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たかぱん
2024年6月22日 10:44
これは絵本「戦火のなかの子どもたち」にまつわるエピソードを綴った本である。その絵本についても、私はこのような場所でご紹介しようかと考えていたが、この「物語」に触れることで、絵本のことはお知らせできると考え、この場で一緒にお伝えすることにした。 絵本のほうは、もちろん、いわさきちひろ作である。同じ岩崎書店から刊行されており、1973年9月に第一刷発行となっている。大判の絵本であり、1989年の第
2024年6月16日 10:21
加藤常昭先生の本は、振り返ってみると、ずいぶん読んでいる。代表作はもちろんのこと、聖書講話シリーズや、道シリーズなどもある。翻訳ものを含めると、個人別にして一番多く持っているだろう。だが、「説教全集」は、一冊も持っていなかった。なにしろ高いのだ。そして、きりがないからだ。 しかし、D教会で一年間説教を続けた2003年度のものが入った巻があるという。D教会のH牧師から聞いたので、「これは」と思っ
2024年5月3日 10:17
自分の手の届く世界ではなかった。説教のプロたちの営みは、遠い雲の上の世界だった。「説教塾紀要」の存在は知っていたが、自分が読むようなものではない、と思っていた。 だが、主宰の加藤常昭先生の最後の説教が掲載されていると聞き、迷わず購入の手続きをとった。2024年3月発行の最新版である。 2023年10月8日のその礼拝の末席を私は汚していた。加藤先生と時を共有してその説教を聴くのは、初めてだっ
2024年4月29日 10:31
(トマス・H・トロウガー;レオノラ・タブス・ティスデール・吉村和雄訳・日本キリスト教団出版局) 私にとって3000円+税とは高価な本だ。だが、気になっていた。キリスト教の礼拝説教というものに執着のある私だから、テーマが気になる、というのも事実だ。だが、この共著の一人が、トロウガーであるという点が、どうしても見逃せなかった。『豊かな説教へ 想像力の働き』を読んだからだ。日本の説教塾でも、説教と想
2024年4月17日 11:46
原書は1960年であるというが、実はその少し後から、翻訳の話があったのだという。だが、訳者が、青山学院大学の神学科廃止の問題に巻き込まれ、翻訳へ力を注ぐことができないまま、20年が経つ。そこでようやく日の目を見るようになった。私たちに、説教に対する力強い思想がもたらされた。 リッチュルは、1929年にスイスのバーゼルで生まれた。と聞くと、やはりカール・バルトとの関係がどうか、というところが気に
2024年2月7日 11:14
副題が「福音の真髄」と書かれているが、これについては「あとがき」に触れられている。たぶん、全編読み終えて、最後にそれを味わうとよいだろうと思う。 加藤常昭説教全集は、教文館より、2004年に発刊開始、2021年に完結した。全37巻の見事な全集である。かつてヨルダン社で20巻ものとしてあったが、それに17巻を加えた形で完結した。 すでに高齢で、視力に支障を生じていた加藤氏のおもな説教は、その
2024年1月24日 11:28
日本基督教団の牧師である。その説教集が何冊か出版されている。私は好きだ。 神の言葉を自分における出来事として聴く。それを語る。また、安易にキリスト教を弁護しない。むしろ、キリスト教世界や教会の中に、とんでもない罠が潜んでいることを感じており、それを告げるのに憚らない。 私がもし牧師だったら、きっとこの人のように語るだろう。考えるだろう。だから好きだ。非常に共感できる、ということだ。 し
2024年1月18日 11:30
体を壊しての中で、教会で説教を語り続ける。偶々その教会から転任してゆく頃に、ルカによる福音書から講解説教を展開した。今回、その中から特に「神の国」を含む聖書箇所から語られた説教だけが集められた。ユニークな編集である。 神の国。それは、神の支配を意味する語である。教会で説教を聞く者は誰でも知っている。土地のことを指す言葉ではない。そして、一般にしばしば「天国」と呼ばれているものがそれであることも
2023年12月23日 09:35
加藤常昭先生のお薦めであった。1968年発行の本である。探すと入手可能だった。半世紀以上前の本である。届いた本は日焼けしていたが、線引きなどなく、気持ちよく読めた。 渡辺善太(ぜんだ)は、牧師も務めたことがあるが、印象としては説教者である。神学校で教えることも長かったと思う。とにかく「説教」について極めようと努めた方である。本書には、その説教への熱い思いがふんだんにこめられている。 自分の
2023年12月11日 11:28
発行年は、実は2冊の分冊版の発行時である。手許にあるものは、1977年に一巻本となったものである。450頁を超える厚みのあるものになったが、これは1冊になってよかったのではないか、と私は思う。かつてはかなり高価な感覚があったのかもしれない。 発行から半世紀を経てようやくお会いできた。伝説の本である。2016年に新装復刊しているが、私は旧いほうで入手した。説教に生涯を賭けた加藤常昭氏が「日本説教
2023年11月7日 11:42
礼拝の壇上で、説教者が本を紹介することがある。遠慮がちに、「よかったら読んでみてください」と口にする。パワーをもつ立場の者が、「読め」と命ずることは、圧力をかけることとなる。他方、牧師も教会からすると雇われの身であるとするなら、あまり思い切ったことは言えない面もあるだろう。それだから、「この本を……」と紹介するというのは、かなり勇気の要ることなのではないかと想像する。本当は、めちゃくちゃ読んでもら
2023年10月24日 11:11
説教者を知らなくても、編者の名前から検討がつくだろうと思う。日本で説教を最も重視し、説教塾を立て、何百人もの牧師の説教に対する考え方をつくりかえた加藤常昭氏の妻である。 2014年8月、本書の発行後間もなく召された。 1964年の大きな手術以来、多くの病を担い続け、もはや治療不可能という事態になり、本書が編まれた。夫常昭氏の、感情溢れんばかりの、しかし結局は信仰に溢れた形の、「まえがき」や
2023年9月30日 10:06
日本基督教団仙台川平教会主任担任牧師、宮城学院宗教総主事などを務め、東北の地で50年にわたり伝道に奉仕した牧師が残した説教集。膨大なノートの束から掬い上げられた、生涯をかけて福音をあかしし続けた著者による心打つ魂の言葉。 本の帯にそう説明されており、これが本書の概略を簡潔明瞭に伝えている。その帯に、より大きな文字で書かれてある文句はこうである。「信仰とは、困惑があってもそれを超えて生きてゆくこ
2023年8月7日 11:26
面白かった。面白くて仕方がなかった。これほどわくわくしながら読み進んだ本は、それほど多くない。 日本のプロテスタント教会で「説教」ということについて評判のよい人は多々いる。だが、「説教」を磨くためにどうすればよいのか、について多くの人に呼びかけ、教育を施した人となると、この著者のほかにはいまのところ思いつかない。 もちろんほかにも硬い「説教」についての著作や翻訳もいろいろある。ここで「説教