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弘生
2022年1月30日 04:01
猫の眼は瞑らない猫が木に登る夜は 月が降りてくる清潔な絹糸が 時を刻む黄金比に切りとられた 星空に刻印される音アイロンの蒸気が君のブラウスのリボンをほどく殺菌された 猫の眼に映りこむクレーターの底で 泳ぐ魚に色を塗るブリキの月のはり金とニセモノの猫の爪を ひっかけて釣ったエモノは逃さないマンドリンのアルペジオがピタゴラスを奏でるぼくはシ
2021年12月15日 19:48
曖昧なヨル曖昧なヨルに曖昧なへやに居ると曖昧が押し寄せてくる昼間の喧噪と秩序の左脳を閉じ曖昧に右脳だけが目醒めることばの意味もわからないただそこにはかたちといろがある指と筆の境界線筆とキャンバスの境界線溶けていく混ざっていく柔らかく凍ったおとが聴こえるからだ中の骨が共鳴するやがてからだが溶けていく残ったひとみだけが空と化したかた
2021年12月5日 18:27
翌朝、扉の外に見慣れない小さな箱が置いてありました。 絵描きがおそるおそる開けてみると、中には幾重にも重ねられたビニール袋の中に、ギウギウに詰まった何色かの絵の具らしきものが、まるで何かの内臓のようにありました。 絵描きは、この一見恐ろしげに見える、内臓のような絵の具らしき物を訝しみましたが、もしやこれは、夢の中の炎の女神からの贈り物ではないかと気づきました。 急いでビニール袋をメリメリと
2021年12月1日 12:53
今から少し前、あるところに、心の病でからだが動かなくなった絵描きがおりました。 絵描きは絵描きですから、絵を描くことしかできません。 絵を描けなくなった絵描きは、自分がもう、何の役にも立たないのだと悲しんで、消えることばかり考えていました。 けれども、絵描きには小さな子供がありましたので、役に立たなくても消えることはできませんでした。 子供は絵描きに言います。「しぬまで絵を描きつづける
2021年10月24日 14:53
圭果さん♡ アッシュさん♡投稿しちゃいました〜おふたりのありがた〜いコメントでいい気になり、昔のタブローをうっかり投稿しちゃいましたぞ。激しい盛り上がりを見せる、秋の俳句大会#白杯。のろまの弘生はようやく数日前に、三句の応募投句を終えました。ホッ……そんな中、#白杯の応募記事のトップ画像に使用した絵の全体像を見たいと仰る奇特な西野圭果さんとさらに背中を押して下さるアッシュさんがい
2021年4月17日 23:02
一握の産土を持ち歩くこんにちは。絵描きの弘生です。足元の石畳から、可憐ながら力強く咲く濃いすみれ色のすみれを撮りました。かわいいですねぇ。名付けるとしたら、「すみれ色の菫」ってところでしょうか。数年前、そんな愛で甲斐のあるすみれ達が、自治会の草取り行事で無残に根こそぎむしり取られ、驚いた私は、根ごと抜かれたすみれ達を持ち帰って、ベランダのプランターに植え替えたことを、ふと思い出しました。
2021年9月9日 16:32
ずっと産土を探している昨日9月8日、東京都美術館での展覧が最終日を迎え、ようやく少しホッとしているところです。その準備に加え、やりたいこと、やらねばならぬこと、やれと言われること、目白押しで、2ヶ月近くに及ぶ寝不足、不摂生。体調不良は当然といえば当然ですが、動けるということは素晴らしい!今回発表の作品は、5点でひとつの作品になり、展示空間や気分で、並べ方を変えることができます。全体像ではあ
2021年10月13日 07:45
月の無い夜月の無い夜は魂の計画をたてよう次の世界があるのなら今度こそ正直に生きてみよう土から這い出た蝉の子のように曖昧な部屋から這い出したら地上にはみ出た根っこに翻弄されている年老いた木に語りかけてみる昼間の痛いほど眩しい青空は悲しい咲き誇る花が多すぎるのは悲しい川岸から聴こえる讃美歌は悲しい三角形の気の遠くなる重なりをくぐり抜けさえすれば