記事一覧
「82年生まれ、キム・ジヨン」チョ・ナムジュ〜なんとなく、と向き合いたい〜
読んだらきっと辛くなる。そう思って、ずっと読むのを先延ばしにしてきました。普段気にしないようにして心の中に埋めているモヤモヤを明文化されると、向き合うのに胆力が要るように感じます。
「でも、そういうものだから」という空気感も心底辛いですが、「そうは言っても変わらないだろう」と諦め、無思考で現状に流されていく方が楽だと判断しているのかもしれません。
最近はあまりにも後者の考えに浸って感覚が
「従順さのどこがいけないのか」将基面貴巳〜三角な自分でいるのは難しい〜
タイトルに吸い寄せられ、久しぶりに新書を読みました。
私は小さい頃から、人の命令に逆らえない子でした。親や先生に「○○しなさい」と言われたら、逆らうという選択肢を持ち合わせていないのです。何も考えずに、言われたことを実行していました。そこには、大人に対する盲目的な信頼(やるべきこと、やってはいけないことを決めるのは大人で、その内容は理にかなっているという認識)=思考の放棄があったと思います。
「JR高田馬場駅戸山口」柳美里〜忍法変わり身の術が使えたら〜
大好きな柳美里さんの作品です。主人公のゆみさんは、幼稚園に通う息子・ゆたかくんと都営戸山ハイツに二人暮らし。夫は単身赴任中です。
河出文庫の表紙では、ゆたかくんを彷彿とさせる小さな子がベランダから外を見ています。間違えたら落っこちてしまいそうな危ない体勢で、運動神経の悪い私なぞはハラハラします。ましてゆたかくんを大切に育てているゆみさんなら、この姿を見たら間違いなくすっ飛んでくるでしょう。
「ボヌール・デ・ダム百貨店」エミール・ゾラ
19世紀パリを舞台に、新たな消費システム「デパート」の台頭と地方から出てきた主人公の必死の日々を両輪として進んでいく作品です。ゾラの作品の中で一番心を鷲掴みにされたもので、個人的なツボを書き留めたいと思います。初めて読んだ際には、読了するのが惜しくて区切りの良いところになると本を持ったまま遠くに気を飛ばし、現実逃避をしながら少しずつ読み進めていたと言う思い出があります。
まず、2人の弟とパリ