キッチンのまわりで
キッチンの脇にある窓をあけると、その下には布製の黒い筒状のコンポストがある。
ほんとうはフタをしないといけないのだが、布製のそのフタは、スキマから虫が入ってくるので、あまり意味をなさない。
生ごみは、意外と匂わない(と当人は思っている)。
春秋冬は、なおさらだ。
コンポストの中には、クリーム色の2cm前後の幼虫が、おそらく何百匹もいる。
はじめに彼らの存在を肉眼で認めたときは、さすがにぎょっとした。
3cmほどの黒っぽいアブのような成虫が飛ぶのを、ときどき確認する。
おそらくその幼虫の成虫と思われる。
アブは噛まれるとひどく腫れるイメージがあったので、満を持して、その正体をネットで探してみた。
すると、思わぬ答えが現れた。
それは、おそらくミズアブという。
そして、ミズアブは、このSDGsがもてはやされる時代に、エコな虫として、にわかにその知名度を広めている。
まず、幼虫は、家畜の餌となる。高たんぱくで栄養満点。
そして、成虫には、なんと口がない。
つまり、ハエのように感染症を媒介して、他の動物や人に触れたり、刺したりしない。
わが家の6歳の娘は、アマガエルをペットとして飼っている。
ただ、アマガエルが生き続けるには、生きている虫(コオロギなど)が必要だ。
このコンポストに住まうミズアブの幼虫と成虫は、アマガエルの恰好の餌として、(事実上の主な飼育係である)わたしから認定された。
コンポストの周りを飛ぶ成虫は、ササっと虫取りあみで捕らえる。
幼虫は、割りばしでつまみ、アマガエルの飼育ケースにイン!
こうして、わが家の循環型共生社会は成り立っている。
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