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2022年4月の記事一覧

読まずに死ねるか(2022)

読まずに死ねるか(2022)

三年ぶりに「ぺぺ古本まつり」が開催された。この間に、三年もの空白の期間があったとは、そんな風には、まったく思えない、相も変わらぬ、いつも通りの「まつり」の雰囲気であった。いつまで経っても売れずにあちこち旅をして回る古本は、さらに塵や埃に塗れた古い古本になり。売れた古本のスペースを、新たにまた古い古本が埋め合わせる。並ぶのは、どこもかしこも古本ばかり、わずか三年ばかりの月日では、それぞれどうなるとい

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年末年始 2021/2022

年末年始 2021/2022

12月28日。「徹子の部屋」。ゲスト、タモリ。とても期待していたのだが、密室芸を披露するコーナーは今回なかった。久しぶりに見れると思ったのだが。残念。しかし、芸論的にいえば、あれは、別に年齢を重ねて円熟味を増していったからどうなるというようなものでもないような気はする。だから、わざわざ今のタモリがする必要はなかったということか。まだ頭がぎらぎらてかてかしてたころの方が、たぶん見るからにいかがわしさ

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エレクトリック・ユース

エレクトリック・ユース

エレクトリック・ユースとは、1989年の春にヒットしたデビー・ギブソンによるポップ・テクノ調のダンス・ナンバーである。このころの日本はまだ平成になったばかりで、長かった昭和がついに終わり新しい年号が決定されたものの、まだみんなあまり馴染めずにいて、妙にふわふわしたどうにも落ち着かないような毎日が続いていたように記憶している。昭和の最末期はどこもかしこも自粛ムードに包まれていて、表向きにはみな大人し

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パーマネント・アンシーン

パーマネント・アンシーン

ANG

ANGとは、エイリアネーション・ジェネレーションのことである。ANGは、疎外された世代である。そこに存在しているのに不可視なものにされている。とても小さくて見えないものにされているのではない。逆に、それは大量にして膨大で分厚すぎるがゆえに、どこをとっても過剰で、まるでハレーションを起こしたかのように真っ白な見えないものにされてしまう。そして、それは、つまるところわたしのことなのである。正

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創作落語「五十二階」

創作落語「五十二階」

「あー、チェック、ワン、ツー。チェック、チェック。えー、本部。本部。こちら、港区高輪、十四時二十三分。高層ビルの五十二階、窓の外に人が出ているという一報があり、現場に急行中です。現在、上りエレヴェーターの中。もうすぐ、五十二階に到着します。接近して、接触を試みる予定。詳細は、追って報告します。(腕時計型通信端末のスイッチを切る。プチッ)まったく人騒がせな話だよ。最近じゃ、こういうのほぼ毎日だから‥

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