テニス上達メモ093.メンタルトレーニングで人生は楽しくバラ色に染まる
▶心技体の割合がおもしろい
おもしろいデータがあります。
「心技体」について、アスリートに「試合で勝つために必要な要素は?」と問えば、重要度はおおよそ、「心→技→体」の順番になるそうです。
ところが日々の練習で費やされる割合の多くは「技→体→心」。
つまりテニスで言えば、たとえばオンコートのプレーが大半(技)、ランニングや負荷をかけるなどのフィジカルトレーニングが少しあって(体)、メンタルトレーニング(心)はあまり行なわれていないのが実情のようです。
一般プレーヤーも、おおよそ似た傾向ではないでしょうか。
つまり、勝つために大事だと思われている重要度と、日々の練習に費やされる割合がアンバランス。
※もちろんオンコートでも体力や心を培うこともできますし、オフコートで技も磨けますが、話がややこしくなるのですっきりまとめます。
▶我慢、忍耐、根性の精神論は「怖れ」のイメージ
では最重要に位置づけられる「心のトレーニング」というと、どういった内容を想像するでしょうか。
我慢、忍耐、根性?
いえここで取り上げるのは、そういったいわゆる精神論ではありません。
精神論を重んじた日本のスポーツ指導では、厳しくする「しごき」のようなやり方が横行してきた経緯があります。
「甘やかすと弱くなる!」「厳しくすれば心が鍛えられる!」といった価値観でしょう。
スポーツに限らず「しつけ」と称する子育ても同じです。
しかしそういった「怖れ」のイメージが湧く「しごき」「しつけ」は、百害あって一利なし。
「絶対勝つべき」
「負けたらしばかれる」
「人に迷惑をかけてはいけない」
そのような怖れに支配されては、出せる実力も出せなくなります。
▶「怖れ」はフォーマンスを下げる
指導者の目を気にしてプレーするようになりかねません。
さらっておくと、怖れを喚起する最大級の誘因は「人目」でした。
直接的に見られる他者からの視線のみならず、「ミスしたらどう思われるだろう」「負けたらしばかれる」などの他者からの「評価を気にする」のも人目です。
人目がなければ自由闊達に振る舞えるのに、手かせ足かせをはめられたような不自由が強いられます。
そして人目を気にするようになる最強禁止令が、「人に迷惑をかけるな」でした。
人に迷惑をかけないようにするためには、どうしても「人目」が必要だからです。
そしてそのとき、私たちは「怖れ」ているのです。
人に迷惑をかけないために、意見が人と違うと自分の意見を押し殺します。
怖れるからパフォーマンスが下がり、かえって「人に迷惑をかけてしまう」のです。
▶パフォーマンスを上げる秘訣は「楽しむ」
本当に役立つ心のトレーニングはまったくの逆で、「楽しむ」メンタリティのすくすくのびのびとした育成。
私たちは楽しんでいるとき、最も高いパフォーマンスを発揮できるのは経験値としても納得のいくところです。
仕事をするにしても料理を作るにしても雑用をこなすにしても、楽しいとテキパキとはかどります。
はかどるだけではなく結果も伴います。
いえ、「雑用」というのはないのでした。
それが雑かどうかは、虫を「害虫」と一方的に決めつけるのと同じ主観。
雑用ではなく、「用」でとどめます。念のため。
▶楽しみは充実感
私たちは楽しんでいるとき、最も高いパフォーマンスを発揮できます。
ただ楽しむといっても、何もゲラゲラ笑うばかりが楽しいのではありません。
「充実感」のようなものです。
楽しむのに、我慢、忍耐、根性は無縁。
むしろそれらを強いると、楽しめるものも楽しめなくなってしまいます。
ところが日本は、「我慢、忍耐、根性」に美意識を見出そうとしがちなハードモード設定を好むマゾヒスティックなきらいがありました。
ですから代表選手が「オリンピックの舞台を楽しみたい」などというと、あたかも「不謹慎」「お国のために頑張れ」などの空気が支配的にもなります。
謎は残されるもののテニスでは、佐藤次郎が投身自殺をはかった悲劇の誘因となる歴史があった。
さて、では、楽しむためにはどうすればいいのでしょうか?
詳しく見ていきます。
▶「魔法のようなメンタルトレーニング」がある
楽しむためには、どうすればいいか?
携わる活動をあまねく楽しめれば、人生バラ色ですよね。
そんな魔法のようなメンタルトレーニングはあるのでしょうか?
あります。
心技体は「力」という字を伴って「技術力」「体力」とよく言いますが、「心力」は馴染みがありません。
楽しむための心力が、「集中力」というわけです。
▶集中は楽しい
「集中?」「そんなの楽しくないぞ」「面倒くさい」「疲れる」といった印象でしょうか?
それこそ「集注しろ!」などとしごかれてきたからです。
集中は楽しい。
それが証拠に、どんなに楽しいお笑い番組も片手間に見ていたら、笑えません。
どんなに素敵な音楽も、新聞を読みながらだと感動しません
どんなに豪華な料理も、心配しながらでは味わえません。
換言すればありきたりな対象であっても集中すると、面白いし感動するし味わえるから、楽しくなるのです。
これが、パフォーマンスを高めるための本当に役立つメンタルトレーニングです。
▶雨音はショパンの調べ
「雨音はショパンの調べ」などと言われますけれども、集中して聞くと実際にそうなります。
雨粒が鳴らす音の大小や、音程、リズムは諸行無常。
「絶対無二の一音」です。
片手間に聞くから面白くないし、うるさくすら感じます。
asmrが楽しいのではありません。
「集中」して聞くから、asmrが楽しくなるのです。
ご飯も集中して味わうと、素朴な塩おにぎりもご馳走です。
一口につき百回噛みしめれば「絶対無二の一噛み」となり、その豊富なバリエーションが舌を楽しませます。
▶「膨らんできた~」「縮んでいく~」
テニスではボールに集中です。
それがいかに何の変哲もない「丸いただの物体」だとしても、細部に宿る回転や毛羽、行き来するたび遠近法にならい見て取れるサイズの変化といったところまで観察が及ぶと、がぜんボールに集中するのが楽しくなります。
近づくにつれ、「膨らんできた〜」。
遠ざかるにつれ、「縮んでいく~」。
「絶対無二の一球」です。
そして楽しいとき、私たちは最もパフォーマンスを発揮するのです。
▶五感生活で「リア充」は実現する
心技体で最もおろそかにされがちな心のトレーニングは、やろうと思えば日常生活の24時間どこでもできるものであり、一般的な精神論の印象とは意に反して、人生がバラ色に染まる楽しさ、充実感です。
換言すれば、テニスコートで集中できる時間と場所は限られています。
その点、日常生活では限りがありません。
頭の中で行われる思考がバーチャルなのに対し、五感が集中する情報は、今まさに感じているリアルです。
リアルが充たされるから、略して「リア充」。
楽しいとはかどるし、結果も伴うことは先に確認したとおりです。
考え事に耽溺すると、バーチャルに人生が乗っ取られてしまうから生きることが「むなしい」のです。
▶クレームにも余裕対応の「メンタルタフネス」
たとえば誰かと会話するとき、聞こえてくる話の内容のみならず、相手の声のトーン、目や口元、眉間など細部に宿る表情の変化、身振り手振りのバリエーションなどにも観察が及ぶと、充実し、楽しくなります。
相手が怒ってクレームを言ってくるときでさえ、余裕が持てます。
「あぁ、この人も怖れているのだなぁ」と優しい気持ちになれる。
テニスもボールの回転や毛羽、ボールサイズの変化が見て取れると、余裕が持てます。
メンタルタフネスです。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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