shin.nakamura

必ずや好きなものしか置かないと決めた熊本の刹那い雑貨店『vertigo』店長の日記。h…

shin.nakamura

必ずや好きなものしか置かないと決めた熊本の刹那い雑貨店『vertigo』店長の日記。https://www.mu-vertigo.com/ なかなかブレイクスルーしない日々の事、聴いた音楽、観た映画、読んだ本、過ぎていく景色、今日食べた物の事、主夫としての子どもたちの事、等々。

記事一覧

口から出る言葉はただありがとうだけ

街はまだまだ起きない。どうやらまだ起きる様子さえ、どうもない。 仕事をサボって行きつけのラーメン屋に行くとそんな話になる。こんな時に話す話ではないかもしれないけ…

shin.nakamura
3年前
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毎日苦労するのあたしなんだから

最近、「Vamo.(バーモ)」というガスコンロを買った。 なぜといえば家で使っていたコンロの片方がイカれて、一つの火で料理をしていたからなのだけど、どうせ買うならと…

shin.nakamura
3年前
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さざなみ

なんかこういうときだからこそ、ひとつでもモノを売らなきゃいけないのだけど、なぜか我が心は、こんなときだからこそ、最近どこぞで買ったものだとか、観たものだとか、聴…

shin.nakamura
4年前
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カテジナ2020

shin.nakamura
4年前
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いっぽんの管

「結局自分はただただ通り過ぎていくいっぽんの管でしかないんじゃないか」。 編集やライターの仕事をしていたとき、ふと、そう思うことがあった。いくらインタビューや取…

shin.nakamura
4年前
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vertigo×Pegによる音楽ゆらゆら話vol.3 後半

「愛とはなんぞや?」。 それが自分がこの音ゆらの動画収録の時までに考えていたことだった。 4枚のチョイスのうち、最初の2枚は「愛」と聞いてふと思い浮かんだアルバム…

shin.nakamura
4年前

vertigo×Pegによる音楽ゆらゆら話vol.3 前半

今回の音楽ゆらゆら話は唐突に、映画『シェフ』とそのドキュメンタリーをネットフリックスでその当時観ていたvertigo.shin(以下、s)の話から始まります。ずうっと永遠に…

shin.nakamura
4年前
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vertigo×Pegによる音楽ゆらゆら話(仮)vol.2

お待たせしました。いや、お待たせし過ぎたかもしれません。 とかなんとか言っておきますが、ひとまずどこの誰が望んで求めたのかわからぬ、vertigo×Pegによる音楽ゆらゆ…

shin.nakamura
4年前
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とある女性とカップ。そしてジョアンの調べ。(通販のための文章1)

ある晴れた秋の木曜日のことだった。その週は展示会もなにもなくて、常設のいつも通りの営業だった。11時にオープンをして数時間、大してお客さんも来ず、気が付けば2時を…

shin.nakamura
4年前
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『m.Funatabi』撮影記

今回の撮影もなかなかにハードだった。 予定では南阿蘇のほうで季節的にもススキが綺麗だったので、そのなかで撮ろうと思っていたのだが、なんとススキの背が高すぎで難し…

shin.nakamura
4年前
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他人のいいね

気が付いたらインスタグラムのいいねの数が表示されなくなっていた。 「・・・ケっ。いまごろかよ」。僕はてっきりそう思ってしまった。 なんでも数値化統計化してマーケ…

shin.nakamura
4年前
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虚と実

「いや、ほら、こちらの店はインスタなんかの写真がとてもお上手じゃないですか」。 とあるお客様と、とある日にお話ししていたら、ふと、そういう言葉に出くわした。それ…

shin.nakamura
4年前
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たわいもないプレイリスト

昨日、一昨日と、曽我部恵一さんが熊本でライブをされて、ふとしたきっかけから選曲でお手伝いをさせていただきました。簡単にいえばライブ本番の前だとか後だとかにレコー…

shin.nakamura
4年前
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vertigo×Peg -ひたすらユルくてフワリな音楽談義(仮)‐

vertigoの中村慎とPegの冨永博美が繰り広げるひたすらユルくてフワリとした音楽談義第一回目。そんなに音楽に詳しくないふたりが、ただただ好きな音楽をただただひたすら語…

shin.nakamura
4年前
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チルとイル

ネットフリックスの『マインドハンター』をようやく観終わった。もとからこうなってしまうのはわかっていたから、ドラマはいままでなんとか避けてきたんだけども、ああ、…

shin.nakamura
4年前
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借金=loan; debt

「借金」と書けばソー・ハードなのに、「ローン」と書けばなんだかソフティに思えるのは、それこそ言葉のマジックというやつなのか。 ゼロからお店を立ち上げたひとなら…

shin.nakamura
4年前
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口から出る言葉はただありがとうだけ

口から出る言葉はただありがとうだけ

街はまだまだ起きない。どうやらまだ起きる様子さえ、どうもない。

仕事をサボって行きつけのラーメン屋に行くとそんな話になる。こんな時に話す話ではないかもしれないけれども、それは現実にあることだ。

そもそも夜にお客さんがまだまだ戻ってこないらしい。福岡ではもうだいぶん戻っているらしいとかなんとか、ほんとかどうかわからない話。福岡に移転を考えているという話。でもまぁそれはそもそもコロナの前から聞いて

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毎日苦労するのあたしなんだから

毎日苦労するのあたしなんだから

最近、「Vamo.(バーモ)」というガスコンロを買った。

なぜといえば家で使っていたコンロの片方がイカれて、一つの火で料理をしていたからなのだけど、どうせ買うならと世のクッキングパパよろしく、プロ仕様、つまり業務用なんかも検討したのだが、部品だとかなんとかめんどくさそうなので、家庭用で一番業務用に近いとかいう、まるでメーカーの思うがまんまの策略に乗ってしまったというわけで。まあとにかく掃除がしや

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さざなみ

さざなみ

なんかこういうときだからこそ、ひとつでもモノを売らなきゃいけないのだけど、なぜか我が心は、こんなときだからこそ、最近どこぞで買ったものだとか、観たものだとか、聴いたものだとか、食べたものだとかを語りたがる。いったい、なんなんだろうか。大学の頃の永遠のモラトリアム期を想い出す。でもほんとうは誰だって、いまだからこそ、歩くのを止めて、なにかを観ては聴き、読んでは語るべき、だとも思ったりするわけで。もち

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いっぽんの管

いっぽんの管

「結局自分はただただ通り過ぎていくいっぽんの管でしかないんじゃないか」。

編集やライターの仕事をしていたとき、ふと、そう思うことがあった。いくらインタビューや取材を重ねてそれを文章で昇華しても、結局それは他人の事なのだし、その人には絶対になれないし、その人の本当の気持ちは理解できない。取材に熱を入れてその対象に近づけば近づくほど、その想いは大きくなる。

結局すべては通り過ぎていくだけ。からっぽ

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vertigo×Pegによる音楽ゆらゆら話vol.3 後半

「愛とはなんぞや?」。

それが自分がこの音ゆらの動画収録の時までに考えていたことだった。
4枚のチョイスのうち、最初の2枚は「愛」と聞いてふと思い浮かんだアルバムを棚からサクッと抜いたのだけど、そこからはたと考え込んでしまって、動けなくなってしまう。

愛という価値観のようなものは、ひとのそのときそのときの年齢だとか境遇だとかタイミングによって移り変わってしまうものなんじゃなかろうか。そんなこと

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vertigo×Pegによる音楽ゆらゆら話vol.3 前半

今回の音楽ゆらゆら話は唐突に、映画『シェフ』とそのドキュメンタリーをネットフリックスでその当時観ていたvertigo.shin(以下、s)の話から始まります。ずうっと永遠に料理と仕込みというアウトプットをし続ける料理人という世界だからこそ、インプットする休日が本来もっともっと必要なのではないかと、なぜか熱く語る雑貨屋店主。すっかり同意しながら、スパルタなんて古過ぎますと静かに語るPeg.hirom

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vertigo×Pegによる音楽ゆらゆら話(仮)vol.2

お待たせしました。いや、お待たせし過ぎたかもしれません。

とかなんとか言っておきますが、ひとまずどこの誰が望んで求めたのかわからぬ、vertigo×Pegによる音楽ゆらゆら談義第二弾が早くも世に放出されるわけです。テーマはベタにへたに「冬に聴きたい5枚(曲)」。

破滅に向かっているようにも思えるこの日本&地球砂漠のなかで、なんとか希望と絶望を両方に抱えながら生き抜くには、ときめきとひらめきに任

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とある女性とカップ。そしてジョアンの調べ。(通販のための文章1)

とある女性とカップ。そしてジョアンの調べ。(通販のための文章1)

ある晴れた秋の木曜日のことだった。その週は展示会もなにもなくて、常設のいつも通りの営業だった。11時にオープンをして数時間、大してお客さんも来ず、気が付けば2時を過ぎていたと思う。

まるで焚火の薪を絶やすことのないように、いつも店内の音楽はできるだけ途切れないようにしているのだが、ふと気が付けば、音楽が鳴り止んでいた。カウンターでぼんやりと考え事でもしていたのだろう。その足音にも気が付かなかった

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『m.Funatabi』撮影記

『m.Funatabi』撮影記

今回の撮影もなかなかにハードだった。

予定では南阿蘇のほうで季節的にもススキが綺麗だったので、そのなかで撮ろうと思っていたのだが、なんとススキの背が高すぎで難しいことが当日になって分かる。カメラマンのえとうくんが昼あたりからロケハンに行ってくれていたから助かった。

モデルとなる僕と奥さんが現地に着く予定が17時あたり。撮影時間はたぶん一時間くらい。だのに当日の昼過ぎても場所も決まっていない。こ

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他人のいいね

他人のいいね

気が付いたらインスタグラムのいいねの数が表示されなくなっていた。

「・・・ケっ。いまごろかよ」。僕はてっきりそう思ってしまった。

なんでも数値化統計化してマーケットしていくのは、もはや川の流れのように避けられないことなのかもしれないけれど、でもそれでもそんなに気持ちのいいことじゃない。だいたいが、なんとなくクリスタルな雰囲気的いいねと、もう圧倒的熱量連打的同意的いいね、が同じにカウントされてし

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虚と実

虚と実

「いや、ほら、こちらの店はインスタなんかの写真がとてもお上手じゃないですか」。

とあるお客様と、とある日にお話ししていたら、ふと、そういう言葉に出くわした。それは悪い意味で発せられたわけでは決してなかった。写真がとても良いので、実物が見たくなるんですよ、といったような意味であるようだった。

でもなんだかその後で、どうもその言葉が引っかかってきた。

まあたしかに、作品を紹介する側としてはそれを

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たわいもないプレイリスト

昨日、一昨日と、曽我部恵一さんが熊本でライブをされて、ふとしたきっかけから選曲でお手伝いをさせていただきました。簡単にいえばライブ本番の前だとか後だとかにレコードやCDを流す、という役割です。普通、こういう役割を「DJ」と呼んだりしますが、僕はいつも決まってあんまりその気にはなれません。だってまぁ世にはDJをいうのを本当に仕事にしている本物がいらっしゃるわけですし、そもそも僕ごときにその呼び名で呼

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vertigo×Peg -ひたすらユルくてフワリな音楽談義(仮)‐

vertigoの中村慎とPegの冨永博美が繰り広げるひたすらユルくてフワリとした音楽談義第一回目。そんなに音楽に詳しくないふたりが、ただただ好きな音楽をただただひたすら語る、キュートでオフビートな動画です。

一回目のテーマは『最近聴いてる5枚』。

チルとイル



ネットフリックスの『マインドハンター』をようやく観終わった。もとからこうなってしまうのはわかっていたから、ドラマはいままでなんとか避けてきたんだけども、ああ、ついに堰は切られた。この国の裸の監督も観たくはあるが、たぶんまだだいぶ先になってしまう気がする。だってその前に観なきゃいけないものが世界にはあまりにも多すぎると分かったから。

そう。観ながらも、やっぱり自分は時間のことを頭の片隅のどこか

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借金=loan; debt



「借金」と書けばソー・ハードなのに、「ローン」と書けばなんだかソフティに思えるのは、それこそ言葉のマジックというやつなのか。

ゼロからお店を立ち上げたひとなら、最初に借金を背負っていないひとは皆無だろうけど、普段からそのことについてそんなに語られることはない。それはまるで語らないことがエチケットのように。

まあ会うたんびにお金の話しかしない人間には決してなりたかないが(実際にこういうひと居

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