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#7.なんて贅沢な空間だろうか

あさからなんとなくやる気が出ない。
頑張りたいのに頑張れないのは、
きっと空を厚く覆う薄灰色の雲のせいだ。

外の空気は湿った匂いで今にも雨が降り出してきそうなのに、いつまで経っても空が泣くことはない。
どっちつかずなもやもやとする天気だ。

雨は良い。
耳に響く雨音が心地いい。
雫のカーテンが外の音を遮断して、世界からノイズが消えたような気になる。
音が少ないとよく集中出来るから助かるのだ。

晴れならもっと良い。
さっぱりとした空気は身体を起こしてくれるし、暖かい陽射しにあたって、ひなたぼっこが出来る。朝日も夕陽も綺麗だから、散歩がてらに美しい写真を撮ることもできる。

曇りだって別に、嫌いな訳でも無いのだけれど、なんとなく、ダメな日はとことんダメになってしまう気がして。
そんな日はより一層、はっきりとしない空模様に項垂れてしまう。

そういう時は思い切って地下室に閉じこもることにしている。

ここに来てしまえば、天気のことなんてすぐに忘れられるからである。

おさまりのいい、ゆったりとしたソファに沈んで、お気に入りの音楽を流し、濃いめに淹れたコーヒーの香りを楽しみながら、本を読む。

なんて贅沢な空間だろうか?

時々ちゃんと仕事もする。

本を読んで、コーヒーを飲んで、仕事を進めて、コーヒーを飲む。
時々レコードを変えたり、コーヒーのお代わりを作ったり。
どんより気分は、いつの間にか遠くへ行っていた。

こわばる体をほぐすように伸びをして、ふと時計を見たら、まあビックリ。
気づけばもう夜になっていた。

1階に上がり窓を開けると、空はすっかり晴れていた。
雨の匂いがするから、やっぱり少し降ったようだけれど気づく前に止んだようだ。

空に浮かぶ月も、今日はひとつだけ。
雲に遮られて少しだけ滲んでいる。


頑張れない日に頑張れたので、今晩は出前でも頼もうか。

それで、出前の到着を待っている間に、少し早いけど日記もつけてしまおう。

そういや今日は外出していないな。
まあいいか、そんな日もあるよね。

バイクのエンジン音が、家の前で止まる。
いひひ、今日は特別にお肉を頼んだのだ。
ダメな日を普通よりちょっと素敵な日にする為の贅沢な過し方。


うん、今日はここまで。
明日の天気予報は晴れらしい。
今から何をするか、楽しみである。

あ、やっぱりお肉が届いたみたい!
ちょっと早いけど、またね。

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