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地震・津波・その他真面目なこと

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地震や津波、コロナ陽性者数の解析など、少し真面目なこと
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「なぜ自分がこんな目に」に正面から答えられるか

「なぜ自分がこんな目に」に正面から答えられるか

2024年の元旦。能登半島地震が起こった。

日本における元旦というのは、多くの意味がある。親戚が集まる日でもあり、気持ちを新たに一年の始まりを迎える日でもあり、そして受験生にとっては数ヶ月後の受験に向けて気持ちを引き締め直すタイミングでもある。

私も受験生だった頃は、それなりにピリピリしていた。と言っても、もしかしたらピリピリしていた部類には入っていなかったかもしれない。受験に落ちる心配をして

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ChatGPTは「寒い日」を理解しているのか

ChatGPTは「寒い日」を理解しているのか

1.ChatGPTに、「寒い日ってどんな感じ?」と聞いてみたChatGPT「寒い日は、空気が冷たくて、しばしば息が白く見えるような状態です。外に出ると、肌に冷たさを感じ、手袋や厚いコートが必要になることが多いです。時には霜や雪が降ることもありますし、窓ガラスに霜柄ができることもあります。外では人々が暖かい服を着て急いで歩いている姿を見かけることがよくあります。」

ふむ。なるほど。さらに聞いてみた

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能登半島地震について思うこと

能登半島地震について思うこと

地震発生後から、職業柄もあって能登のことが気に掛かり、地震や津波のことを調べている。まず最初に、私は地盤や地震動を専門分野として働くエンジニアであり、研究者ではないこと、そして幸いにも大きな地震を被災者として経験したことがないこともことわっておく。

さて、今回の地震、元旦に発生したという悲劇的な地震である。コロナ禍の出口が見え始め、久しぶりに能登に結婚相手や孫を連れて帰省した、なんていう家族も多

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地震本部の長期評価を見ると、今回の震源位置に主要活断層の想定はない。したがって地震動予測地図でも対応するような地震の計算は行われていない。熊本地震の時は辛うじてあったが、今回はそれがない。主要活断層でなくともこれくらいの地震動に襲われる可能性ありとなると、色々問題が生じるのでは…

能登の地震。K-NETのデータを解析して図化。気象庁の観測点は含まれていないためより強い揺れに見舞われた観測点がある可能性もある。

最大加速度は2000galを超え、3000galに迫る大きさ。応答スペクトルは500kineに届き、兵庫県南部地震や熊本地震にならぶ強震動である。

能登半島地震の津波シミュレーション

能登半島地震の津波シミュレーション

能登半島地震の津波シミュレーションをしてみた。

計算のやり方は下記のnoteで述べた通りである。

震源モデルとしては、国土地理院が地殻変動をもとに暫定モデルを公開していたので、それを使わせていただいた。

わたしは津波の専門ではないため、この状況であまり不確定なことは言わないことにする。津波の先生は多くいらっしゃるし、より詳細で厳密なシミュレーション結果がそのうち公開されるだろう。

ただ、津

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理系がカルトにハマる?

理系がカルトにハマる?

理系がカルトにハマることについては、オウム真理教や統一教会などについて語られる文脈の中で、よく紹介される。理系高学歴のエリートがカルトにハマることがある、と言うようなことだ。理系高学歴は、

「理系的な論理だけを元に世界や人生を考えようとする」
「科学が記述できない問題に悩み、科学を超越した世界をカルトに見てしまう」

からではないか、というようなことがよく言われる。

一度断っておくと、わたしは

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宮城県の震災遺構を見て回った話

宮城県の震災遺構を見て回った話

先日、仕事の都合で宮城県へ行く機会があり、ずっと前から見に行きたかった震災遺構を見てきた。

私は地盤・地震に関わる仕事をしている。2011年東北地方太平洋沖地震が発生した3月には大学三年生で、地震学の研究室に仮配属されていた。4月からは、地震学の研究室で研究をしながら、卒業研究のテーマを少しずつ決めていこうという、そんな時期だった。

そんな時に、未曾有の大地震が発生した。指導教官だった教授はも

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ChatGPTに「厚生労働省のページから陽性者数のデータをダウンロードして都道府県ごとにグラフを作成して、LINEでスマホに通知するPythonコード書いて」とお願い。何度かやりとりして調整してもらったら、恐ろしく実用的なものができた。

17時過ぎの、三重の地震。K-NETの即時公開データを図化した。三重の地震なのに三重が揺れていない。異常震域。

津波のシミュレーションプログラムを作ってみる:その3

津波のシミュレーションプログラムを作ってみる:その3

前回はこちら。

地形データについて,詳細を端折っていたので改めて。
地形データをテキストエディタで開くと下記のようになっていた(再掲

セルサイズ(cellsize)が0.0041666666666…となっていた。
これは緯度経度での値である。
GEBCOのデータは15秒メッシュのデータとなっていたので,それを確認する。

15秒=1/4分
1分=1/60度

であるから,15秒メッシュは1÷6

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津波のシミュレーションプログラムを作ってみる:その2

津波のシミュレーションプログラムを作ってみる:その2

前回はこちら。

すこしまた,というか結構すすんだ。

まず,海底地形データは正常にインポートできていたようだ。GMTで標高図を描いてみても問題なさそうであった。

次に,実際のシミュレーション部分,つまり津波の伝播を計算する部分の式であるが,下記のものを参考に作成し直した。

基本的には,わたしが以前プログラムを開発したサイト同じ式のようだが,こちらは陸への遡上などを考慮した少し本格的なもののよ

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津波のシミュレーションプログラムを作ってみる:その1

津波のシミュレーションプログラムを作ってみる:その1

ふと思い立って,津波のシミュレーションプログラムをつくる気になった。

実は一度,大学生だった頃に自力で作成した経験はあるのだが,プログラムも整理していないし,しばらく触っていないので,整理してもう一度あたらしくつくろうと思った。その備忘録をかねてメモをnoteにしてみる。

自分の備忘録用なのでわかりにくいとは思う。しかしもし自分でもやってみようという物好きの方がいて,やり方がわからなかったらコ

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感染拡大シミュレーションソフト

感染拡大シミュレーションソフト

新型コロナウイルスが感染拡大し始めた2020年、下記の記事を読んだ。

https://www.washingtonpost.com/graphics/2020/health/corona-simulation-japanese/

非常に簡単で単純化したシミュレーションだが、ウイルスの感染拡大とはこういうものかと、とても勉強になった。

そこで、このようなシミュレーションなら自分で作れるなと思い

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