大阪で生まれた女

先日、姉に子供が生まれた。ん?姉が子供を産んだ。か?姉が女児を出産した。

どちらにしろ、自分には姪が出来て、自分はとうとう叔父さんになってしまった。昼下がりの病室、可愛らしい赤ん坊が転がっていて、初産を終えて微笑む姉は一際大人びているように見えた。あんたも抱いてみ、と言うので、無理、落とす気がする、と言ったが、大丈夫やから、と大切な骨董品を受け渡すような感じで姉から赤ん坊を受け取ろうとしたそのとき、「あんた手ベタベタやん、洗ってや」怒られたので、手を洗う。緊張する。手を清潔にして、再び赤ん坊を受け取ろうとする。「ちゃうちゃう、腕伸ばしすぎ、すっと手出して、ほら、どう?軽いやろ?ちょっとあんた!そんな持ち方したらあかんて!首締まってるやん!返して!」奪われた赤ん坊。自分は、へへ、と苦笑い。心なしか赤ん坊にも睨まれていたような気がする。

大阪で生まれた女には、汚らしい女が多いのはなぜだろう。なんとなくお下劣というか、血生臭いというか、ホルモン屋の盛り合わせ、マルチョウミノウルテセンマイレバーその他をぐちゃぐちゃにタレで絡めたような雰囲気を、全身から醸し出している。たとえば大阪で生まれた女の口癖は「はぁ!?」と「きっしょ」である。根底にある思想やソウルが「はぁ!?」と「きっしょ」で成り立っているため、やたらとうるさいし、やたらと怒りっぽい。そのくせ興奮したら性欲が暴走して、顔面騎乗で跳ねまくる。じゃがりこばかり食べて、ゲラゲラと笑う。顔面の作りはちんちくりんで、勿論、頭は悪い。大半の、大阪で生まれた女は、以上のような性質を持っている。

これはおそらく土地柄というか、大阪という風土が生み出した性質である。特に女というものは、周りの環境に影響されやすい生き物で、よく彼氏の口癖を真似ている女がいるように、環境によって人間性まで簡単に変化する。つまり雑多な食と文化が渦巻く大阪で生まれ育つと、自然と汚らしい女になるのである。たとえば奈良で生まれた女には、こんな性質は無かった。物静かで、声がロートーンで、ふふと笑うその姿は、まるで仏像のようだった。また、京都で生まれた女は、女であることのプライドを強く持っていて、清少納言のようだった。そう考えると、大阪で生まれた女がホルモン盛り合わせのような人間ばかりなことにも合点がいく。

正月になったら、女子高生になった姪に、自分はお年玉を遣る。三千円ほど包んで、叔父さんがお年玉を遣る。「しばらく見んうちに、大きなったなぁ。胸もだいぶ膨らんだんちゃうか。今何カップあるねん?昔叔父さんに抱かれたん覚えてるか?ま、抱かれた言うても、抱っこしただけやけどネ。ほほほほ。はいお年玉」なんて下世話なジョークで皆が笑って場が和む。「これでブラジャーでも買うんやで」姪は攻撃的な目つきで睨みながらお年玉をザッと奪い取り、一言「きっしょ」と呟いて、叔父さんは、へへ、と苦笑い。

何もいりません。舞台に来てください。