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#3.天国ってきっと、こんな場所だ。

日記を始めてから、外への意識がだいぶ増えたように思う。
なんとなく歩いていたいつもの道端に、知らない花が咲いていることとか、ふと見上げた時の空の豊かな表情だとか、お隣さんの夕飯の献立とか、今まで気づかなかったこと、見てもすぐに忘れていたことを、
面白い!ようく覚えておこう!
そんな風に思えるようになった。
変わり映えのしない退屈な日常に、こんなにも小さな感動や出会い、発見が隠れていたなんて、嬉しい誤算だ。
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昨日は明け方まで眠れず、朝日が顔を出した辺りで少しだけ眠ることが出来た。
太陽がすっかり頭のてっぺんに登ったころ、重たいまぶたを無理くりあけて布団から這い出る。
コーヒーを濃いめに淹れてガツンと目を覚ます。
今日は特に予定は無い。
家のことをしたり、作業を進めたり、どこから手をつけようか考えていたら、ふとある場所のことを思い出した。

思い出すとなんだか急に行きたくなる性分なもんで、僅かな荷物をカバンに詰めて玄関を飛び出した。
自分の家からゆっくり歩いて30分。
自転車飛ばして15分。



目指す場所は、オーロラ岬だ。


オーロラ岬はその名の通り
一年中、そして一日中オーロラが見れる岬だ。
岬の手前に濃い霧がかかっていて、その先を抜けると、大空一面にオーロラがかかっている。
夜はその光と夜空のコントラストが美しいが、昼は昼で幻想的な景色を見ることができる。

ここら一帯で1番お気に入りの場所だ。
霧の先にオーロラがあることも、なぜ一年中、そして一日中見ることができるのかも未だに解明されてはいないが、それでも美しいものは美しい。
小さな頃からずっと、自分の原点のような場所だ。

岬の端っこに立って上を向く。
目をつぶって大きく深呼吸、冷たい空気を肺いっぱいに取り込んで、そしてゆっくりと吐き出していく。
深呼吸は好きだ。なんだか頭が空っぽになったような気がするから。
静かにまぶたをあけて、オーロラを眺める。
あお、みどり、きん、ぎん、むらさき、ぴんく。
まだ知らない名前の色。
色とりどりの光のカーテンが靡く。

天国ってきっと、こんな場所だ。
静かで、美しくて、壮大で。

そのままその場で寝転がる。
地面はゴツゴツして背中は痛いけど、なんだか全身でオーロラを堪能している気分になれるから。

ポケットに突っ込んだままのボイスレコーダーをオンにする。

感じるままに音や感覚や景色を声にする。

“きれい、眩しい、つめたい風、
キラキラしてる、あかるい、波の音、
ざわめき、ゴツゴツ、藻がふかふか、
潮の匂い、心音が聞こえる、美しい景色
カラフル、心を奪われる”

“オーロラ”

今日ふとこの場所を思い出したのはきっと、
この景色を『誰か』と共有したかったからだと思う。
独り占めしたくなる気持ちを圧倒的に飛び越えてくる、雄大すぎる美しい景色を。

ここを知らない誰かに見せたいのだ。


いつか一緒に見に行きたいんだ。

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