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#4.しゅわしゅわとはじける。

秋になった。
朝起きて窓をあけたら、金木犀の香りがした。

はなやかで、フルーティーな香り。
眩暈がするほどいい匂いだ。

月が変わった瞬間に匂いだすなんで、なんて律儀な花なのだろうか。

爽籟につられて踊る金木犀

字余り。なんつって、へへ。


金木犀が香り出したということは秋ということで、中秋の名月もそろそろである。
毎年この時期は、金木犀のゼリーをつくる。

きらきら、ぷるぷるの特別ゼリーだ。

まず、庭から金木犀の花びらをちょうだいする。
丁寧に水で洗ってから水を切り、
鍋に白ワインと一緒にいれて
アルコールが飛ぶまで火にかける。

砂糖と水を加え、砂糖がとけたら火を止め、
しばらく冷まして金木犀の色が出るのを待つ。

溶かしたゼラチンにレモンと少しの片栗粉を混ぜたものを、
さっき作った金木犀のシロップに加えて冷やし固める。

これで金木犀のゼリーの完成だ。

ゼラチンに片栗粉をいれるととろみがでてぷるとろんな感じの食感になるのだ!

色よし、味よし、見た目よし!
最高にキラキラワクワクするこの金木犀ゼリーを透明のカクテルグラスによそう。
上から残しておいた花びらとキラキラ流星群の星屑を散らして完成だ。

(キラキラ流星群は、降ったあとにきんぴかのキラキラを落としていく。食べられるけど味はしないからみんなバケツを外に出して星屑を集めておくんだ。保存が効くんだ。)

屋根裏部屋にあがって、天窓をあける。
そこからちょうど、まんまる太ったお月様たちが顔を出す。

大きい方の月はクリーム色。

小さい方の月はオレンジ色。

カクテルグラスを夜空にかざすと、グラスの中に秋の夜空落っこちたように見える。

小さなスプーンでちみちみと、味わってたべる。
口いっぱいに金木犀の香りが広がって、
ぷるもちとろんなゼリーの食感にいやされる。

月たちと見比べながら、
ゼリーに見とれながら、
ゆっくりと堪能する。

3分の1程まで減ってしまったら、
おとなはスパークリングワインを、
おこさまはサイダーを追加投入。

しゅわしゅわとはじける金木犀の香りが鼻腔をくすぐる。

なんてぜいたく!


風が連れてきた金木犀は秋の訪れを教えてくれた。
美しく咲いた花びらは彩りをくれた。
時間をかけて堪能しなくちゃもったいない!

秋の夜が長くてよかった。




金木犀のゼリーのレシピはこちらを参考にしました。 )

爽籟(そうらい)さわやかな秋風のひびきをいう語

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