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月の無い夜に絵描きが思うこと


月の無い夜


月の無い夜は

魂の計画をたてよう

次の世界があるのなら

今度こそ正直に生きてみよう



土から這い出た蝉の子のように

曖昧な部屋から這い出したら

地上にはみ出た根っこに

翻弄されている年老いた木に

語りかけてみる




昼間の痛いほど眩しい青空は悲しい

咲き誇る花が多すぎるのは悲しい

川岸から聴こえる讃美歌は悲しい


三角形の気の遠くなる重なりを

くぐり抜けさえすれば

やわらかくて冷たい羽をもつ

透きとおった蝶に

出逢えるだろうか


つねに林檎の芯を食べ続けた

知恵の残骸は

月が再び剃刀のような

姿を現す前に

塵となって宇宙に

霧散していく


幸せを受けとることに

慣れていない過去が

全て宇宙のゴミになる


本気の絶望の次に

正直に生きられる世界が

あるのなら

魂の計画を立ててみよう



「月の無い夜」


F0号サイズの小さな油画です。
無垢な白き少女……強かさも見え隠れしそうな……本当に汚れはないのでしょうか?
絵描きにもわかりません。
いや、純粋無垢です。多分。



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