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習作句歌集『オナニヒル』(1)
首を吊るつもりの桜はもう葉桜
人の世は涙の谷と嘆ずる男 スーパードライはもう五本目
生きるのは体に悪いとくだを巻く無職の友の色褪せたジーンズ
誰を見てもまぶしい春の夕暮れ 何を見てもさびしい春の夕暮れ
憂愁の一語が似合う学生が読んでいた本が気になる古書市
気が付けば死ぬことばかり考える きょうも独りの五体満足
その手から渡された小銭は取っておき はからずも貯金 レジの恋
ギブギブとプ
余はいかにしてしこしこ教徒となりしか、
春だからしこしこばかりしている。暖かくなるとしこしこがしやすくなる。全裸で仰向けにならないと気分よくしこしこできない私にとって冬は不都合極まるんだ。何よりしこしこは金がかからなくていい。金をかけないと得られない快楽なんてのはだいたいろくなものではない。商品というのはいつだって罠だから。たいていの商品の裏には少しも必要もないものを買わせるための詐術がある。いい年してそんな認識も得ていない大人は腐った
もっとみるこの残酷退屈宇宙を浮遊しているロゴス的肉片π
この「世界」はあまりにも何も起こらない。その「空しさ」を嘆いてはいけない。笑われるだけだから。青臭いと。それはまだ君がこの「世界」をじゅうぶんに生きていないからだ、なんて説諭されるのが落ちだから。こんな「空しさ」が続くくらいなら世界核戦争でも始まればいい、などと自棄的なことを言ってはいけない。まさに空しさそのものである彼彼女らの小言を頂戴するだけだから。その「空しさ」を他人と共有しようとしてもいけ
もっとみる痰壺迷想録(6/938)
◉生物に特有の愚鈍さ。繁殖はそんな愚鈍さの最悪の表現といえる。
◉「国家だけじゃなくて個人も核兵器を保有すれば抑止力が働いてイジメもパワハラもなくなるよ」「いや個人なら銃でいいでしょ」
(きのう耳にした高校生同士の雑談)
◉「世界の残酷さ」はつねに暴力的なほどに過小評価され、「世界の美しさ」はつねに暴力的なほどに過大評価されている。
◉「産んでくれなんて頼んでない」なんて紋切り型を叫べる知的
痰壺迷想録(5/938)
何を呪っていいのか分からないくらいに何もかもを呪っている。
自己パロディのパロディを中途半端に演じることしか出来ない、という「自覚」はつねにある。
「弱い者いじめ」が快楽でなかったことなどかつてなかった。「弱い者いじめ」の歴史に比べれば「強い者いじめ」の歴史はまだ浅い。
「書くものは暴力的なのに会ってみると優しくていい人」を素直に演じるためには相当の愚鈍さが必要だろう。
どんな自称エゴイス
痰壺迷想録(4/938)
◉自分の快・不快に鈍感になることを「この世界」では成長と呼ぶ。
◉東京大学に四人の子供を「合格させた」という母親が教育論についてべらべら喋っていた。とてつもない不快感。こんな奴の話を聞かされるくらいならまだレイプ魔の自分語りを聞かされるほうがマシだ、と思った。
◉一頁の大部分がインクもドットもない「白紙」であることに気が付いてる読者は少ない。読者は「白紙」をも読んでいる。
◉生まれたばかりの
痰壺迷想録(3/938)
◉「人々は」と口にするたび、私は、そのなかに自分を含めてはいないことに気が付く。「他の人々」もまた同様なのかもしれない。とすれば「人々」というのは一体どこにいるのか。「みんな」とか「世間」といったものはどこにあるのか。これは単純平凡ながら重大な問いである。
◉こんにちにおいて「多忙であること(多忙だと思われること)」は、凡庸人が自己愛を充足させる上で、ほぼ欠かせないことになっている。誰もが「無為
オナニート対話篇α-1
A:こんにちはソクラテスじゃなくて、A君、
B:あけましておめでとう、
A:なにがおめでたいんだ? この残酷無類の世界におめでたいことなどあるのか?
B:いや、たまには凡人どもの真似をしたかったんだ、
A:(テレビを見ながら)あいかわらず学生どもが走っているね、
B:ああ大いに走ってる、きっとみんな恋人がいて、友達もたくさんいて、将来ちゃんとした仕事に就くんだろう、俺たちとは対極的な人生を歩むんだ
痰壺迷想録(1/938)
◉【地獄的】
かつて「親ガチャ」という頭の悪そうな言葉が流行していたとき、「なに言ってんだ、すべての親ガチャは例外なく外れじゃないか」と年甲斐もなく憤ったもの。でもこれでは「事の本質」を言い当てたことにはならないね。(出口のない「独我的議論」はさておき)そもそもあらゆる「有感生物sentient being」はそこにあるというだけで「限りなく不幸」なんだ。このことを「正しく」理解していない者が多す
リアルに絶望すること(オナニート対話篇3)
オ:オナニート
ハ:オナニートの友人
オ:俺がまだ無能であることのうえに「胡坐をかく」術を知らなかったころ、「まともな市民になれ」圧力を全身で感じ続けていたころ、単独者として生きていなかったころ、「魂の恥垢」で爆弾を作る方法を知らなかったころ、人間の存在を無条件に「善」だと信じていたころ、「命の尊さ」なんて聞いてもほとんど違和感を持たなかったころ、いまよりもずっと邪悪で不潔だった。
ハ:最近この