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読書録や日々の出来事を載せていきます🐑

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はじめましてのご挨拶

 はじめまして、tamakiと申します。本が大好きな社会人です。読書録など、本に関する内容や日常について投稿していきたいと思っています! 1 noteを始めたきっかけ:今度は自分で書いてみよう 小さい頃、自分が何で生まれてきたか分からず不安で中々眠れなかった時期があります。  そんなとき、「そうだ!私は本が大好きだから、世界中の本を読み尽くすのが私の生きる意味なんだ!」という考えに至り、気力を回復しました。  この考えを思いついた時は分かりませんでしたが、世界中の本を全て読

    • 「塩狩峠」三浦綾子

       今この文章を書いているときにも、この本を思い返すとじんわり涙が出てきます。  主人公・信夫は東京で生まれ育ち、その後北海道へ渡ります。ほぼラストまでのあらすじが文庫本の裏表紙に書かれており、それを読んでから本編に入ると、まるで彼が最後の選択に至るまでの足跡をスローモーションのようにゆっくりと辿っていく感じがしました。久しぶりに一人の人間の生涯を追っていく小説を読んだのですが、これも小説の醍醐味の一つだなあと感じます。  なぜ生まれてきたのか、なぜ死ぬのか。流れるように日

      • 「82年生まれ、キム・ジヨン」チョ・ナムジュ〜なんとなく、と向き合いたい〜

         読んだらきっと辛くなる。そう思って、ずっと読むのを先延ばしにしてきました。普段気にしないようにして心の中に埋めているモヤモヤを明文化されると、向き合うのに胆力が要るように感じます。  「でも、そういうものだから」という空気感も心底辛いですが、「そうは言っても変わらないだろう」と諦め、無思考で現状に流されていく方が楽だと判断しているのかもしれません。  最近はあまりにも後者の考えに浸って感覚が麻痺していたのか、「そういえば読んでいないな」と軽い感覚で手に取ったが最後、途中

        • 「アーモンド」ソン・ウォンビョン〜私はアーモンドを大事にできるのか〜

          表紙の少年の顔がずっと疎遠な自分の弟とあまりにもそっくりで、なんとなく敬遠していたのですが、先日好きな人が読んでいるのを見て、ついに手に取りました。 しょうもない理由でなんで今まで読まなかったのだろう、と後悔するほど物語に惹き込まれ、文字通り一気読みしてしまいました。 感情を司る扁桃体(アーモンド)が小さく、喜怒哀楽を感じない主人公・ユンジェ少年が、両親と生き別れてから施設で育ってきた同い年の少年・ゴニと出会います。ゴニはいわゆる「問題児」で暴力的な挙動を繰り返しており、

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        はじめましてのご挨拶

        • 「塩狩峠」三浦綾子

        • 「82年生まれ、キム・ジヨン」チョ・ナムジュ〜なんとなく、と向き合いたい〜

        • 「アーモンド」ソン・ウォンビョン〜私はアーモンドを大事にできるのか〜

          「アンティゴネー」ソフォクレース〜私は何に従いたいのか〜

             中学生の時、私が人生で初めて読んだ文庫本が「アンティゴネー」でした。家に本がなく専ら児童図書館で借りて読んでいた私は、それまでなぜか「文庫本は大人になってから読む物」と信じ込んでいました。ところが、中学生になって学校の図書室に文庫本がたくさん並んでいるのを目の当たりにして「えっ!文庫本って、大人じゃなくても読んでいいんだ!!」と驚愕し、早速記念すべき人生初の文庫本選定作業に取り掛かったのです。最初から挫折したら幸先が悪いので、なるべく薄いもの。そして、小さい頃から憧れて

          「アンティゴネー」ソフォクレース〜私は何に従いたいのか〜

          「オーラの発表会」綿矢りさ〜自己肯定感に並ぶものなし〜

           綺麗な装丁に目を引かれてページをめくったところ、最初の数ページで春から大学一年生になる主人公、海松子の心中の独白に共感。「そうそう!その気持ち、分かる!」と一気に盛り上がりました。ところが、彼女が周囲の人物と交流する描写が始まった途端「あっ......全然違うタイプだ......」とまたもや衝撃が走ります。序盤から激しい感情の起伏を味わうことになりました。  海松子と私の最大の違いは、自己肯定感の有無だと思います。海松子はいわゆる「ズレている」タイプです。独特の思考に基づ

          「オーラの発表会」綿矢りさ〜自己肯定感に並ぶものなし〜

          「三千円の使いかた」原田ひ香〜一生のテーマ:お金〜

           今、手元に三千円があったら何に使うのか。「一円を笑う者は一円に泣くんだよ」と小さい頃から親に言われていた私にとって、三千円は貴重な財源です。一人暮らし一週間分の食費に相当します。そのため、本当は浮いた三千円を貯金すべきだと思いつつ、直近で「使う」のであれば普段は気軽には買えない果物を買いたいなあ、と思います。最近は、いちごがたくさん並ぶ季節ですね。一パック八百円弱だとして、三千円で毎週一パックを一か月間楽しむことができます!これはとっても嬉しいご褒美です。(こんなことを書き

          「三千円の使いかた」原田ひ香〜一生のテーマ:お金〜

          「きみは知らない」チョン・イヒョン〜優しい色に包まれて〜

           表紙を縁取る柔らかなピンク色がとても好きです。ページを捲るとサスペンス色の濃いストーリーで心臓の弱い私にはかなり刺激的でしたが、最後のページまで指が止まりませんでした。  ある一家の次女である11歳の女の子が突然姿を消すことから物語が進んでゆきます。その一家の姿が砂上の楼閣のようで、でもこんな家族たくさんいるよね、というリアリティを感じさせるのです。    読み進める途中で、私にとって家族ってなんだろう、自分の家族について何をどこまで知っているのだろう、と考えさせられまし

          「きみは知らない」チョン・イヒョン〜優しい色に包まれて〜

          ひまわりへの憧憬

           寒さに弱い私は、暑い夏の季節を想像して冬を乗り切ります。湿度を感じる暑い空気、蝉の声、青々とした木々に鮮やかな花々……..。そのなかでも、ひまわりのイメージは効果てきめんです。青空の下一面のひまわり畑を思い浮かべれば、「次の夏まで頑張って乗り越えよう!」という気力が漲ってきます。そして、そのひまわりの姿を彷彿とさせる人が、私の忘れられない初恋の人です。  その人と初めて出会ったのは、私が2歳の時でした。(私はなぜか2歳からの記憶が鮮明にあるのですが、それは初恋の記憶をずっ

          ひまわりへの憧憬

          J R上野駅公園口〜追いかけたい人の背中〜

           小さい頃、母に何度か上野動物園に連れて行ってもらったことがあります。公園口を出るとすぐに広い横断歩道があり、渡ったところから広がる上野公園を進んでいけば見えてくる動物園までの道のりが、ワクワクして大好きでした。そして、本作の主人公でもあるホームレスの人たちを沢山見たのも、同じ道中でのことでした。近所の橋の下に一人で住んでいる男の人しか前例を知らなかった私にとって、公園に集合して暮らしている人たちがいることは衝撃でした。家族はいないのだろうか。いつも何を食べいているだろうか。

          J R上野駅公園口〜追いかけたい人の背中〜

          「従順さのどこがいけないのか」将基面貴巳〜三角な自分でいるのは難しい〜

           タイトルに吸い寄せられ、久しぶりに新書を読みました。  私は小さい頃から、人の命令に逆らえない子でした。親や先生に「○○しなさい」と言われたら、逆らうという選択肢を持ち合わせていないのです。何も考えずに、言われたことを実行していました。そこには、大人に対する盲目的な信頼(やるべきこと、やってはいけないことを決めるのは大人で、その内容は理にかなっているという認識)=思考の放棄があったと思います。物心ついたときから、自分一人で妄想するとき以外に思考することがとても苦手でした。

          「従順さのどこがいけないのか」将基面貴巳〜三角な自分でいるのは難しい〜

          「JR高田馬場駅戸山口」柳美里〜忍法変わり身の術が使えたら〜

           大好きな柳美里さんの作品です。主人公のゆみさんは、幼稚園に通う息子・ゆたかくんと都営戸山ハイツに二人暮らし。夫は単身赴任中です。   河出文庫の表紙では、ゆたかくんを彷彿とさせる小さな子がベランダから外を見ています。間違えたら落っこちてしまいそうな危ない体勢で、運動神経の悪い私なぞはハラハラします。ましてゆたかくんを大切に育てているゆみさんなら、この姿を見たら間違いなくすっ飛んでくるでしょう。でも、作品中で本当に危うい状態になっているのは、すっ飛んで子を抱きしめる立場にあ

          「JR高田馬場駅戸山口」柳美里〜忍法変わり身の術が使えたら〜

          「燃えよ剣」司馬遼太郎〜たたみいわしの威力〜

           幕末の歴史といえば長州藩贔屓だった当時中学生の私を、新撰組という古来より伝わりし沼に突き落とした作品であります。もう、どちらかなんて選べない!!今なら中大兄皇子と大海人皇子に挟まれた額田王の気持ちが理解できる気がする......(なんて盛大な勘違いなのでしょうか)と、心が千々に乱れる体験を初めて味わった作品でもあります。  すっかり大人となりました今、読書の秋にこの大好きな作品を読み返してみました。中学生の時と同じようにドキドキハラハラしながら一気に読み進め、ページをめく

          「燃えよ剣」司馬遼太郎〜たたみいわしの威力〜

          「ボヌール・デ・ダム百貨店」エミール・ゾラ

           19世紀パリを舞台に、新たな消費システム「デパート」の台頭と地方から出てきた主人公の必死の日々を両輪として進んでいく作品です。ゾラの作品の中で一番心を鷲掴みにされたもので、個人的なツボを書き留めたいと思います。初めて読んだ際には、読了するのが惜しくて区切りの良いところになると本を持ったまま遠くに気を飛ばし、現実逃避をしながら少しずつ読み進めていたと言う思い出があります。  まず、2人の弟とパリへ出てきてデパートの従業員になる主人公ドゥニーズが健気で、私は全身すっかり感情移

          「ボヌール・デ・ダム百貨店」エミール・ゾラ