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ひび

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日々のことについて文章を書きます。
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2018年10月の記事一覧

大阪で生まれた女

先日、姉に子供が生まれた。ん?姉が子供を産んだ。か?姉が女児を出産した。

どちらにしろ、自分には姪が出来て、自分はとうとう叔父さんになってしまった。昼下がりの病室、可愛らしい赤ん坊が転がっていて、初産を終えて微笑む姉は一際大人びているように見えた。あんたも抱いてみ、と言うので、無理、落とす気がする、と言ったが、大丈夫やから、と大切な骨董品を受け渡すような感じで姉から赤ん坊を受け取ろうとしたそのと

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噂の尻

これだけは誰にも負けない、というものが君にはあるかね?どうせ無いだろうね。インターネットに犯されたおめえらなんぞ、所詮は野菜屑みたいなもんだ。せいぜい鍋ん中で鶏ガラの臭みを取るくらいのもんだ。大根野郎に人参野郎、そこらで生き延びてそのうち死ぬる。仕事ばっかしやがって、偉そうに酒ばっか飲みやがって、卵ばっか食いやがって。やさしさと、人懐っこさ以外、何の取り柄も無い、カボチャのおもちゃのくせに。のうの

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東京の秋・5

東京の秋・5

日曜日。シャワーを浴びて少し眠った。朝になり、チェーン店の牛丼を食べて、遅れることなくバスに乗り、八時間後、無事大阪に帰ることが出来た。夜、満身創痍で帰宅して、泥まみれのぶたになった。と、ここまでが今回の東京での顛末のすべてである。やはり自分は東京で痛い目に合った。東京もなかなかええやん、と思ったらこの仕打ちである。

普段誰かと話していると、器用ですね、とか、賢いですね、とか言われることがある。

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東京の秋・4

東京の秋・4

まったく情けない。また新宿で夜を過ごさなければならない。夜の歌舞伎町を再び歩く。相変わらずのゴミ溜め。自分はマスクをしていたのだが、小声でファックとシットともうええわを繰り返していた。黒人に、Yo、メン、と言われても、肩をぶつけたギャルに、ってーな、と言われても、ファックとシットともうええわを繰り返した。何も怖れることは無かった。

カプセル宿に行く金も、サウナに行く金も惜しかった。肉体的精神的疲

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東京の秋・3

東京の秋・3

土曜日。夜まで何も無い。自分は色々と計画を練り上げた結果、早稲田へ向かった。というのも、夜には早稲田のホテルで漫才仕事がある。そのため、一旦早稲田駅のコインロッカーに荷物を預けて身軽になってから夜まで遊ぶことにしたのである。更には地下鉄の一日券を購入することで、これでどこへでも行ける。これこそが計画的な行動。天気も上々で、完璧、ペキカンである。自由を手に入れた自分は、るんるん気分になった。早稲田駅

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東京の秋・2

東京の秋・2

金曜日。ほとんど眠ることなく、朝を迎えた。風呂に入ってチェックアウト、外に出る。昨晩の異国丸出しの街は雰囲気が変わって、穏やかな下町になっていた。新大久保という、コリアンタウン的な場所のよう。ぶらついて、サ店で飯を食って、携帯をいじったり、鼻糞をほじったりして、時間を潰す。どこかへ遊びに行こうかとも思ったが、荷物が重いので、諦めて、珈琲を飲み続けた。やたらと鼻水が出る。東京の濁った空気を恨みつつ、

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東京の秋・1

東京の秋・1

木曜日。昼頃、新大阪駅から新幹線に乗る。朝から何も食べていなかったので駅弁を買おうと思い、構内の弁当屋であれこれと品定めをする。値段、内容を踏まえた上で、近畿周遊弁当か満腹弁当の2つに絞られた。おかず多めの近畿周遊弁当か、量の多い満腹弁当か。本当のことを言うと、牛タン弁当が食べたいけれど、弁当ごときに1300円も払う阿呆には成り下がりたくない。今回は三日間の滞在である。初めから金を使うような無計画

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東京単独ライヴについて

今月19日(金)に、東京で単独ライヴをやります。「ヤングの漫秋」という題です。まんしゅう、と読みます。単独ライヴ、しかも東京ですから、勿論楽しみではありますが、それ以上に不安で胸が一杯です。

東京という街は未だに好きになれません。

去年、東京でライヴをした翌日、原因不明の高熱にうなされて、吐き気と寒気で震えました。急遽新幹線で帰阪したのですが、パンツの中を覗くと金玉が異様に膨れ上がっていました

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ノードラッグノーライフ

自分は子供の頃から鼻詰まりに悩まされていて、慢性的な鼻炎アレルギーなのだが、一向に治らずひどくなるばかりで、最近では起床するなりくしゃみを連発して鼻水を垂らしながら食パンを食べる日々を送っている。

ティッシュペーパーの使用量も半端なく、そのため他の人よりもティッシュペーパーを買う頻度も多くて、このままでは貯金がティッシュペーパー代に消えて無くなってしまうこと必至で、何とかしなければならないと焦っ

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スキの問題

noteにも、フォロー・フォロワー制があるのですね。

自分はTwitterをやっておらず(経営しているライヴ喫茶のTwitterはある)、その理由のひとつが、フォロー・フォロワー問題なのです。フォローというのはつまり、支持、ということで、自分は昔から誰かを支持するというのが苦手で、支持政党も無ければ推しアイドルもおりません。基本的に自分のことで精一杯なので、誰かを支持する器量が無いのです。けれど

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苦悩と虚無の主催者

月に一度、「ナイトオブコメディー」という主催ライヴをしている。何組かの芸人が出演して、それぞれ漫才なりコントなりをしつつ、途中に阿呆な企画を2つする。もう三年近く同じ面子でやっている。

主催ライヴを毎月するのは何かと大変で、まず企画を考えなくてはならない。こないだは、「五感を奪って演芸ショー」という企画をした。人間の五感、つまり視覚聴覚嗅覚味覚触覚、それらが奪われた状態でネタをするというもの。視

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拷問と侮蔑

こないだ、深夜のスーパー銭湯に行ってぬくぬくした。そこは大手のパチンコ屋が営業している巨大なスーパー銭湯で、本当は、そういう場所にはあまり行きたくない。何となく街の銭湯に行く方が良いような気がするのは、古き良きを愛する市民のこころ。それでも安価で、タオルや石鹸も付いていて、サウナや露天風呂があって、夜中も営業しているスーパー銭湯は、合理的に造られた完璧な快適がそこにあり、俗世にまみれた自分はきちん

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漫才が産まれるサ店

鶴橋にある、喫茶「シェルブルー」が閉店していた。環状線の駅に併設された、なんてことのないサ店だったが、学生の頃から時折行く店だったので、寂しい。ここで自分は、本を読んだり、誰かと待ち合わせをしたり、相方と漫才を作ったり、した。長居をしても店員は完全に無視してくれるので、安心して居座ることが出来た。薄暗い照明の店内には木目調の机が並び、珈琲を飲んでいると、何分か置きに天井からゴォォォと電車が走る音が

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泥だらけのぶた

noteというものを始めることにしました。様々な文章を書いたり、時には写真などを載せることもあるかもしれません。どうしようもなく暇で何もやる気が起きない、屁も出尽くした、というときに、ちらりと覗いてください。

こんにちは。自分は舞台で漫才をしています。「ヤング」という名前の漫才師です。また、大阪でライヴ喫茶を経営しています。「亀」という名前の店です。お金はありません。noteを始めることによって

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