見出し画像

透きとおるようなあさ

久しぶりに懐かしい顔と会ったから、心地よいアルコールの巡りに唆されたせいか、昨日は少しも眠ることが出来なかった。
濃紺のビロードが波打つそこに、めいっぱい宝石をぶちまけたみたいな夜空。

のみ込まれそうな、くろ。

それがだんだんと白けて遠くに行くような夜明け、くろとあおの狭間が過ぎれば、

透きとおるような、あさ。

夜が開ける直前の、空気がすきだ。
なんの音もしない、だれの気配もない。
そんな空気。
静かに、ただ時計の音だけが耳を支配する。

世界にたった、ひとりのようだ。
それがなんとなく不安で、とてつもなく心地よい。

もう少しだけ待っていて欲しい。
鳥のさえずりと郵便配達のバイクの音が、その静寂を破る時まで、

少なくとも今、この瞬間。


この世界をひとりじめできるから。

いつも応援ありがとうございます! 頂いたお代は、公演のための制作費や、活動費、そして私が生きていくための生活費となります!! ぜひ、サポートよろしくお願い致します!