安藤優 Masaru Ando
書きちらしたものや詠みちらしたものをここにまとめています。
2024年のうた九月 どのように思うかなんて思いもつかぬ思うまま思うしかない 雨が降り続き沢山のことばが流れてきて水路に閊える 雨がふり風がふき雷もなるじめじめした長月朔日 何度も読んだ文庫本の紙カバーが相次いでぼろぼろになる かろやかに羽ばたいて自由に空たかくどこまでも飛んでゆきたい かろやかに羽ばたいてビルのうえから空よりたかく飛んでゆきたい どんなにおしだしてみたところでにごった息がふきだしてくるだけ わたしとは縁も所縁もないような世界をいつもぼんやり見
早起きの鳥は必ず虫を得るだから毎朝早起きをする
十六トンの石炭を積み込んでまた一日老い増える負債
血は泥よりも濃いそれは血の中に存在する家族の問題
幸運の星の下に生まれた帝国を崩壊させる人々
すべてみな取り払われてわれわれはいつの日かみな解放される
雨は降らないし太陽も照りつけない監獄のように真っ暗
風に秘密をささやいて終末がすぐそこにある黄金の日々
支払いはわたしの首でいたしますサムホール煙突掃除人
わたしが誰であったか忘れてしまい別人だと思い込んでた
期限の迫った手形を支払えず持ってたものがみななくなった
心をもっている人ならきっと誰でもわたしを愛するでしょう
すべての金に飢えた人々が去りまた古い悪魔がやってくる
電線の中の歌声泣く声を聞くウィチタ郡の架線技師
穏やかな夏の夕べにブランタイアの炭鉱の爆発の音
20240830 大岡越前(七) 一 BS時代劇「大岡越前」の新シリーズが六月から八月にかけて放送された。主演俳優の引退によって、この先まだシリーズが続くのかどうか不透明な感じはかなり漂ってはいた。しかし、二〇二三年末の東山紀之が演じた大岡忠相の最終作となったスペシャル・ドラマ「大岡越前スペシャル 〜大波乱!宿命の白洲〜」の放送から約半年という短いインターバルで新シリーズの放送が開始されたのである。まず、あのちょっと羅生門的というか中途半端に真相は藪の中といった感じ(旧