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tarosufp:自作小説

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自作小説「夜の占い師tarosu」 占いの時のエピソードをベースに、小説風に仕上げてます。
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夜の目薬屋

夜の目薬屋

昨日から身体の調子が悪かった。
スマートフォンを見る目がとても重い。
きっと激務のせいだ。

自分の肩をセルフマッサージでほぐしてみるが、今日はなかなかほぐれない。
かと言って、マッサージに行くには気が引ける。
それでも、取り急ぎは目を癒す必要がある。

夕闇に染まらない雨の中、私は近くにある薬局を探すことにした。
街の夜はネオンライトが眩しい。
見える景色は朧げな色に囲まれている。
眼がそうさせ

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夜の占い師Tarosu1:お師匠と私

夜の占い師Tarosu1:お師匠と私

今年五月、Kindleで出版した「夜の占い師Tarosu1:お師匠と私」をnote向けに再編集しました。内容はKindle版と同じです。
一章の途中までは無料で読めますので、よろしければどうぞ。

(1)出会い私の師匠は占いの技術を教えようとしない。他の弟子には教えるにも関わらず、私には教えないのだ。

大阪に近い兵庫の高級住宅街・芦屋。ここはかつて、震災で最も被害を受けた地域の一つだ。北側にある

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彼女のカミングアウト

彼女のカミングアウト

夜の公園。僕はブランコに座っている彼女を見ながら、
「好きです。僕と付き合って欲しい」
僕は精一杯の思いを彼女にぶつけた。

彼女は少し僕を見て驚き、それまでの笑顔が消えた。
そして、黙ってしまった。
僕に視線を合わそうとしない彼女は、とても悲しそうな顔をしている。

彼女は、僕に視線を合わすことなく、
「ごめん、他に好きな人居るんよ」
そう言って、僕の想いを断ち切った。

「そっか。そうだと思っ

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