見出し画像

公共性の思考〜くまもとアートポリスプロジェクト 立田山憩の森・お祭り広場公衆トイレ〜

辻川巧

『くまもとアートポリスプロジェクト 立田山憩の森・お祭り広場公衆トイレ』のコンペに参加して考えたことをまとめます。

多くの提案書の中から二次審査には残れませんでしたが34選に選出されました。

公園で起こる様々な行為や豊かな自然と共に生きるトイレ。
公衆トイレとしての機能だけでなく立田山の拠り所となるおおらかな「森のような建築」の提案した。
地域住民が守り抜いた立田山は様々な自然を楽しめる「森林ミュージアム」としての役割がある。本提案も「森林ミュージアム」の一部として多くの人々が利用できる場所としての公衆トイレを目指した。

下にプレゼンテーションボードのリンクを貼ってあるので見てみてください!


『くまもとアートポリスプロジェクト 立田山憩の森・お祭り広場公衆トイレ』サイト↓↓↓↓↓


公共建築である公衆トイレに求められていること

かつて公共トイレは、まちづくりや施設設計の上であまり重視されず、後回しに考えられがちな存在であった。しかし近年では、公共トイレがその場所のイメージを左右し、ときには集客などにも影響することから、優先課題の一つとして公共トイレの整備があげられるようにもなっている。また、ユニバーサルデザインや防災などの観点からも、誰もが安心して使える公共トイレの重要性が増している。
大金を投じて立派な公共トイレは設置したものの、その後の管理・利用が悪
いために、いわゆる「4K」(「汚い」「くさい」「暗い」「こわい」)を始めとする諸問題が発生してしまっているケースも相変わらず見受けられる。そうしたことへの反省から、公共トイレの設計・設置だけでなく、その後の問題にも目を向けることの必要性が高まっている。

公共トイレ設置後の諸問題には、清掃などの管理体制が影響していることはいうまでもないが、同時に管理者側からは利用者のマナーの欠如や認識不足なども問題の一因として指摘されている。例えば、公共トイレを管理している自治体や事業者は、よくあるトラブルとして落書きやいたずらなどをあげている。これらの例のように利用者の意図的な行為による問題だけでなく、利用者の非意図的な行為や無意識の行為、例えば設備の使い間違いや使用ルールの勘違いなどによって生じる問題も、少なくないと考えられる。

近年LGBTが社会的関心事になり、オールジェンダートイレ設置やピクトグラムの工夫などさまざまな試行錯誤がなされている。

画像14

こういった問題を解決しながら公園内にある公衆トイレについて考えた。


設計提案

基本姿勢_立田山らしさのある場所をつくる

名称未設定-1_アートボード 1

立田山は市街地に位置しながらも植物、昆虫、野鳥など沢山な動植物が生息する里山・公園として住民に愛されている。
どんな時も訪れる人々ををおおらかに包み込み、環境と寄り添う立田山らしさのある場をつくるべきだと考えた。

1.守り抜かれた森に込められた住民たちの思いを乗せたおおらかな建築をつ  くる
2.多くの人々が集まり、通過していく場所として広場の行為を受け止める結節点を持つ公衆トイレを目指す
3.森林ミュージアムで見られる多様な行為に寄り添う建築をつくる


調査・分析→設計コンセプト

01_森を守り育てた住民たちの想い(調査・分析)
立田山は昔から樹木の伐採を禁止する制度をとるなど、人の手で豊かな森が守られてきた。しかし、戦後の伐採や開拓により徐々に森は失われ始め、高度成長期には宅地開発により深刻な状態になった。そこで地域住民が立ち上がり「立田山を守る住民の会」を結成し、保全・保護に乗り出したことで貴重な森を取り戻し、現在のような豊かな森が形成された。

名称未設定-2_アートボード 1

01_守られた森と調和するおおらかな建築(設計コンセプト)
地域住民が守り抜いた森に敬意を持ち、継承するために森と調和し、自然と共存を図るおおらかな建築をつくる。

2_アートボード 1


02_滞留と流れをつくる森のような場(調査・分析)
計画地はお祭り広場や住民の生活動線に隣接し、複数の散策ルートが重なる結節点にあたります。散策の始発・終着点であり、お祭り広場として様々な目的をもつ人々が集まり、通過していく場所である。

3_アートボード 1

02_多様な結節点のある公衆トイレ(設計コンセプト)
自由に散策しつつ自分の居場所を見つけられる森のような空間をつくることで、広場で起こる様々な行為を受け止め、つなげていく多様な結節点のある公衆トイレを提案する。

4_アートボード 1


03_森が織りなす空間構成(調査・分析)
立田山には、特徴のある人工的な森が数多くつくられており、それをつなぐ4つの遊歩道によって山全体が「森林ミュージアム」として整備されています。場所によって異なる森の変化を連続して体験することができ、住民たちに親しまれている。
地形に沿うことで蛇行する無数の道は散策性、奥行き感、囲われ感に満ちている。

5_アートボード 1

03_多様な行為に寄り添う「森柱」(設計コンセプト)
樹木や草、地形により生まれる空間性を建築化するため、柱と方杖による「森柱」を提案します。森林ミュージアムで感じる木々の重なりや囲われ感ををつくり多様な行為に寄り添う建築を提案する。

6_アートボード 1


画像8
名称未設定-1_アートボード 1
画像10
画像11

構造及び木材活用計画

森柱と屋根を在来工法による合理的な架構により構成し、柱、梁部材は県内で生産・加工可能な製材で計画とする。梁材の部材長は6m以内とし、県産材利用を可能とする。
上枝フレームにより屋根を支え、下枝フレームにより水平力を負担する計画とします。柱で大梁を支えるのでは無く、チカラの流れを考慮しながら上枝によって大梁を支えることで自由なプランを可能にする。上枝、下枝フレームによって構成し、耐力壁を無くしおおらかさのある建物を実現する。

1_アートボード 1
画像12
画像13


公衆トイレ詳細計画
多様な行為を内包したこの場所に相応しいトイレ

多様な行為の受け止めるトイレ
一般的な公衆トイレは、場所によらず同じような型で固定化されているため、用を足す以外に起こりうる行為に対応することができないかたちとなっている。そこで、トイレ機能の「中間領域」と「プライベート」を分け、それぞれが独立しつつも場所性を取り込んだ中間領域が公園内で起こっている行為を受け止めることで、この場所に相応しいトイレをつくる。

2_アートボード 1


脱4Kのトイレ
公衆トイレは4K(臭い、暗い、汚い、怖い)と呼ばれ、敬遠されやすい場所です。脱4Kとするための建築的操作を行うことで、自然公園らしい愛されるトイレをつくる。

3_アートボード 1


個室の平面計画
公園の利用者は、運動前後の着替えを行ったり、スポーツや野鳥観察などの大きな荷物を持っていることが想定される。
各トイレブースを一般的なサイズより大きくし(ex:男子WCカツラBOXの場合2.94㎡)、着替えスペースや荷物置き場などを設けることで身動きがとりやすく快適な環境をつくる。

個室の断面計画
トイレブースの壁を天井までとしないことで、周辺の樹木が見えたり、風や光を感じられる居心地の良いトイレになる。
点在したトイレブース環境やレイアウトの仕上げはそれぞれ異なり、個性を持つことで何度も利用したいと思うトイレになる。

サイン計画
壁と床の色、仕上げ材を男子・女子・多目的トイレによって変え、視認性の高い場所にサインを施すことでより分かりやすいトイレをつくる。

4_アートボード 1



設計提案書


設計担当

辻川巧(建築ユニット TAS)
HP(TAS)
https://tas-tsujikawa.studio.site/
Instagram

https://www.instagram.com/tsujikawa_takumi/
facebook
https://www.facebook.com/takumi.tsujikawa/
linktree
https://linktr.ee/takumitsujikawa

辻川樹(建築ユニット TAS)
HP(TAS)

https://tas-tsujikawa.studio.site/
Instagram
https://www.instagram.com/tatsuki.tsujikawa/
facebook
https://www.facebook.com/tatsuki.tsujikawa.96?locale=ja_JP

狩野翔太(株式会社 彦根建築設計事務所)
facebook
https://www.facebook.com/shota.kano.3?locale=ja_JP

渡邊光太郎(株式会社類設計室)
facebook
https://www.facebook.com/koutarou.watanabe.75?locale=ja_JP

構造担当

横尾真(OUVI)
HP
http://www.ouvi.nu/?fbclid=IwAR2lrWexVuOUAVhvXcgj-BapKIAoSCvNPpFwI5O4wQuaJXjNKM5TaVt0mc0
facebook
https://www.facebook.com/shin.ouvi?locale=ja_JP










この記事が参加している募集

この街がすき

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!