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京都にある茶室

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守るべき文化財の宝庫、京都に現存する茶室を集めました!
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2020年2月の記事一覧

仁和寺の茶室(飛濤亭)



「飛濤亭(ひとうてい)」

世界遺産・京都仁和寺(にんなじ)に現存。

第119代光格天皇遺愛の席と伝えられる四畳半の茶席。
随所に貴族的な発想が見られます。

入口は腰障子二本建ての貴人口、それと直角の壁面にも二枚障子の口をあけて、席中を明るく開放的に構成。

内部は四畳半、床の間は框を省いた踏込床で、落掛も使わず袖壁を塗り回した洞床という侘びた構えです。

完全な円形ではない円窓(まるまど

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遠州の茶室(忘筌)



「大徳寺孤篷庵 忘筌(ぼうせん)」

桃山時代から江戸前期の茶人・小堀遠州のつくった茶室。

戦国時代以降、ようやく安定してきた武家社会において作事奉行・茶匠として活躍し、利休の死後に武家の茶風を確立した古田織部(へうげもの)の一番弟子でもあります。

遠州は武家茶をさらに推し進め、書院に中柱と点前座を付ける手法で、書院の茶室を完成させました。この忘筅は晩年の作。

全体十二畳に一間床。点前座

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表千家の茶室(残月亭)



「残月亭(ざんげつてい)」

利休聚楽屋敷にあったという「色付九間書院」が、現在では「残月亭」として伝わっています。

元々、屋敷にあったものを息子の少庵が写し、火事(1788年)や何度かの建て替えを経て、現在は京都の表千家にあります。

利休の色付書院は、二畳の上段に付書院のある四畳の中段があり、その天井に突上窓が切られていました。

この書院を訪れた秀吉公が、上段角の柱にもたれ、突上窓から

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