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12月の色々(修道女たち/Homecomings/スカート/SMAのド自慢/クリープハイプのすべ展/来る)

12/1 KERA MAP # 008「修道女たち」@北九州芸術劇場・中劇場

ケラさんのことは、観れる限りの映像作品は観てるくらい好きだけど、本業の舞台は1度も観たことなく。なので今回、待望の拝見。ある廃れゆく宗教の修道女たちと、巡礼地の村人との交流を描いた作品。劇場は室内なのに、ひんやりとした空気に包まれているのかような静寂が映える重厚な作品だった。慈しみと嫌悪、信じることと裏切ること、何と結びつき何を切り離すか、という問いに満ちた悲劇。

ただ、一言に形容しがたいのがケラさんの作風で。シリアスなムードと爆笑の渦が完全に同居してしまっている。深刻さを打ち消すための笑い、という方向でもあるのだけど、それ以上にただ思いついたから発した、みたいなしょうもないくだりとか変な台詞回しが多く、これこそ持ち味だなぁと。

ケラ作品常連の犬山イヌコさんが最高だった。僕は日本一のコメディエンヌだと思っているのだけど、この人が喋り出すともう笑い待ちしてしまう。そして、今回も1箇所の台詞が自分のツボに入りすぎて、しばらく思い出し笑いが止まらなかった。舞台好きな人はどうしてるんだろうか、こんな面白いくだりから一瞬で次の気持ちに切り替えられないよ!ってなった。

12/1 Homecomings「LETTER FROM WHALE LIVING」@福岡UTERO

アルバムの感想がここに。畳野ちゃんの弾き語りは9月に観たけど、バンドで観るのは初めて。ストーリーのしっかりついた楽曲ばかりだから、映像演出とか無いはずなのに景色や色味が眼前に立ち上がってくる不思議なライブだった。曲間をかなりまったりと取って、浸る時間を用意してくれていたのもとても良かった。

ギターの福富さんが、この日しきりにスペースワールドという北九州にある昨年閉園した遊園地の話をしていた。失われていく場所、変わっていく景色みたいなものへの思いはホムカミの音楽性に常時装備されている切なさだ。生まれてからずっと九州に住む自分の思い出と京都のバンドの音楽がそのフィーリングで結びつくって何と素晴らしいことか。

曲調は決して激しくないけど、メンバー同士が視線を合わせながらガッと音を鳴らす感じはとてもバンド然としていてカッコ良かった。あと、畳野ちゃんがギターを曲の盛り上がりで掲げる姿もイカしている。歌ってる表情もなんか上品な猫みたいで、すごく高級な気分になる。そしてギターの福富さんとの並びも何かとても良い。二人の上下関係がそのまま身長差に現れてる感じがして。

12/2 スカート Major 1st Single「遠い春」リリースツアー“far spring tour 2018"@福岡INSA
ライブ中、ふと思ったのだけどスカートって絶対解散しないんだよな。キレキレのグルーヴを放つ素晴らしいバンドメンバーを揃えてるけど、固定メンバーではない。あくまで、フロントに立つ大柄なお兄さん・澤部渡のソロプロジェクトだから。つまり、彼がその気なら永遠にこの歌をこのクオリティでライブで聴き続けることができる。まぁソロシンガーならそりゃ当たり前なことなんだけど、あまりにもバンド然としていたから、あ、これバンドじゃないんだ!みたいな思いになったのです。

それにしても、ナイスなポップスしか存在していない、純度の高い夜だった。「おばけのピアノ」という曲が、自分が創ったことにしたいくらい好きなのだけど、それも聴けた。僕にとっては引くほど大名曲だから、僕がスカートなら涙腺をぶっ壊す目的で終盤に持ってくるのだけど、謎の9曲目という。突然の襲来にズドーンと涙が込み上げてきて慌ててしまった。

音源で聴く分にはメロウな曲が好みなのだけど、ライブではファンキーで腰にクるような曲がすごく映えてた。パーカッションがメンバーにいるのがデカいよなぁ、あのポコポコした音はプリミティブなものに訴えかけてくる。あと澤部さんのカッティング。とてもかっこいい。5人編成でギタリストは澤部さんのみだからな、音の真ん中をどっしり担ってるなぁ、と。

12/7 SMAのド自慢@Zepp Fukuoka
2016年5月に閉館したZepp Fukuoka。再開発完了に伴い2年7カ月ぶりの復活。クロージングイベントにも行ったので、そりゃ再開イベントにも行くでしょう。公演内容は詳しく明かされてなかったのだけど、その中身はSony Music Artists所属のミュージシャンが一堂に会し、やんややんやと忘年会を行う、というものだった。

セトリは上記(チャラン・ポ・ランタン×Reiは、Lillian Briggs「I WANT YOU TO BE MY BABY」のLEARNERSカバーver.でした)。SMAが誇るミュージシャンたちが、一夜限りの組み合わせで持ち歌をコラボする前半は、クロージングイベントに近い流れ。しかし後半は完全にやり過ぎていた。FNS歌謡祭的なものはさて置き、仮装大賞なのかかくし芸大会なのか、みたいなところまで行っていた。

しかし奥田民生が大友康平とクリスタルキングのモノマネでしか歌唱しなかったのは驚愕だった。どういうお笑い?あと、オカモトズがアレンジしたであろう、「青春アミーゴ」がとても素晴らしかった。リズムパターンがちょっと違ったのよね。

12/8 来る
「渇き。」から4年。相変わらずハイカロリーな作風、、と思いつつもやっぱクセになる。絶対に今それじゃねえよっていう乱雑なBGM使いとか、ビカビカの色彩とか。中島哲也がもしもJ-ホラーを撮ったら、、という大喜利的なニュアンスで観て頂くと大いに笑える(実際、終盤は声出して笑っちゃう場面がいくつもあった)

そして霊的なバケモノとの対峙にも公的な権力が行使される流れには感心しちゃった。時代は変わる、戦い方も変わる。ただ、ヤシオリ作戦のようにロジカルに進めるには適切な人員配置が大事なんだな、と。意外な手を使ってオバケと戦うっていうのは、白石晃士監督の作品の通ずるもので。遅めに出てくる最強霊能力者とか、物理攻撃で何とかしようとするとか、「カルト」や「コワすぎ!シリーズ」に通ずるノリ。

「渇き。」もそうだったけど、ミステリー的な側面もあるのにその辺をぶん投げてエナジーで丸め込む、みたいなところが中島監督(てか川村元気にも)あって。これもそうだったのかな、と思うと原作を読みたくなった。それにしても演者は全員とても良かった。小松菜奈と松たか子の姉妹はまるでシャーマンモノのジャンプ漫画のようなキャラ造形だったし、妻夫木の軽薄そうな感じも。あと何せ黒木華がとてもエッチだった。こういう役は3年に1度くらいで良いけど定期的に観たい。

12/15 クリープハイプのすべ展〜歌詞貸して、可視化して〜
クリープハイプ×PARCOによる、アート展。想像してたよりはるかに素晴らしいものだった。日常の隙間でのたうち回る尾崎世界観の言葉は、俗物や生活用品と結びつき造形物に成ることで、クリープハイプを聴いている感覚がそのまま物体として出現したような気持ちにさせてくれる。

幕をくぐるたびに、初めて曲を聴いた時の心の揺れがもう一度蘇ってくるようだった。物販コーナーまで展示物にしてしまうのはあまりに見事で感嘆してしまった。

年の瀬、ばたばたの更新。楽だと思ってた皮膚科がとんでもない忙しさで全然休めなかったのが原因。年間ベストもいくつかは年始送りに。まだ2018年終わってない感~。

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