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治川しう
2024年1月31日 21:12
死にたい理由を見つけるのは簡単なのに生きたい理由はなかなか見つからないだけど人は生きろと言う死んでもいいと言う人はいない死にたい理由は積もっていくのに生きたい理由は消えていくそれはまるで雲のように 水のように 粉雪のように掴みどころがなくすぐにこの手から離れていく生きたい夜と 死にたい朝その数が多いのは きっと後者だろうだけど私はもう少しだけ生きてみたいと
2023年6月19日 20:31
君は今までずっと 自分のことなんか放っておいていつも他人のことを気にしていたよね周りの人は口揃えてあの子はとても優しい子だって言うけどそれが本当の優しさなのか僕にはわからないある時 君は疲れ切った顔で僕にいったんだ 私は自分が分かんないよ 私って何なのかな僕は神様なんかじゃないから君を救ってあげられないけど僕は神様なんかじゃないから君の苦しみは少し分かるよ泣いたり
2023年3月3日 13:30
二十三の雛祭りに はじめて自分の人形を買った三月三日は女の子の日だから お祝いしないといけないし言い訳重ねて 選んで買った無表情なお雛様もどこか笑って見えた眩しい灯りと 桃の花似つかわしくないこの体誰にも認められなくたって今日だけは 女の子だから二十三の雛祭りに はじめて自分が自分になれた三月三日は女の子の日だから甘酒だって美味しくなったし指折数えて 虚しくなった愛す
2023年2月5日 16:28
やがて春が来る僕たちの希望を乗せて凍てついた夜を溶かす明日を恐れ逃げ出した変わることが怖くなってふと見上げた桜の木の先誰かに似た小さな蕾君はまだ待っているのだろうか来るはずもない春を手を伸ばせども届かない諦めた方が楽なのにだけど君は待ち続ける花が咲くその時まで ずっと蕾 眩しくて 僕の心まで溶かす光蕾 叱ってくれ 弱い心を慰める 小さな光優しい陽射しに
2022年12月8日 20:30
生まれ変わったら猫になりたいどこ行くあてもなく暖かいお日様の下をのんびり歩きたい美味しいご飯を食べて 大きく伸びをしたら時間を気にせずにウトウト微睡みたい生まれ変わったら猫になりたい高いところに登って街を見下ろしたい草陰に隠れて人間界を穿って忙しなく動く波の横を素知らぬ顔で歩きたい生まれ変わったら猫になりたい人間は長く生きすぎる 飽きてしまう前に此の世を去りたい生
2022年11月1日 11:16
夢を見ていたのだ 永く永く酷く永い 憂鬱な夢を冷めた身体に滴る汗が その余韻を残していた夢を見ていたのだ ぐるぐると目が回る 果てしない夢を還れないと悟った あの夕暮れが迫って眩んで 弾け飛んだ 糸くずを撒き散らした、牡丹の花恥じらいを隠した、君の顔アイとかユウの隙間を何と呼ぶんだセイとかシの狭間を何と呼ぶんだ
2022年10月23日 13:45
先生 この世は不平等で正しいことしていても忌み嫌われたりもするけれど先生 僕は信じるよ大切なことは一つだけ難しいけれど アレな少女になっちゃって退学になったあの子だって心の何処かではきっと助けを求めてたんじゃないか先生 息をすることはこんなにも大変だったの一人 隠し事しながら笑ってた貴方を 僕らは見殺した先生 あの世は皆平等で善も悪もなくて僕らを見守ってる
2022年9月30日 22:38
自己嫌悪に陥った僕に自己嫌悪から手紙が届いた『自己嫌悪ってどんな意味なの自己嫌悪って誰のことなの』自己嫌悪に陥った僕は自己嫌悪に手紙を書いた「自己嫌悪って言葉の通り自己嫌悪って意味なんだよ」あーあ今日も僕は理想と現実に挟まれていくつもの夢を諦めてしまったんだよ遠くに行ってしまった声がもう 聞こえないように遠くに行ってしまった過去へはもう 戻れないんだよ自己
2022年9月25日 19:29
黒猫が前を横切ると不幸が訪れるという迷信がある一方で白猫は福を招くと言われるらしいじゃあ黒と白の入り混じるこの猫ちゃんはどうなのか上から見ると黒猫で下から見ると白猫だ見方によって黒にも白にもなるのは人間のようで愛らしい黒にも白にも成れるのだから不自由ではないはずだ猫じゃらしに飛びつく手は指の先だけちょっと白い白黒つける必要あるの?と教え諭しているようだ
2022年9月18日 00:57
眠れない夜 ノートに向かって考えるこれまでのことと これからのこと古い記憶を取り出して懐かしさに 浸る 浸るそこにいる君を呼び寄せて尋ねるんだ生まれ変わったら何になりたい?光は一つで十分だ 時計を見つめて考える変わったことと 変わらないことそびえ立つビルを見上げながら懐かしさに 浸る 浸るそこにいた君を手招きして尋ねるんだ生まれ変わったら何になりたい?君
2022年9月12日 17:05
私の故郷は汚い街だ改札抜ければ 居酒屋 パチンコ 風俗店金と欲に塗れた街だ私の故郷は汚い街だ平日の朝は吐瀉物まみれ転がった空き缶に タバコの吸い殻でもそれが私の生まれ育った街だ都会に行けば綺麗な街塵ひとつ落ちてやしない造られた草木に 造られた平穏臭いものには蓋をするのか汚いものは排除するのかとても安全で とても苦しいとても平和で とても不気味だ電車のア
2022年9月5日 22:42
黒い服着て街を歩いて 影に隠れて光を覗いた眩しすぎる此の先の道は 白く染まって何も見えない石につまずき心は散った ひらりひらりと彷徨う体取り戻したく手を伸ばすけれど 嘲笑いながら飛んでったひゅるる ひゅる ひゅるりらひゅるる ひゅる ひゅるりら白いシャツ着てビルを見上げて 時計眺めて其の刻を待った流
2022年9月4日 22:06
どれが本当の私か なんて分からぬまま 大人になってこれが本当の私だなんて言い切れぬまま 今に至るずっと考えてきたことなんていつかは解決するなんて悩んできたもんバカみたいにわかったもんなんかありゃしません深夜一時 街は寝静まって夜更けと夜明けの狭間 何かに怯えて 空を睨むどれが本当の姿かなんて分からぬまま 大人になってこれが本当の姿だなんて言い切れぬまま この先も
2022年9月1日 13:47
雨上がりの木々の雫が揺れて落ちて メガネを濡らす木漏れ日はまだ夏の余韻を残して肌を刺すようにそれでいて柔らかい 白露の光誰もいない 平日の昼間草木と 風と 私だけの時間雨上がりの木々の雫が揺れて落ちて メガネを濡らす雫が視界を歪ませて 目隠しをする現世が見えないように この夢路から醒めないように