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いつかの話

「もう、しむから」

長子は、「死ぬ」のことを「しむ」という
自分の意にそぐわないことがあると そういう

「メンヘラ女子みたいだ」と 夫はつぶやく
「そんな かなしいこと いわないで」と つづける

わたしは「あ、そう」と いってしまう

公園で でくわした
目がぎょろぎょろ おどおどした
小学生の男のこ

遊具にのぼる うちの長子に
「おちてしねば いいのに」といったそうだ

長子は ねるまえに なきながら
わたしに そのことを つたえた

わたしは それをきいて
かなしい きもちに なった

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