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とにかくひたすら映画について語る vol.2

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どうやらマガジンにはnote100記事しか保存できないらしいので、vol.2を作成しました。
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#コンテンツ会議

【cinema】ユンヒへ

【cinema】ユンヒへ

始まりは雪深い小樽。1人の高齢女性が手紙をポストへ投函する。深々と降り積もる雪。

「雪はいつ止むのかねぇ」
彼女がポツリと呟く。この言葉はこの後も何度か出てくるのだが、決してグチではなく、かといって願望でもなく。しかし何かに折り合いをつけるかのように繰り返される。

場所は韓国へと変わり。一人の女子高生がその手紙を受け取る。しかしその手紙は彼女に宛てられたものではない。彼女の母ユンヒへ書かれたも

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【cinema】少年の君

【cinema】少年の君

「少年の君」中国

去年見逃したものを高速神戸のcinema KOBEにて。ものすごく評判良くて、これは見ておかねばと。

進学校に通う高校3年生の少女チェン・ニェンは、大学進学のための全国統一入学試験を控え重苦しい日々を過ごしていた。ある日、一人の同級生が陰湿ないじめを苦に自殺し、彼女が新たないじめの標的となる。いじめっ子たちの嫌がらせが激しくなっていく中、チェン・ニェンは下校途中に集団暴行を受

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2020年私的ベスト10ほか

2020年私的ベスト10ほか

今年はオンライン鑑賞2本含めて、147本の作品に出合えました。コロナ禍で、1ヶ月強の空白期間がありながら、よくもまぁこんなに劇場鑑賞ができたなぁと思います。何事もなく、健康で、概ねこれまでと変わりない生活(というと語弊があるかもだが)を送れていることに感謝せねばと思うばかりです。

さて、毎年恒例のマイベスト10です。

1.アフター・ラヴ (英)
2.レ・ミゼラブル (仏)
3.エンド・オブ・ラ

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【cinema】声優夫婦の甘くない生活

【cinema】声優夫婦の甘くない生活

12月18日から劇場公開の本作品。私はオンライン試写会が当たり、一足早く観ました。

1990年、ソ連からイスラエルへ移住したヴィクトルとラヤ。2人はソ連に届くハリウッドやヨーロッパ映画の吹き替えで活躍した声優夫婦だった。第2の人生を謳歌するつもりで移住したものの、イスラエルでは声優の需要がないという現実に直面してしまう。生活のためにラヤは夫に内緒でテレフォンセックスの仕事に就き、思わぬ才能を発揮

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【cinema】ザ・ライフルマン

【cinema】ザ・ライフルマン

世間が「鬼◯◯◯」に夢中になっている中、私はひっそりと1週間だけ上映されているラトビア映画を観てまいりました…

第一次大戦下のラトビア。ロシアに攻め入るドイツ軍と戦うため、ラトビアではライフル部隊が編成される。主人公は17歳にあと2ヶ月の少年のアルトゥルス・ワナクス。彼は冒頭で母をドイツ軍に銃殺され、志願し、兵役を一度は終えた老父と共に兵士となります。ロシア皇帝の名の下、前線で戦い続ける彼らです

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【cinema】許された子どもたち

【cinema】許された子どもたち

こんなにも逆説的なタイトルはあるだろうか。

全く許されてもいない子どもたちのことを描いているのに。

本作はどこにでもいそうな4人組(うち1人は自分がイジメの標的になりかけているのをギリギリのところでくい止めるため、仲間にならされている)が、割り箸で作ったボーガンで、いじめの標的となっている子を殺すところが起点となる。

殺すつもりはなかった。

でも殺してしまった。

だけど殺していないと翻し

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【cinema】君はひとりじゃない

【cinema】君はひとりじゃない

2017年60本目。ポーランド映画🇵🇱

いやー、してやられた。見終えてすぐの感想はそれ。日本版ポスターに騙された。

そもそもこの邦題は誤解を招く。時折流れる"You'll never walk alone"からのくだりなんだろうけど…コレ見たら、この真ん中に映ってる「天才セラピスト」の女性が如何にスゴイかっていうところが焦点になると思うだろうけど、全然そんなのではなくて。原題は、BODY。

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【cinema】セールスマン

【cinema】セールスマン

2017年59本目。イラン映画🇮🇷

何とも後味の悪い映画。なのに変な余韻があって、未だに考え込んでいる自分がいる。「結末は語らないでください」という映画の宣伝文句はよくあるけれど、たしかに観る前に結末は知らない方がいい。とりあえず途中から息を呑んで事の成り行きを見つめるしかないから。

私が映画を見る前に知っていたあらすじは以下のとおり。

夫婦ともにとある劇団に所属し、今度は「あるセー

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【cinema】セント・オブ・ウーマン/夢の香り

【cinema】セント・オブ・ウーマン/夢の香り

2017年58本目。午前十時の映画祭にて。

なぜだかよくわからないけど、私の中の何かが、これは観た方がいい、観に行った方がいいと言い続けていて、休みの日は二度寝推進派の私が、それをせずに観に行ったもの。

既視感がありまくりなのは、80年代後半から90年代にかけてのアメリカンムービーが、こぞってスクール物、とりわけ私立校のライフスタイルをとり上げて映画化していたからかなぁと思います。そして、なん

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【cinema】ナショナルシアターライブ 深く青い海

【cinema】ナショナルシアターライブ 深く青い海

2017年56本目。

ヒロインのへスターはガスの匂いが充満するロンドンのアパートの一室で倒れているところを同じアパートの住人や管理人に発見される。へスターは判事の夫の元を離れ、若い元パイロットのフレディと駆け落ちし、同棲していた。だが彼女の心は決して満たされず、孤独の思いに沈んでいた。彼女の愛に十分応えられないフレディ、アパートを訪れる夫ウィリアム・コリヤー卿、同じアパートの元医師ミラーらが

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【cinema】ありがとう、トニ・エルドマン

【cinema】ありがとう、トニ・エルドマン

2017年54本目。ドイツ映画。

この映画の感想が書きたくて、書きたくて、堪らなかったのに、ずっと溜め込んでいて、今やっと手をつけることができた。

正反対の性格の父娘が織り成す交流をユーモラスに描き、ドイツで大ヒットを記録したヒューマンドラマ。陽気で悪ふざけが大好きなドイツ人男性ヴィンフリートは、ルーマニアで暮らす娘イネスとの関係に悩んでいた。コンサルタント会社で働くイネスは、たまに会って

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【cinema】T2 トレインスポッティング

【cinema】T2 トレインスポッティング

2017年53本目。

やっとここまでたどり着けたというような感じ。T2。元祖トレスポファンが待ち望んでいた彼らのその後。私は、その20年を経ての年月をどう感じたかというより、ただただ見ていて心弾むってこういうことか…!というのを純粋に感じられたように思う。このT2を観るために、前作をついこないだ映画館で見たので、永年ファンだった皆さんには負けるけれども、やっぱりいいものはいいよね!

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【cinema】ヴォイチェフ

【cinema】ヴォイチェフ

2017年51本目。EUフィルムデーズ8本目。スロバキア映画🇸🇰

ヴォイチェフとは、この映画の主人公のおっさんの名前です。おじさん、じゃない。おっさんです。文字どおり。トップ画像の右側の彼です。

いわゆる中年の危機を迎えた男の日常を描いたアーバンコメディ。40代のヴォイチェフは妻を失い、家族とも没交渉、仕事もぱっとしなければ友達もいない。唯一の話し相手であるタクシーの運転手ラツォと共に

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【cinema】ナイトライフ

【cinema】ナイトライフ

2017年50本目。EUフィルムデーズ7本目。スロベニア映画🇸🇮

この衝撃的なトップ画を見てもらえたらわかるように、これをショッキングと呼ばずして何と呼ぼうか、という内容のこちら。

スロヴェニアの首都リュブリャナ。注目の訴訟で勝利を勝ち取ったばかりの高名な弁護士ミランが、血だらけになって倒れているところを発見される。身体中に犬が噛んだ跡があり、側には性具が転がっている。彼が生死の境をさ

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