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習作句歌集『オナニヒル』(1)

首を吊るつもりの桜はもう葉桜

人の世は涙の谷と嘆ずる男 スーパードライはもう五本目

生きるのは体に悪いとくだを巻く無職の友の色褪せたジーンズ

誰を見てもまぶしい春の夕暮れ 何を見てもさびしい春の夕暮れ

憂愁の一語が似合う学生が読んでいた本が気になる古書市

気が付けば死ぬことばかり考える きょうも独りの五体満足

その手から渡された小銭は取っておき はからずも貯金 レジの恋

ギブギブとプロレス技をかけられるいじめられっ子の悲しき笑い

マグカップの茶渋こそげ落とす 何もかも消えてしまえと

チューハイの半額シールを包茎のちんこに貼って二十五歳童貞

レトルトのカレーにマヨネーズかけて食う こんなどうしようもない日は

出来ることは何でも自分でやるべきと気炎をあげるオナニストの友

死ぬまで毎日二十四時間働いても
大谷翔平の年収の半分も稼げない男が
オナニーしている

抗鬱薬を酒で流し込んで ドアノブにロープ  
あいつからメール 今度飲まないか 
とりあえず今日は未遂記念日

(文語と切れ字の使いかたをもうすこし勉強しないと話にならない)

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