#9.本日の天気 はれ時々、花

旅に出る時、準備はどれくらいする？

旅先で何があっても困らないように、あれもこれもきちんと小分けにして持って行く？

それとも、着の身着のまま、最低限の荷物だけ持ってふらりと遠くまで行く？

答えは、どちらも魅力的で選べない。
である。

前者は、目的地や道中に思いを馳せ、荷物を詰める度に夢を詰めて、わくわくと胸を弾ませながら、その日を楽しみに過ごすことができる。

後者は、思い立った時にふら、ふらり。
日常を捨てて非日常へ旅立つような、運命的な偶然の出会いに驚かされることを楽しめる。

ようは、楽しけりゃなんでもいいじゃないか！
という話なのだけど。
.
.
.
あさ、いつもの時間に起きていつものコーヒーを飲む。
なんだか濃かったので牛乳を入れて飲んだ。
テレビのニュースをつけたら、本日の天気で、

はれ 時々 花。

との予報が出ていたので、庭先に空の籠を出しておいた。
そろそろ百日草前線がくる季節だ。、

ひる、電話で再来週の取材旅行で見ておきたい場所のピックアップや行程をまとめるための打ち合わせ。名物やお土産、グルメのチェックは最優先事項だ。
つい、仕事以外の話で盛り上がり、何度か脱線を繰り返しようやくまとまった所で終了。
気分転換に外へコーヒーを飲みに行くことにした。

ポケットに入るサイズのメモ帳とペン、財布だけをもって家を出る。
近所にある落ち着いた雰囲気の喫茶店に入り、窓際の席に座る。
ホットブレンドを注文したら、ポケットからメモ帳を取り出して机の上に開いておいた。

暫くぼーっと外を眺める。
往来を行き交う人々や、空を流れる雲、店内のBGM、食器が小さくぶつかりあう音。

途中からはコーヒーを楽しみながら、五感から得る感触を楽しむ。
ふとひっかかる何かや、アイディアがあれば手元の手帳にメモを取る。

暫くそうしていると、視界の端でオレンジが踊った。
にわか花だ。
窓から空を見上げると、まばらに百日草がぽつり、ぽつり、と降り始めたところだった。

花が本降りになる前に、タイミングを見計らって退店する。
頭の上にはなびらを浴びながら、ゆっくりと、上を向いてあるく。

青い空とオレンジの花々、そのカラフルなコントラストはいくつになっても、ときめいてしまう。
家に着いた頃には、予報を超えるどさ降りになっていた。
庭をチェックして満足の行く結果に頬が緩む。籠を回収して家へ戻る。
籠にたまった百日草を、テーブルのうえにぶちまけて、サイズや色味ごとに分け、それぞれを、麻袋、木箱、ブリキの缶、ガラス瓶に詰める。
用途ごとに容れ物を帰ると上手くいくことが多いから。


よる、食事を簡単に済ませて、終わりきらなかった事務作業をちょいちょいと済ませる。

寝る準備が整ったら、少し早いけど寝室へ。
なんだか、寝転がりながら本が読みたい気分だったのだ。

日記の記録をしたら、ハーブティーを淹れよう。
サイドテーブルに置いて、飲みながら本を楽しみたい。

今日は花やかな一日だった。
容れ物たちに入れた百日草がどうなるか、楽しみで仕方ない。

自分は夜更かしの予定だけど、日記はここらで一旦終わり。

ハロー、ハロー、
想像できないほど、

景色や世界が色づくように、この日記も色づいていってるんだ。

あなたの景色は何色してる？