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空想日記

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あなたの知る私ではない『誰か』から届くメッセージ。日記のようで、どうやら公開して欲しいみたいだったのでここで。ちっぽけな世界のちっぽけな私のここから、私の元に届く誰かからの日記。… もっと読む
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#空想日記

#1. Hello World?

#1. Hello World?

ハロー、ハロー、聞こえますか?
ああ、ええと。
こういう時なんて言えばいいんだっけ?
Hello World?
……。
ううん、まあいいや。かっこいいことバシッと言える訳でもないし。
とりあえず、今日からここにその日会ったことを記録していこうと思う。

日記、というと違うけど、日報ともまた違う。
おぼえがきとでも言っておこうか。
こういうのはまあ、自分で分かってればよいのだ!ははは!

ええと、だ

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#2.甘い星屑

#2.甘い星屑

布団に入ってから、今日のことをまだ記録していないことに気づく。
三日坊主どころか一日坊主になるところだった。
実を言うと、こういったマメなことは性分ではないのだ。
でも、続けることに意味があると思うのだ。
思いたいだけ?かも。

そう、それで、今日のこと。

昨日、ここら辺は流星群が降った。
パルメリウス流星群だ。
パルメリウス流星群は、他の流星群と違って、甘い味がするから好きだけど、その分掃除が

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透きとおるようなあさ

透きとおるようなあさ

久しぶりに懐かしい顔と会ったから、心地よいアルコールの巡りに唆されたせいか、昨日は少しも眠ることが出来なかった。
濃紺のビロードが波打つそこに、めいっぱい宝石をぶちまけたみたいな夜空。

のみ込まれそうな、くろ。

それがだんだんと白けて遠くに行くような夜明け、くろとあおの狭間が過ぎれば、

透きとおるような、あさ。

夜が開ける直前の、空気がすきだ。
なんの音もしない、だれの気配もない。
そんな

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#3.天国ってきっと、こんな場所だ。

#3.天国ってきっと、こんな場所だ。

日記を始めてから、外への意識がだいぶ増えたように思う。
なんとなく歩いていたいつもの道端に、知らない花が咲いていることとか、ふと見上げた時の空の豊かな表情だとか、お隣さんの夕飯の献立とか、今まで気づかなかったこと、見てもすぐに忘れていたことを、
面白い!ようく覚えておこう!
そんな風に思えるようになった。
変わり映えのしない退屈な日常に、こんなにも小さな感動や出会い、発見が隠れていたなんて、嬉しい

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#4.しゅわしゅわとはじける。

#4.しゅわしゅわとはじける。

秋になった。
朝起きて窓をあけたら、金木犀の香りがした。

はなやかで、フルーティーな香り。
眩暈がするほどいい匂いだ。

月が変わった瞬間に匂いだすなんで、なんて律儀な花なのだろうか。

爽籟につられて踊る金木犀

字余り。なんつって、へへ。

金木犀が香り出したということは秋ということで、中秋の名月もそろそろである。
毎年この時期は、金木犀のゼリーをつくる。

きらきら、ぷるぷるの特別ゼリーだ

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#5.運命と目が合った

#5.運命と目が合った

昨日、いつもより早く眠れたお陰で、今日は早く起きることができた。
こんな日はインスタントカメラ片手に公園まで散歩に限る。

僅かに夏の気配が残る、秋の爽やかな朝日に照らされながら、いつもよりゆっくりと足を進める。

上を見たり、下をみたり、きょろきょろと。
辺りを見渡しながら、いつも見ている風景の、知らない表情がないかをよく探す。

ガードレールの脇に咲く野花、錆びれた標識、綿菓子のような雲。

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#6.足が勝手に海に向かう。

#6.足が勝手に海に向かう。

現実逃避したい時は海に向かう。
なんとはなしに足が勝手に海に向かう。

海を見ているとなんだか吸い込まれそうな気持ちになる。
港町うまれ港町育ちだから、なんとなく海とは親しい気持ちではあるのだけれど、浜辺と港では大分雰囲気が違う。

何か考え事がしたい時、逆に何も考えたくない時、小さな頃からそんな時はとりあえず海へ行った。
自分のちっぽけな悩みなんかよりも、ずっとずっと深い色をした海が怖くて素敵で

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#7.なんて贅沢な空間だろうか

#7.なんて贅沢な空間だろうか

あさからなんとなくやる気が出ない。
頑張りたいのに頑張れないのは、
きっと空を厚く覆う薄灰色の雲のせいだ。

外の空気は湿った匂いで今にも雨が降り出してきそうなのに、いつまで経っても空が泣くことはない。
どっちつかずなもやもやとする天気だ。

雨は良い。
耳に響く雨音が心地いい。
雫のカーテンが外の音を遮断して、世界からノイズが消えたような気になる。
音が少ないとよく集中出来るから助かるのだ。

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#8.ロロは気まぐれ屋さん

#8.ロロは気まぐれ屋さん

あさ、ロロを預かりにお隣へ向かう。
そのまま家に戻る前に散歩に連れて行くためだ。
ロロは散歩が大好きで、ふたつのしっぽをぶんぶんと振り回しながら歩いていく。
少し先を急ぎながら、時々こちらをチラチラと振り向く姿が本当に可愛くて、つい甘やかしたくなる。

電柱が気になって右にふらり、道端の雑草をかじろうと左にふらり、道路に飛び出したり危険がない限りは自由にさせてしまう。

道草をくいながら向かう先は

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#9.本日の天気 はれ時々、花

#9.本日の天気 はれ時々、花

旅に出る時、準備はどれくらいする?

旅先で何があっても困らないように、あれもこれもきちんと小分けにして持って行く?

それとも、着の身着のまま、最低限の荷物だけ持ってふらりと遠くまで行く?

答えは、どちらも魅力的で選べない。
である。

前者は、目的地や道中に思いを馳せ、荷物を詰める度に夢を詰めて、わくわくと胸を弾ませながら、その日を楽しみに過ごすことができる。

後者は、思い立った時にふら、

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天使の気まぐれで花が降る。

天使の気まぐれで花が降る。

降った花はどこに消えるのだろう。

小さい時、それが不思議で不思議で仕方なかった。
だから花が降った後はいつも、窓にかじりついて庭を観察していた。
大抵、途中で耐え切れずに眠ってしまい、目が覚めた時にはもう花は無くなった後という事がほとんどだった。
それが悔しくてたまらなくて、泣きわめいていたのだけれど。

降った花が朽ちることなく塵になって消えると知ったのは、それから少し大きくなってからのことだ

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#10.頑張れない日

#10.頑張れない日

なんのやる気も出てこない日ってあると思う。

あさ起きて、布団から出られない。
何か嫌な予定がある訳でも、嫌な天気でもない。
ただ、なんとなく、頑張れない日がある。

そんなとき自分は、徹底的にサボることにしている。

肩の力を極力抜ききって、ハードルを下げれるだけ下げる。
頑張れない日に無理してもしんどくなってしまうだけだから。
.
.
.
あさ、まさに目が覚めた瞬間に気づいた。
あ、今日頑張れ

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#11.タイム物置

#11.タイム物置

ウェバロキア山脈の地底から、古代生物の化石が発見されたらしい。
未知の巨大生物らしく、その謎の解明に世界中から注目が集まっているそうだ。

地の底に眠る古代生物。
なんてロマンティックな響きだろうか。

実は遥か昔に封印された邪竜で、掘り起こすことでその封印が解け、世界が滅亡の危機に陥る!
なんてシナリオだったらば面白いのに。

まあ、そんなことある訳がないので、今日は我が家の地下を掘り起こして見

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#12.永遠に彼の中で眠り続ける

#12.永遠に彼の中で眠り続ける

地下から発掘された巨大化石の正体は、未だ解明されていない。

とにかく巨大で、哺乳類と鳥類、さらには魚類の特徴まで備えているらしい。

なんでも、未知の生物らしく、古代に絶滅した新種の生き物らしい。

(絶滅した新種の生き物ってどう意味だろうか。)

本当に竜だったらどうしよう。

名前を公募で決めるらしく、世界中から集めているらしい。

こう言うのって普通、発見者が決めるものじゃなかったっけか?

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