしたければ、偉くなれ
実は、かつては俺も出世を目指していました。
自分の階級が上がるほど、給料も責任も上がりますが、ある程度自分の好きなように、正しい仕事ができて、自由度が上がると思っていたからです。めちゃくちゃ偉くなれれば、組織の制度や体質を抜本的に改善できるのではないかと。
自分が課や係のリーダーになって、自分の周りの人ぐらいは幸せにしたい、楽しく働ける環境にしたい、そのために自分が偉くなる必要があるのなら、係長、部長、専務にだってなってやろうじゃあないか、欲しい資格はたとえ弁護士だろうと取ってやろうじゃあないかという情熱がありました。
それに、好条件で転職をしようとしたときに、
「上司として従業員のマネジメント経験が●年以上あること」
など上司としての経験が求められることもあります。
年齢が上がるにつれて、年相応の経験がない人というのは、転職市場で評価されないかもしれないので、ある程度上に上がることは必要だと、新卒社員ながら感じていたのです。
どこにも正義がなかった
俺は子供の頃から士業や法律家に憧れていました。
傷つきながらも真っすぐな進路を歩み、進学校に法学部に進学、事務所に就職し、25歳と比較的若い年齢で、母も挑んだ悲願の行政書士試験を制覇しました。
しかし、有資格者(幹部や役員になっている人が多い)になっても、就職はうまくいきませんでした。
どこの社長も時代錯誤、昭和のままの常識でした。
もう仕事以前の問題でした。
ホワイトな職場と平穏な生活は自分で作るしかない。
勤め人である以上は、どこにも正義がない。
ということに気づき、年齢・職歴も限界が来ていたこともあって、会社員としての生き方そのものを放棄し、行政書士とWEBライターを武器に、個人事業主の道を無理やり突き進む現在に至ります。
まとめ 出世にメリットのある会社づくりが必要。
そもそも、出世に興味が持ってもらえない、その会社で管理職として活躍したくない会社というのは、組織として問題があると思います。
かつての俺が思っていたような出世することによってできることなど、メリットをしっかり提示し、出世しても快適に働けるということをしっかりとアピールしていく必要があります。
もう少し社労士や税理士、中小企業診断士、弁護士など企業を支えてくれる専門家の話や書籍の内容を正しく素直に受け止めて、法律を勉強して、労基署や税務署に怒られないような組織へと成長してもらいたいですね。
俺自身にも言えたことですが、そして今の若者には、ブラック企業を極力避けて、自分の働きたい企業に入れるようになってほしいです。
最悪雇ってもらえなくても大丈夫、と胸を張って独立できるようにすることも視野に入れて、頑張っていきたいですね。
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