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続ちょこっとひとこと

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故郷・神戸に戻り、今を綴るもまだまだヨチヨチのエッセイ集。
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#手術

僕の回復を祝ってくれている気さえした

僕の回復を祝ってくれている気さえした

口の大がかりな手術を受けたのは昨年3月。
それからもう10か月の時間が流れたことに驚く。

昨日、受診日。
結果は極めて良好。
口の中の欠損部分は医師も驚くほど回復をしていて、もしかすると将来的には装具をつけなくてもよくなるかもしれないとのこと。
いやぁそんなうまい話はないでしょと思いつつ、これまでの奇跡を思えば、もしかすると…はあるかもしれない。
僕は諦めない。

県下最大の大学病院ということも

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僕の心はなんだかポッと温かい

僕の心はなんだかポッと温かい

3月に口の手術を受け、僕はしばらく特別食しか食べられなかった。
口腔外科のミラクルな装具をつけることで5月からまた普通食が摂れるようになったのだが、そこまでの2か月、それは深い失意のどん底にいた。

退院してちょうど1週間後、こんな記事をあげている。

退院後初めての診察でカフェインの許可が出て、僕は嬉しくなってさっそく喫茶店に足を運び、解禁の1杯をゆっくりと味わったのだ。
何の変哲もないハウスブ

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まだまだ息子の背中を押せる僕でいなければ

まだまだ息子の背中を押せる僕でいなければ

高3の夏、父が倒れた。

大学へ行くならそろそろ勉強しないとなと思いはじめた頃だった。
クラスでも英単語は「しけ単」にするのか「豆単」でいくのかザワザワしていたが、僕は書店で「ターゲット」を手に取った。

その日のことだったと思う。
帰宅すると母からの書き置きがあり、父が吐血し緊急手術になったという。
半年以上にわたって父は不調を訴え、町医者の診断では胃潰瘍ということだったが、いつものように胃カメ

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今日は月に一度の通院日。
術後4か月、出血の日もまだあるが全体的によい方向。
午前は耳鼻咽喉科の腫瘍外来、午後は口腔外科の骨髄炎外来。
…ん?僕の病名はどっち?
手術直後の失意の入院を支えてくれたかわいらしい先生、命の装具を調整してくれるかわいらしい技工士に心からお礼を伝えよう。

かわいい笑顔に包まれた、幸せな一日

かわいい笑顔に包まれた、幸せな一日

昨日は久しぶりの通院日だった。
神戸・大倉山の大学病院。
3月に受けた手術はもう太古の記憶かのように霞みはじめている。

「口を大きく開けてください」
例のかわいい技工士さんが言う。
「じゃあ装具外しますね」

僕の口は手術で欠損が生じ、装具が必要になった。
これがなければ食べることも喋ることもままならない。
ひと月前に完成したその装具は僕にとって希望そのものだが、それさえあれば術前の自分に戻れる

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今日からまた新しいリハビリを始める

今日からまた新しいリハビリを始める

3月の手術から40日ほどが経った。

初めて読む方のために簡単に説明をすると、僕は3月に受けた手術で口の中を欠損し、そこをカバーするため装具がいるようになった。
これまでは急ごしらえの簡易装具をつけていたが、これは噛むことがままならず、喋るのも不自由だった。

それが昨日から、ようやく正式な装具になった。



昨日は口腔外科の診察だった。
かわいい技工士さんのいる、あの口腔外科。

連休前に型

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作っても食べられないものは多いけれど

作っても食べられないものは多いけれど

退院からまもなく1か月を迎えるが、体力は順調に回復してきた。
近くのスーパーへの往復で息が上がるなどということはもはやなく、その点ではまったくふつうの暮らしが送れるようになった。

しかし一方で、手術を受けた口の中の状況は大きな進展はない。
100%回復した体力と、いまだマイナスに沈んだ口のギャップに結構苦しめられている。

退院直後、体力が大きく落ちていたときには、その日を過ごすのが精一杯だった

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僕はきっと、うっとりトロトロの表情になっていただろう

僕はきっと、うっとりトロトロの表情になっていただろう

先月末の入院以来、幾度か僕の食について書いた。
口腔手術を受け、ふつうのものがふつうには食べられなくなったと。

最初そう書いたとき、そんな手術とは思わなかったと、なかなかの衝撃をもって受けとめていただいたように思う。
このnoteで食がテーマのマガジンにせっせと記事を書いてきた僕が、ペースト食になるなんて。
まさか一生これとは思わなかったが、僕にとっても衝撃の事実だった。

そして逆に、昨日あげ

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アカンやん、あひゃんやん

アカンやん、あひゃんやん

2年半務めた前職を辞したのは、昨年6月末のことだった。
最後は有給休暇、特別休暇などを並べ、さらに会社が転職休暇を30日もくれたりしたためGWまでくっつき、最終出勤日は4月下旬だった。

それからちょうど1年が経った。
依頼を受けたいくつかの仕事は同時並行で進めてきたが、時間的にも収入的にも大したものではなく、基本的には無職といっていい。
東京と京都に住む大学生を2人、高校生を1人抱える親として、

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まるでスイミーじゃないか、泣けるじゃないか

まるでスイミーじゃないか、泣けるじゃないか

一昨日の「良性」の診断に、心は少し平穏を取り戻した。
僕はようやく前へ向かって歩み始めることができる。
入院以来の闘病記は、今日で一つの区切りにしようと思う。



昨秋のことだった。
左目に違和感を感じ、めばちこ(=ものもらい)かなと。
目頭が腫れ、そして涙目だ。

この記事によると、それは10月のことだったらしい。

すぐ眼科に行ったが、めばちこはすでにない。
左目の異常は続き、1月に再受診

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道行くすべての人に、ありがとうを言いたい

道行くすべての人に、ありがとうを言いたい

最後にまた触れますが、昨日の病理診断は「良性」でした。



「ありがとう。とてもおいしかった」
気がつけば口からそんな言葉が漏れ出ていた。
「ありがとうございます」
カウンター越しに、かわいらしいスタッフが笑顔をくれる。
ベレー帽から横に流した茶色の前髪がきれい。
ほんのりピンクの目元のメイクはまさに春だ。
何か感じるものがあったのか、彼女は視線を外さない。

「2週間前に手術をしたんです」

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フガフガ。
フガフガ。

今の僕を表すのに、これ以上の表現はないやろな。
うまく食べられへんからフガフガ。
うまく喋れへんからフガフガ。

4月から喋る仕事をいっぱいするつもりやってん。
リハビリと精神力でなんとか乗り越えていかなアカンな。

今はただ、フガフガをふんわり過ごす。

なんだか言ったら負けのような

なんだか言ったら負けのような

手術から9日、退院から2日が経過した。

術後の経過は順調だが、人為的に開けた大きな穴はそれだけで大きな負担。
さらに入院9日間のベッド生活ですっかり鈍った筋力が追い打ちをかける。

なんとかやりくりして一日を過ごすが、夜になるとぐったりとし、患部の痛み、さらに装具をつけていることでよけいな筋肉を使うからか、首から肩にかけてのハリ、痛みは相当なものがある。



入院中から「カロナール」が処方さ

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僕は、うまいものを食べるために生きているのだから

僕は、うまいものを食べるために生きているのだから

今日は少し長く、そしてちょっと重たい記事になる。

手術の後、僕はペースト状の流動食を続けている。
たとえばこんなのだ。

あまり美しいとはいえない見た目から、最初は抵抗もあったが、食べて(呑み込んで)みると意外とそのものの味がする。
そのものをペーストにしているから、意外ではなく当然なのだけど。
表示を見ずに呑み込んで料理を当てる一人クイズを楽しむまでになった。

問題は、なぜもう退院していいく

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