マガジンのカバー画像

323
運営しているクリエイター

#太陽

残照 《詩》

残照 《詩》

「残照」

深く歪み堕ちていく太陽の残照

明け方の空に浮かんだ薄い三日月

苛立ちの影が繰り返す
不規則な循環

淀みを含んだ

ある種の流れを暗部が包み隠す

其処にある秘密を知っているのは
僕と君だけだった

今 記憶や想い出が
ゆっくりと老いてゆく

静かなる一幕の幻影

真白に輝く黒き羽根 《詩》

真白に輝く黒き羽根 《詩》

「真白に輝く黒き羽根」

僕は彼女の小さな唇の動きを
見逃さなかった

ほんの少し口元が動いた

気のせいじゃ無い

君は夢の中で眠り続けている

悪い夢を忘れる事が出来ないまま

白く鋭利な刃の様な三日月

霞んで消えそうな星屑

闇に包まれた漆黒の夜

時は巡り時間は流れる

今は静かに太陽が燃える時を待つ

やがて生まれた
朝が眩しい陽の光を連れ

君を照らす

黒き羽根は光を帯び真白に輝く

もっとみる
AC COBRA 《詩》

AC COBRA 《詩》

「AC COBRA」

チーズと生ハム 
ガーリックトースト

ちぎって浮かべたクリームスープ

土曜日の太陽が平らな庭を作り出す

煌めいた銀色のボディー 
AC COBRA

爆音の中 
タイヤが擦れて立ち込める匂い

キスをするには最高の午後

澄み切った空に彼女の柔らかな声

花は夜に咲くらしい

キスはおあずけ やるせない仕草

空を剥がして月を浮かべ 
小さな星を散りばめる

静かに無

もっとみる
夏の太陽 《詩》

夏の太陽 《詩》

「夏の太陽」

気まぐれな風

実体の無い言葉を撒き散らした

誠実で間違えなど無い 
時計の針の音が全てを支配してゆく

僕の知らない太陽が
僕の知らない空に輝いていた

それも見慣れてしまえば 
何も感じない

適当なものなど何ひとつ無く

それと同様に
明確なものなど何ひとつ無い

僕はいったい何処に居るんだろう

君と居た場所からは 
そう遠くないはず

確か昨日まで此処にあった気がした

もっとみる
欠けた太陽 《詩》

欠けた太陽 《詩》

「欠けた太陽」

地面に音も無く降り積もる光

ただぼんやりと眺めていた

やがて不透明なヴェールが
空の青を侵食して行き

大気が幾つもの
起伏となり軌道を超えた

彼方の空に
白い線が入ってゆくのが見えたんだ

僕は頭を撃ち抜かれ

欠けた太陽の陽だまりの中に
独りうずくまる

遥か先にあるであろう

重なり合う緑の森を夢見ていた

波音 《詩》

波音 《詩》

「波音」

君の見つめる瞳の先に
僕の姿はありますか

心の奥に隠した深く暗い海

僕の想いを言葉にすれば
何もかもが壊れそうで

何も変わらないよ  
出逢った日から

聞かせてよ君の声  
勇気を出して一歩 踏み出すから

言葉に出来ないから涙が溢れて

夜空の産んだ星達が
宝石のように見えた

失くしちまった太陽と
探し続けた月 

そして波音だけを残して

Photo : Seiji Ar

もっとみる
知らない道 《詩》

知らない道 《詩》

「知らない道」

小さな点と点 
指先でなどり線を引いた

微かな繋がり 君の引力

心が壊れそうな時だって
沢山あるから

決して強くは無いから 

だから 遊ぼうよ いつまでも
夜が来ても 

ずっと一緒に居ようよ

太陽と月が毎日 其処にあるように

知らない道でも怖くない 

さぁ 手を繋ごう

Photo : Seiji Arita

向日葵 《詩》

向日葵 《詩》

「向日葵」

太陽を追う様に手を伸ばした

木漏れ日の隙間 
眩しい光 風の音

ワンピースが揺れた

気のない素振り 見透かされてる

夏の始まりの匂い  

給水塔の影 向日葵の花

並んで歩いた川沿いの道

手を繋ごう離れない様に

伝えきれない想い胸にしまった 

確かに僕は君に恋してる

Photo : Seiji Arita

添花 《詩》

添花 《詩》

「添花」

星の向こうに微かに見えた

小さな星

僕は静かに君の名前を囁いた

太陽に届く道なんて知らない

煖炉のある家 
木の実を拾った森

草の匂いと風の音

神様が見てた

二度と会えないと思うと涙が溢れた

流れる水に小さな花が揺れていた

微かに見えた星に花を添え

星に届く道を探した 
君の星へと続く道を

Photo : Seiji Arita

花のドレス 《詩》

花のドレス 《詩》

「花のドレス」

君もおいでよ 
さらって行くから

悲しみも寂しさも苦しみも
風に変えてみせるから

孤独の夜空に浮かんだ星
深い瞬きで胸に沈めた

誰も知らない独りきりの夜

何が見えるの 何処へ行くの

一途な想い 胸の中

知ってるよ 何もかも 

君が背負う十字架

太陽を纏った輝きと花のドレス
誰よりも優しい君に贈るから

迷わないで

君もおいでよ さらって行くから

Photo :

もっとみる
泳ぎ方を知らない 《詩》

泳ぎ方を知らない 《詩》

「泳ぎ方を知らない」

ベッド脇の照明に手を伸ばす

太陽も神様もまだ眠ってる

眠たいよ 
疲れの取れない身体

無理矢理ベッドから抜け出す
珈琲と煙草で目をこじ開ける

いつもと同じ朝

壁際の小さな水槽

一匹の金魚は浮いたり沈んだり 
狭い水槽行ったり来たり
ぎこちなく動いてる

此奴も一緒さ 泳ぎ方を知らない

Photo : Free Pic

太陽と月 《詩》

太陽と月 《詩》

「太陽と月」

太陽と月 照らし合う夢

鉄条網に絡みつく栄光と挫折

虚栄の壁に描かれた
囚人の壁画

幾千もの夢は
霧に溶け夜を渡り
記憶の中
永遠に巡る

明日を
追い続けながら

Photo : Toru Koike

モノクロの太陽 《詩》

モノクロの太陽 《詩》

「モノクロの太陽」

喧騒の街並み 雑踏
行き交う人の波 群衆

少女は心の迷路を彷徨う
全てが幻だなんて
まるで嘘のよう 
幻想に独り抱かれたまま

私の前を風のように
すり抜けて行った 刹那

見上げれば届きそうな太陽

希望を込めた
それが光りだと信じて

手を伸ばす空
モノクロの太陽

Photo : Noriko Koike