mariko yoneda

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今夜ノニュース

2023年12月 今夜のニュースのラインナップ 「 パレスチナとイスラエル ウクライナ 地球温暖化によると思われる、アマゾンの干ばつ 干ばつによって現れた地層から、2…

mariko yoneda
5か月前

きぃこえる?

きぃこえる? 助手席で 秋の白い日差しを 全身にうけ のぞき込むように 尋ねる 小さきあなた きぃこえる? きこえるよ ねぇ きいてる?じゃなくて きぃこえる?…

mariko yoneda
5か月前

冬のピーマン

わたし 知ってるの あなたの育ったまちでは ピーマンは 冬に温室で育てて都会へ送るものでしょう だから あなたがいるのをわかっていながら 冬のあの日に わたしは…

mariko yoneda
5か月前

北と、南と、西と、東と、

この島々の 北と、南と、西と、東の国に 暮らした 北の人びとは 働きもので 雪のいろに似た 影があり 南の人びとには 太陽でやわらかく育まれたたおやかさと 濃い…

mariko yoneda
5か月前

お腹に熱をもっている。

きょうは、とてもいい天気。 黒いサロペットを買ってみた。つなぎ、オーバーオールともいうだろう。 スティーブ・ジョブズじゃないけれど、わたしは毎朝服を選ぶのが億劫…

mariko yoneda
5か月前
2

キッチンのまわりで

キッチンの脇にある窓をあけると、その下には布製の黒い筒状のコンポストがある。 ほんとうはフタをしないといけないのだが、布製のそのフタは、スキマから虫が入ってくる…

mariko yoneda
6か月前
5

短編小説 山羊のボク

その家の前に着いた。 まだ六時だというのに、あたりはぽっくりと暮れている。 表札には、「やぎ」とある。 山羊が、住んでいるのか。 黒色のプラスチックのインターホ…

mariko yoneda
6か月前
2

黒い瞳と、小麦色の肌。

南の島から、都会に迷い込んでしまったような、女の子。 まんまるの大きな黒目が、可愛らしい。右目は一重。左目は奥二重。疲れていると、右目も二重になる。下唇は夫に似…

mariko yoneda
2年前

good luck!

最近はいくぶん減ったけれど、それでも時折、語調が強くなる(つまりイライラしている)。そんなわたしに、長女も真っ向から言葉と体で、対峙してくるようになった。 つま…

mariko yoneda
2年前
2

5才になるまえに

長女が5才になってしまう前に、この5年間を記録しておかないといけない。彼女の人生の一番の目撃者として。 わたしの母は、5才のときに実母を、中学3年生の高校受験の…

mariko yoneda
2年前
1

東北から船に乗る

わたしの中に命が宿るのは、引越しの前後だ。 臨月を控えた身重のわたしは、東北の地を去ろうとしていた。 一年暮らした東北の小さな町から仙台港まで、私のファースト・…

mariko yoneda
2年前
1

小説をかく

図書館の階段をのぼる。2階は、児童書コーナーだ。 今日は、絵本をまた作りたいなと思って、絵本を見に来た。 階段をのぼると、チラシがならぶ台がある。 わたしは、保健…

mariko yoneda
2年前
1

あたたかい布団のなかで思いだすこと

私は猫と布団の中で丸くなって、一緒に眠ったことはない。 猫を飼ったことがないからだ。 でも、猫を飼っている人もきっとあたたかい布団の中で、うっとりと夜を越してい…

mariko yoneda
2年前
1

平成たぬきぽんぽこと、わたしの原風景。

私のふるさとの原風景は、造成地。 そこは、平成たぬきポンポコにでてきそうな場所。 そこは、3つのエリアからなっていた。 旧道沿いのエリア、 10年ほど前にできあが…

mariko yoneda
2年前
1

あしたのことを はなそう

あしたのことを はなそう きょうは かなしいことが あったかもしれないけれど あめは よるも ふりつづくかもしれないけれど そのあまおとは ここちよく まくらも…

mariko yoneda
2年前

いつかの話

「もう、しむから」 長子は、「死ぬ」のことを「しむ」という 自分の意にそぐわないことがあると そういう 「メンヘラ女子みたいだ」と 夫はつぶやく 「そんな かなし…

mariko yoneda
2年前
今夜ノニュース

今夜ノニュース

2023年12月 今夜のニュースのラインナップ

「 パレスチナとイスラエル

ウクライナ

地球温暖化によると思われる、アマゾンの干ばつ
干ばつによって現れた地層から、20個の古代の人びとの顔の壁画を発見

江ノ島灯台でSDGsを意識したクリスマス・ライトアップ 」

列挙のなかに、四角や丸顔の古代の人びとのスマイルマークが入り混じる
この世の 不思議さよ 
この世の おかしさよ

きぃこえる?

きぃこえる?

きぃこえる?

助手席で 秋の白い日差しを 全身にうけ のぞき込むように 尋ねる 小さきあなた

きぃこえる?

きこえるよ

ねぇ きいてる?じゃなくて きぃこえる?なの

喉をふるわす 車のなかの 空気をふるわす このこえが

きぃこえる?

きこえるよ きこえてるよ

おぼえたての言葉で 何度もくりかえす やりとり

きぃこえる?

ほほえむ

冬のピーマン

冬のピーマン

わたし 知ってるの

あなたの育ったまちでは ピーマンは 冬に温室で育てて都会へ送るものでしょう

だから あなたがいるのをわかっていながら 冬のあの日に わたしはピーマンをもっていったの

あなたは 自分の子どもに ピーマンは冬の野菜ではないと 教えたかったことでしょう
そして 実際に そうした

でも わたしはなんだか いたずら心が募って そんなことしてしまったの
わたしは知ってるよって あな

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北と、南と、西と、東と、

北と、南と、西と、東と、

この島々の 北と、南と、西と、東の国に 暮らした

北の人びとは 働きもので 雪のいろに似た 影があり
南の人びとには 太陽でやわらかく育まれたたおやかさと 濃い影があった

西の国の人びとは おしゃべりで ともかく よく動き
東の国の人びとは 部外者に慣れきった笑みを よく浮かべた

お腹に熱をもっている。

お腹に熱をもっている。

きょうは、とてもいい天気。

黒いサロペットを買ってみた。つなぎ、オーバーオールともいうだろう。

スティーブ・ジョブズじゃないけれど、わたしは毎朝服を選ぶのが億劫だ。

じぶん一人のことならまだしも、6才と2才の小娘たちの服装にもCPUを使うから、もうお腹いっぱいという感じである。

わたし自身は、服装にこだわりがあるわけではない。

6才の長女はもう自分で服を選ぶけれど、甘えたくて着せてほしい

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キッチンのまわりで

キッチンのまわりで

キッチンの脇にある窓をあけると、その下には布製の黒い筒状のコンポストがある。

ほんとうはフタをしないといけないのだが、布製のそのフタは、スキマから虫が入ってくるので、あまり意味をなさない。

生ごみは、意外と匂わない(と当人は思っている)。

春秋冬は、なおさらだ。

コンポストの中には、クリーム色の2cm前後の幼虫が、おそらく何百匹もいる。

はじめに彼らの存在を肉眼で認めたときは、さすがにぎ

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短編小説 山羊のボク

短編小説 山羊のボク

その家の前に着いた。

まだ六時だというのに、あたりはぽっくりと暮れている。

表札には、「やぎ」とある。

山羊が、住んでいるのか。

黒色のプラスチックのインターホンの押す。

インターホン内蔵のカメラがピカリと、ぼくの顔を照らす。

ぼくも、山羊だ。

しばらく仲間には出会っていない。

たくさんの獣たちとすれ違ってきた。

ともに食卓を囲んで酒をわかちあったり、

満点の夜空を仰いでから、

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黒い瞳と、小麦色の肌。

黒い瞳と、小麦色の肌。

南の島から、都会に迷い込んでしまったような、女の子。

まんまるの大きな黒目が、可愛らしい。右目は一重。左目は奥二重。疲れていると、右目も二重になる。下唇は夫に似て、ぷっくりとしている。

4年半まえ、長女はこの世に産まれ落ちた。

背中からおしりまで、びっしりと生えた産毛。もちろん髪の毛もしっかり生えていて、耳にまでかかっていた。「校則違反だ」と笑った。胸のうえで抱くと、体液の匂いがした。生き物

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good luck!

good luck!

最近はいくぶん減ったけれど、それでも時折、語調が強くなる(つまりイライラしている)。そんなわたしに、長女も真っ向から言葉と体で、対峙してくるようになった。

つまるところ、互いの主張が平行線の時間が伸びたということ。けれど、そこには朗報ももたらされた。4才の長女から。

【仲直りの方法】
①「ぐっどらっく」という(千と千尋の釜じいのように)
②「すぱいだーまん」という(理由は不明)
③鼻と鼻がひっ

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5才になるまえに

5才になるまえに

長女が5才になってしまう前に、この5年間を記録しておかないといけない。彼女の人生の一番の目撃者として。

わたしの母は、5才のときに実母を、中学3年生の高校受験の一週間前に実父を病気で亡くした。母は実母の死後、実父の再婚相手(わたしの祖母)に、その後生まれるわたしの叔父と叔母とともに育てられた。互いの存在をとても大切にしあっている母と祖母の姿は、人間は血縁だけではないと思わせる。

わたしは、いま

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東北から船に乗る

東北から船に乗る

わたしの中に命が宿るのは、引越しの前後だ。

臨月を控えた身重のわたしは、東北の地を去ろうとしていた。
一年暮らした東北の小さな町から仙台港まで、私のファースト・カーのベージュ色のマーチで高速道路を駆け抜ける。運転手は夫だ。

仙台港でマーチがカーフェリーに積み込まれる。
彼とは、ひとまずここでお別れ。
名古屋港まで一泊二日、わたしはマーチとお腹のなかの娘と太平洋を旅する。

寝床は、確か8人部屋

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小説をかく

小説をかく

図書館の階段をのぼる。2階は、児童書コーナーだ。

今日は、絵本をまた作りたいなと思って、絵本を見に来た。
階段をのぼると、チラシがならぶ台がある。
わたしは、保健所での子どもの健診などで子育て情報のビラをもらうと一通り目を通してしまう。うちの子どもでも参加できそうな子育てイベントはないか、有益な補助情報はないかなど。
4才の長女は、そのコーナーにある紙に文字らしきものを書いて目安箱に入れるのが好

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あたたかい布団のなかで思いだすこと

あたたかい布団のなかで思いだすこと

私は猫と布団の中で丸くなって、一緒に眠ったことはない。
猫を飼ったことがないからだ。

でも、猫を飼っている人もきっとあたたかい布団の中で、うっとりと夜を越しているのかなぁと、ふと思った。

昨晩は、上の娘と布団に入り、手をつないで寝た。
こんなことは久しぶりのことだった。

ことし下の娘が生まれてからは、下の娘と隣り合って眠っていたから。

上の娘とも隣り合っているが、つまり私が二人の娘のあいだ

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平成たぬきぽんぽこと、わたしの原風景。

平成たぬきぽんぽこと、わたしの原風景。

私のふるさとの原風景は、造成地。

そこは、平成たぬきポンポコにでてきそうな場所。

そこは、3つのエリアからなっていた。

旧道沿いのエリア、
10年ほど前にできあがった坂の多いエリア、
緑が生い茂る、小さな峠。

わたしの家は、その二つ目のエリアにあった。
小さな峠を越えて、小学校へいく。

小さな峠は、私が小学校を卒業するまでにほんとうに毎日毎日切り崩された。

ダンプカーが行きかうため、仮

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あしたのことを はなそう

あしたのことを はなそう

あしたのことを はなそう

きょうは かなしいことが あったかもしれないけれど

あめは よるも ふりつづくかもしれないけれど

そのあまおとは ここちよく まくらもとに ひびくかも しれない

あしたのことを はなそう

あすには きえてなくなるかもしれない そのほこり

あしたのことを はなそう

えがおの しわが すてきな きみと

いつかの話

いつかの話

「もう、しむから」

長子は、「死ぬ」のことを「しむ」という
自分の意にそぐわないことがあると そういう

「メンヘラ女子みたいだ」と 夫はつぶやく
「そんな かなしいこと いわないで」と つづける

わたしは「あ、そう」と いってしまう

公園で でくわした
目がぎょろぎょろ おどおどした
小学生の男のこ

遊具にのぼる うちの長子に
「おちてしねば いいのに」といったそうだ

長子は ねるまえ

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