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彼、もしくは彼女について

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うつくしく、たくましいひとびと
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#眠れない夜に

ミルキーな魔法

ミルキーな魔法

夕方は好き。魔法のような時間だから。夜はあんまり得意じゃないけど、夕ぐれはすこし先回りして、夜がくることをそっと私に教えてくれる。いつもそう。

このまえも夕ぐれがうつくしかったから写真を撮って、その写真を見ながらなにかnoteを書きたいと思って、タイトルを考えていたら、ミルキーという言葉を思いついた。

それで思い出したことを書いてみる。

小学生のころ、たぶん4年生のときだったけど、授業で川へ

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恋人の妹の話

恋人の妹の話

好きなひととのお付き合いが長くなると、相手の家族と会う機会も自然に増えていく。

彼を守り育ててくれたご両親にお会いするというのはやっぱり一大イベントだけど、好きなひとに兄弟姉妹がいると、よりおもしろい。

好きなひととともに育ってきた、親とはまたすこし異なる存在。

もし兄弟姉妹がいるならば、よくもわるくも、互いに影響を与え合っていないわけがないから、私は知っているひとのきょうだいを見かけるとい

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黒板消しのあいつ

黒板消しのあいつ

私にはふたり妹がいる。ひとりは春から大学2年生に、もうひとりは中学1年生になった。

11歳年が離れている下の妹が晴れて中学生になったので、自分が中学生だったころのことを思い返すことが増えた。

中学生だったころ。感覚的にはついこの前のことなんだけど、時間でいえばもう10年も前のことらしく、そのことに驚いてしまう。この調子だと、気づいたときにはもうおばあちゃんになっているんだろうな。

下の妹は人

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本とコーヒーのにおい

本とコーヒーのにおい

大学生活がようやく身体になじんできて、ここ最近、学校へ通うのが楽しみで仕方がない。

特に研究室へと足を運ぶことは、私をうきうきした気持ちにさせる。

去年まではコロナ禍で研究室活動がさほど活発ではなかったし、卒論の作業をしている上級生に遠慮して、うまく研究室をつかえなかったからかもしれない。

春になってからというもの、私は実にのびのびと研究室を使っている。いつ行っても必ず知っている顔がいるとい

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黒いラブラドール・レトリバー

黒いラブラドール・レトリバー

一昨日の朝6時過ぎ、バイトへ出かけていくとき、犬と散歩している男のひとを見かけた。

犬は普段からよく見かけるけれども、その日見た犬は黒いラブラドール・レトリバーだったから、犬と男のひとの横を通り過ぎるときに思わずじいっと見入ってしまった。

すると真っ黒な犬も、てくてく歩きながらじいっと私を見てきた。私たちは初対面なのに互いをじろじろ眺める、不思議な人間と犬だったと思う。けれどあの子が私の方を見

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