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浅いテツガク

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2024年3月の記事一覧

構造と関係

構造と関係


1.関係と演繹小計|浅井哲史 (note.com)
上記で「構造=要素×関係」と簡単に纏めたが、「関係」というものはとってもやっかいだ。建築物のように明瞭なのは実は稀少。「人工物」に限るといってもよい。
「自然」の構造を要素から演繹するのはほぼ不可能と覚悟した方が無難だ。三体問題やら複雑系やら初期値の誤差やゆらぎが行く手を阻んでいる。
ただほんとにたまに数字と数式で自然を演繹できることがある。数

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読了メモ「レヴィ=ストロース入門 」14

読了メモ「レヴィ=ストロース入門 」14


1.いつかまた暇なら考察することそろそろ考察も尽きてきたので、他に思いついたことをメモしておく。

①動物名と家族名の2つの表現を持つ登場人物
p183 ジャガー女
⇒多分、「正気」を失ったから。つまり、構造からの逸脱者。
p166  伯父のスカンク
⇒多分、家族名の端だから。「伯父」の先に「家族名」はないということ。つまり、構造の境界者。

②固有名詞と実存
「家族名」物語から「固有名詞」物語

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読了メモ「レヴィ=ストロース入門 」13

読了メモ「レヴィ=ストロース入門 」13


1.登場人物の固有名詞化ここまでの考察概要
① 神話は構造を語る
② 1家族3世代を「家族名」だけで物語るのが神話の基本構造

上記から、「家族名」が固有名詞になる、その他の登場人物が固有名詞になる、のはどのような場合か、思いつく可能性を列挙する。

①動物名が固有名詞的に使用されるケース
・1家族を「家族名」だけで物語る基本構造の場合、他のアクターは家族名以外で表現せざるえない。その際に固定名

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読了メモ「レヴィ=ストロース入門 」12

読了メモ「レヴィ=ストロース入門 」12



1.家族ベクトル家族を構造として考えていたら、だんだん、「家族名」は固定的な「位置」というより「ベクトル」に例えた方がマッチするような気がしてきた。

読了メモ「レヴィ=ストロース入門 」10|浅井哲史 (note.com)

上記で基本構造1としてあげた「1家族3世代しか存在しない全体集合」を想定した場合、「家族名」は、任意の人を「始点」とする以下3属性のベクトルとして数値化できる。
①性 

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読了メモ「レヴィ=ストロース入門 」11

読了メモ「レヴィ=ストロース入門 」11



1.主人公名詞物語を文章形式で分類すると大きく以下2つの文に分類できる。
A文 : 主人公名詞A+主人公動詞x
B文 : 非主人公名詞B+非主人公動詞y

ここで、A文だけを抽出した文章群を想定すると
文1 主人公名詞A+主人公動詞1
文2 主人公名詞A+主人公動詞2
文3 主人公名詞A+主人公動詞3

「物語の外」から見ると同一の名詞の文の順列。これが「物語の内」においては、ほぼ物語上の順

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読了メモ「レヴィ=ストロース入門 」10

読了メモ「レヴィ=ストロース入門 」10


1.基本構造1前回の家族名だけで構成される神話の特徴を整理すると以下。
① 1家族の物語である
② 家族は家族名で登場する
③ 当該家族以外の人は「村人」として総称される
④ 当該家族の外の個別の要素は動物名で登場する

これを集合で比喩すると、
① 「1家族」が集合A
② 集合Aは順序的構造
③ 「村人」はAの補集合
④ Aの補集合の要素は動物名
となり、全体集合Uの中に集合Aが一つだけ存在す

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読了メモ「レヴィ=ストロース入門 」9

読了メモ「レヴィ=ストロース入門 」9


1.前回神話において固有名詞による表現が登場するケース

<推定1>前回の結論
物語が複数の集合を語る時、その複数の集合に共通集合があると固有名詞が割り振られる、のかも。

2.固有名詞について2さらに思いつきを追加。

「村人」という言葉がある以上、家族以外の「人間」も認知されている。

他の「人間」が認知されているにも関わらず、普通は人間である「支援者」や「攻撃者」を、なぜ擬人化して動物にす

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読了メモ「レヴィ=ストロース入門 」8

読了メモ「レヴィ=ストロース入門 」8

1.レヴィの神話分析について本書第5章でレヴィの神話分析が解説されている。が正直、まさにそれだ!て感じはしなかった。そう言えるかもしれないなあ程度。

ちょっと神話内容に踏み込み過ぎではなかろうか?もうすこし形式的、抽象的に分析できるのではないだろうか?という印象。

第5章にはレヴィの神話分析だけでなく分析対象である神話自体も掲載されてるので、上記観点で自分も分析にチャレンジしてみる。

2.固

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読了メモ「レヴィ=ストロース入門 」7

読了メモ「レヴィ=ストロース入門 」7

「神話は構造の話をしている」
レヴィはこの「構造」を「代数的構造と考えた」というのが自分の感想。

それに対し自分は20年前「順序的構造」と考えたようだ。
(下記の「近親相姦って何故ダメなの?」)

上記を要約すると

①「父」「母」などの親族言葉は順序的構造である
②  親族言葉がないとインセストタブーは作れないし、インセストタブーを守らないと親族言葉は意味をなさない。つまり親族言葉とインセスト

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読了メモ「レヴィ=ストロース入門 」6

読了メモ「レヴィ=ストロース入門 」6


1.現代の神話前回の結論
①  神話は人の話をしているのではなく、構造の話をしている
②  ①の視点から見れば、現代に溢れる「情報」と神話は同一

例えば退職後の日中Youtubeをラジオにしていたら、たまたま再生された下記の物語。

この物語に強烈な神話性を感じる。xx族の「ある男」の神話と同じように、日本族の「ある女」の神話ではないか?
事実かどうかは問題ではない。「ある女」とその子達を応援

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読了メモ「レヴィ=ストロース入門 」5

読了メモ「レヴィ=ストロース入門 」5


1.神話と情報なぜ近親相姦が語られるのか?
一つはその話題が「面白い」からだろう。つまり近親相姦という情報には価値があるってことだ。
情報価値は極論、確率だ。低い確率ほど価値がある。
近親相姦が情報になるということはその発生確率が低いてことになる。つまりその社会で近親相姦は滅多に発生しない。であれば逆にその社会には近親相姦タブーがあるのだろうと想定してもよさそうだ。

2.情報価値確率が低いこと

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読了メモ「レヴィ=ストロース入門 」4

読了メモ「レヴィ=ストロース入門 」4

このレヴィの発想は「ミーム」を先取りしてるように感じる。
自分も3年前「人間」を人体+人工情報+人工物で構成される自然現象に設定した。

この設定では「人間」を人体に限定しない。人工情報も「人間という自然現象」の一部である。それに人体をその自然現象の中心に据えるわけでもない。別に情報の方を中心に考えても良い。その場合、人体は情報のメディア、ミームの寄生先みたいな扱いになるだろう。
以下、ミームであ

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読了メモ「レヴィ=ストロース入門 」3

読了メモ「レヴィ=ストロース入門 」3


1.「野生の思考」について上記引用のように「野生の思考」と「近代科学」で二分して考えるなら、
①「野生の思考」が未開社会のわけわからん思考ではなく広義の「科学的な
  思考」であること
②「野生の思考」の方が普遍的なこと
だと自分も思う。だが、同時に自分とレヴィは立場が真逆だとも思う。

これもその通りだと思う。
我々の日常的思考は近代科学よりむしろ「野生の思考」に近い。使う「用語」が近代化して

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読了メモ「レヴィ=ストロース入門 」2

読了メモ「レヴィ=ストロース入門 」2


1.気になった点p106 エドマンド・リーチによるレビュの親族研究の4つの批判。

批判の④である以下が気になった。

p109 遊動する採取民社会では「女の交換」が現れない

自分も「女の交換」をしない社会はあるだろうと思っていたから。

p108 上記に対する著者の説明(のオレの理解)
外婚制(女の交換)とインセスト・タブーは、基本構造の異なる表現形。

つまり「女の交換」は、「基本構造=イ

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